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うにゃ! 必殺技にゃ!

その頃、ウチは頑張ったにゃ。ウチの生涯で一番頑張ったにゃ……。


「にゃんでヒビすら入らにゃいにゃー!!」


と、岩に叫んでみたにゃ、反応は無いにゃ、むにゃしいにゃ……。なんかあるでしょにゃ!? ちょっとはご都合主義とか、次の展開の幕開けで『シルルは拳を岩に撃ち放ち、岩に亀裂を入れる』て・き・な!!


なんにゃの? 舐めてるの(あなたが)? ウチはバカなほどに弱いにゃ(弱いにゃ)? ああああああああああああああああ!!


バタバタと地面でのたうち回るウチ、年甲斐もなくとは分かってるにゃ。でもにゃ、でもにゃ、可哀相なウチを心配する声が聴こえません。


ああああああああああああああああ!!


そんな絶望している所にメイサとカルメラが戻ってくるにゃ。


「シルル、どうですか? って、見事に無傷な岩ですね……寝てたのです?」

「違うにゃ、違うにゃ! こいつ! こいつの作った岩が硬すぎるにゃ!!」

「ふぅむ? おかしいですね……それっ」


メイサは拳を岩にぶつけると、岩はピキッと音を立てて、欠片が地面に落ちるにゃ。


「普通の岩じゃないですか」

「にゅにゅにゅにゅにゅ……」

「なんの呪文です?」


呆れた表情で言葉を投げるメイサに嫉妬するにゃ。にゃんで出来ないにゃ!?


「シルルさん、ちょっと」

「なんにゃカルメラ」


それは一瞬だったにゃ、離れた場所にいたカルメラが瞬きの間に目の前にいたにゃ……どういう事にゃ?


「カルメラ……?」

「驚きました?」

「今、何やったにゃ!? 何やったにゃ!?」


ウチはカルメラをがっしりと掴み、前後に揺らして、答えを吐かそうとするにゃ。わかるにゃ、醜態を晒している滑稽な姿を見せているのは。


「あ、えっちょ……」

「やめなさい」


ゴインッ


メイサのげんこつで目を覚ますも、疑問は拭えない。今のはなんにゃ?


「カルメラは何をしたにゃ?」

「カルメラちゃんは『肉体の活性化』をしただけです」

「お、おま……」


思わず言葉を失ったにゃ。だって年下に先を越されて嫉妬しない道理は無いにゃ。当り前の感情にゃ!


「するいにゃ! ずるいにゃ!」

「はいはい、地面に転げて駄々をこねないでください。基本は説明したでしょう?」

「ウチはバカにゃんよ?」

「堂々と認められると攻められませんね」

「コツとか無いにゃ?」

「そうですねぇ……」

「筋力をプラスにしてマイナスの魔力を」

「それは意味がありません。マイナスの魔素をプラスに変えてこそに意味があります。プラスの筋力にマイナスの魔素をくっつけても魔素をカバーするだけで、効果はありません。重要なのは魔素で強化するという事です」

「意味が分からないにゃ」

「いいですか、プラスの魔素は肉体強化の元になります。それをプラスの筋力でカバーしても肉体強化にはつながりません」

「どうしたらいいにゃ?」

「そうですね……」


そう言うとメイサは腕を組んで考え込んでいるにゃ、何かあるのかにゃ?


「今、食べたいものはなんですか?」

「おちょくってんのかにゃ?」

「はぁ、これだから猫は……大事な質問ですよ?」

「わかったにゃ……とりあえず肉にゃ」

「じゃぁ、肉が食べたいと念じて下さい」

「うにゃ」


肉が食べたい、肉が食べたい、肉が食べたいにゃあああああああああああ!!


「今です! 拳を岩に!!」

「にゃぁあああああああああ!!」


ゴツン! ピシィ!!


「はにゃ?」

「ということです。理解しましたか?」

「1から10まで分からないにゃ」

「全然理解してないと……」

「嬉しいけどにゃ、にゃんで出来たにゃ?」

「シルルはイメージタイプという事ですね」

「イメージタイプ?」

「活性化には大きく2通りの人種がいます。一つは潜在活性化タイプ、これは潜在的な意識のみで自在にマイナスをプラスに変えることが可能です。稀ですけどね。もう一つのイメージタイプが9割を絞めているでしょう」

「イメージするとどうにゃるにゃ?」

「イメージは思考を使います。思考は魔素に影響を与える要素の一つになるので、魔素を一時的にプラスに変換します。その作用を利用して強化するんです」

「じゃぁ誰でも簡単に使えるにゃ」

「残念、それは不可能です。それはあなたがなんであるかを考えてみてください」

「ウチがにゃんであるか……妖怪種という事だけにゃ、人間とはちがっ……にゃ!」

「気付きましたか、そうあなたは妖怪種。人間とは違います。もともと魔素の変換には適した体のつくりをしています」

「なるほど、だから師匠はシルルさんを一人にして、私を先に……合点がいきました」

「えぇ、教えるにはカルメラちゃんを優先した方が人間と魔物に近い妖怪種の差を埋めることで教える時間の短縮になりますし、シルルを一人にしておけば、イライラがつのり、活性化をしやすい体質と精神に近づけるからと」

「そんにゃ理由が……」

「時間がないのに合理的に動かなければ二人の面倒は見れません」


うにゃ……さすがは変態ロリコンにゃ……こいつの頭はぶっ飛んでるにゃ、どうしてそこまで考えられるにゃ?


「でにゃ、毎回『肉を食べたい』と思いながら戦うのかにゃ?」

「いえ、今のでスイッチは入ったでしょうから……そうですね……『鉄甲てっこう』と口に出して岩を殴ってください」


にゃんだか分からにゃいけど、やるしかにゃいにゃ。


「鉄甲!!」


ドンッ! メキィ!!


目の前の平たい壁面にめり込む拳に自分でも驚いたにゃ……。


「これがあなたの必殺技です」

「『鉄甲』……かっこいいにゃ!」

「他にも速度を上げるには『瞬速しゅんそく』や筋力を高める『過重かじゅう』、足技は『鉄双てっそう』と名づければいいでしょう」

「にゃるほど! 鉄甲に過重、瞬速と鉄双……これがウチの技なのかにゃ!?」


ウチは瞳を輝かせてメイサを見る。でもなんか面倒くさそうな顔してたにゃ……。


「さて、明日は二人で戦ってもらいましょう。互いに研磨することで反省点も見えてくるでしょう。ちなみに実力は五分五分ですので」


ウチとカルメラはメイサの『五分五分』という言葉に頭をかしげるにゃ。


「どうして、カルメラと戦うにゃ?」

「決まっているでしょう?」


ウチ達はゴクリと息をのんだにゃ――。


「姫様とイチャコラしたいんだ!!」

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