この子の名前はエリカと言います
奴隷ショップから出ると、外はそろそろ夕方になろうとしている時刻だった
ここは王国というのもあり、たくさんの冒険者が利用するため今すぐにでも予約を取らないと満員になってしまう
その頃、シアは奴隷で囚われていた子と話していた
「怖かったよね、悲しかったよね。私達は貴方をこれから普通の人になれるように頑張っていきますよ」
シアが言うとその子は、声を出し言った。
「ほ、本当ですか……私を本当に奴隷から解放してくれるんですか」
俺は優しくこう答えた
「あぁ、正直この王国に来た時、黒髪の人を差別するようなやつが嫌いなだけだ。いつか絶対に奴隷全員を解放させてやるほど、この世界を轟かせてみせる!」
そう言うとその子は嬉し泣きをしていた。
「そう言えば、君の名前ってなんて言うの?ずっといつ言おうか考えていたんだ」
「わ、私の名前はエリカって言います……ここから西の地にある小さな村出身なんです。私は1人っ子で両親と楽しい毎日を送っている時にそれは、起こったのです。奴隷ショップに送ってお金儲けをしようとしている盗賊達……私はその人達に捕まり、1か月前にここに連れて来られたんです」
「そうか……」
数年前にも同じ事が起きたな、シアを捕らえて奴隷ショップに連れていこうとした盗賊達のことを……
あの時は、俺がまだ子供だったって言うこともあり舐められていた時代だったから、なんとか助けることが出来たのだが、今回ばかりはまさかこんな形でエリカを助けることになるとは……
「エリカさん……私も実はあなたと同じ目に合ったことがあるんだ」
「えっ……シアさんも?」
「その時はネイトによって助けられたんだけど、ネイトって酷いんだよ?私の事を助けに来たんじゃなくて、私を助けられなかったら村から追い出されるからだったんだよ」
「そ、そうなんですか!?」
シアとエリカはこちらに向かって冷たい目線で見てきた
「おい、そんな目で見るなよ。あの時は仕方なかったんだよ」
まさかあの時、自分の家の事も大事だったけど、シアのために向かったなんて言えない……
※※※※※※※※※※※※※
それから俺たちは、宿に予約を取り近くにあった定食屋で飯を食う事にした
定食屋のランチは5ビアスぐらいで結構な料理を食べられるらしい、しかも最安で2ビアスで食えるらしい
「うーん、今まで田舎暮らしだったからそんなにたくさんの量の飯はあんまり無いんだよなぁ」
「そう言えば、ネイトってそうだったね。私は男爵家だったからいつも飯が豪華だったけど、テーブルマナーには慣れてなくて、普通の貴族ではない人達のような食べ方に憧れていたんだよね」
俺とシアが話あっていると、エリカはとてもしょんぼりとしていた
「どうしたんだエリカ?何か食べたいランチは見つけたか?」
「わ、私は一応黒髪の元奴隷だったんですよ。こんな良い食べ物を食べる権利なんてあるのでしょうか……」
きっと奴隷生活であんまりいい飯を食べさせて貰えなかったんだろうな
「気にするなって、食べたいやつがあったら言ってくれよな。ちなみに俺はキャベヌの炒め物にしようかな。」
「私はアニクの揚げ物でいいかな。」
キャベヌの炒め物は、4ビアスでアニクの揚げ物は6ビアスか……あとは、エリカだけだな
その頃エリカはどれを食べようか凄い迷っているようだ
「エリカ……そんなに慌てなくても、これから俺たちと冒険していくわけだしいつだってこんな感じの飯を食べる事が出来るんだぞ?」
「そ、そうですね……じゃあシアさんと同じくアニクの揚げ物で」
ちなみにアニクの揚げ物は、とても美旨い肉として皆から喜ばれているようだ
飯が出てきた時、エリカの眼がとても輝いている。とてもお腹が空いていたようだな
「飯を眺めなくていいから、食べても大丈夫なんだぞ?」
「い、良いんですか?じゃあ……頂きます!」
パクパク……
「お、おいしいですぅ!」
エリカはとても頬っぺたが落ちそうな気分でいた
「なんか、エリカさんを見てると、奴隷から助けられて良かったね」
全くのその通りだ。16ビアス消費で残りは84ビアスになったが、エリカが本当に美味しそうに食べている顔を見てるととても嬉しい消費だなって思う
「明日からは、レベルアップのために魔物退治とギルドなどのクエストを受けてお金稼ぎもしていくからな!今日はお腹いっぱいに食べて、明日のために頑張るぞ!」
「「おー!!」」