第二話 古代魔法と覚悟
アランには秘密があった。
それは、古代魔法が使えれることである。
古代魔法というのは、今から昔に使われていた魔法のことである。古代魔法には現代魔法では再現することもないだろうと言われる無魔法、空間魔法、結界魔法等いろんな魔法があった。古代魔法は今の現代魔法と呼ばれるものよりとても使うことが難しかった。その特徴は、まず、使うのに必要な魔力が現代魔法よりも多かったことと素質が必ず必要である。ちなみに、現代魔法というのは、古代魔法が使えれる者が当時からどんどん時が進むにつれて少なくなっていた事と当時と現代魔法が作られた頃の魔法師の個人が持つ魔力量が少ないことから一部の古代魔法をモチーフに誰でも簡単に使えて、魔力消費も古代魔法より少ない、新しく作られたものである。その代わりに現代魔法は古代魔法にはない付与魔法等が増えていったことが大きかった。
そうして誰でも簡単に使えることから、時が進むにつれて現代魔法は普及していくとともに古代魔法は人々の記憶と共に廃れていった。
何故、アランが古代魔法を使えれるのかというと、ヴィクス家は帝国の中でも魔法が強い一族と共に歴史が長い。帝国が建てられた頃は古代魔法が主な魔法だった。そんなヴィクス家の書棚には魔法書物がたくさんあった。それは、現代魔法はもちろん、先祖たちが使っていた古代魔法の書物もだ。しかし、古代魔法の書物は、今ではもちろん、ここ数百年は使えれる者がいなかったため古びていたものばかりだった。
アランは本好きだった。その中でも魔法の本が好きだった。
ある日、 本を探していたときに、ふと目に入ったものがあった。それは、いつも読んでいる現代魔法の書棚とは別の書棚にあった。
古びていた古代魔法の書物である。一目見たときにすぐに分かった。しかしそれは、ここ数百年誰も使えなかった魔法だ。
そして、アランはもうこれしかないと思っていた。魔法適性の儀で魔法が適性が無いことは分かったが古代魔法となれば別のはずだ。それに魔力が他より何倍も多いのも古代魔法の適性があるかもしれないからだ。もしこれが使えなければ俺は本当の意味で終わりだ。そうしてアランは、古代魔法の書物を読んでいった。
古代魔法の本をある程度読んだアランは、魔法が使えるか確かめるべく、家の近くにあった山で魔法の練習を始めた。初めての魔法は物をしまうことができる魔法。何時間、何日、何か月も練習して、時間が立つにつれて魔力が少しずつ動く感覚を覚えてきた、そして遂に
「やった。遂に。遂に出来たぞ、古代魔法」
その証拠に、辺りにあった一本の木が無くなっていた。今使った魔法は現代魔法にもない、当時は空間魔法といわれるものだ。数百年誰も使えることが出来なかった魔法が自分に出来た。アランそのことで嬉しかった。
そうしてより一層、古代魔法を覚えることに励んでいった。
ある日、魔法の練習中にアランは一つのことを思った。
(もし、古代魔法を使うことができるものが貴族の中に現われでもしたらどうなるだろうと。もしかするとそれを利用してよからぬことをするのではないのだろうかと。俺はそうはなりたくなかった。そこで俺はあることに気づいた。俺が古代魔法を使えることを知っているのはまだ誰もいない。使用人たちにも誰にも。それと俺はこのまま過ごしていたら家から追い出される可能性が高いしな。追い出されたらあとは自由のはずだ。それに今の俺なら追い出されてもすぐに死ぬようなことなどないだろうからな。よし、決めた。)
そこでアランは覚悟を決めた
「俺は誰にも利用されないように自由に生きよう」
と。
そうして月日が流れたある日、アランは追放された。