旅立ちの時がやってきた
あれから数年が経過した。
村の中心に位置する場所に村の人達が集まっている。どうやら俺の見送りをしてくれるようだ。
「ネイトこれから旅立つんだから、立派な成人男性として頑張るのよ。そして冒険者になるからってハメを外しすぎないようにね?」
「もー、母さんたら…」
母さんは僕をいつまで経っても子供扱いをしてくるけど、それはつまり僕の事をいつまでも大事にしてくれてると思うととても嬉しい。
「ネイト、あなたはこれから色々は人達に会うと思うけど、人様に迷惑書けないように……そして何より無茶をしすぎないようにね。嫌になったらいつでも帰ってきていいからね」
母さんは僕が今まで会ってきた人の中で、やっぱり一番優しい……
「ありがとう母さん、俺頑張るから……」
母さんは頷いた
「ところでネイト、お前はこれからここから近いアルバン王国に向かうと思うんだが、冒険初心者なお主に元冒険者のわしがアドバイスをしよう」
村長もかつて冒険者をやっていたことに驚きだが、ともかくそんな事より冒険者として先輩の言うことは聞いていた方が良いだろう
「最初に、王国に着いたらまず宿は先に予約をしていたほうがいいだろう。なぜなら、予約を取らないと満員で宿では寝れなくなるから注意することじゃ。」
なるほど……確かに王国の中にはギルドもあり、他の冒険者達もその宿で泊まる人も多いだろう。
そういえば、シラがの姿が見えない。
「村長、シアの姿が見えないのですが……どこにいるか分かりますかね?」
「きっと、お主とお別れするのが嫌できてないんじゃないかな?」
そうだといいんだが、シラはどんな時でも優しくしてくれた。せめて旅立つ最後にお礼を言いたかった。
「俺、そろそろ旅に出るよ」
母と村長……そして村の人たちも頷いた
「ネイト、頑張るのよ!」
母さんの方をよく見ると、涙が出ていた。
きっと、俺の顔が見れなくなると思うと辛いのだろう……
「母さん、次ここに帰ってくる頃には頼もしい男になって帰ってくるから……」
「楽しみにしているわね。そして帰ってきた頃には嫁さんを見つけておくのよ!」
「母さん……」
どんな時もやっぱり、母さんは母さんだな
「じゃあ、村長行ってきます」
「あぁ、シアも見つけられたら……旅立ったことを伝えておくぞ」
僕は頷いた
「それじゃあみんな、俺頑張ってくるから」
俺は村から離れていき、森に向かっていると……何やら後ろから走ってくる音が聞こえてくる
僕は後ろを振り返ると、何やら見覚えがある人物がこっちに向かっていた。
「し、シア……?」
シアは俺に会うために走ってきたようで、とても疲れているようだ。
「ね、ネイト君……」
そういえばシアをよく見てみると、赤いフードを身につけており杖を持っていた。
「シア、君も冒険者になるのかい?」
僕がそう伝えると、シアは頷いていた
「ネイト君は人助けをするなら、私はネイト君を手助けしていきたいの」
シアの目はとても真剣な眼差しだ。あんまりシアを危ない目に合わせたくないのだが……シアがいてくれれば、俺としてもとても助かる。
「分かった。シアこれからもよろしく頼む」
シアは頷いた
そして、僕とシアは森を潜り抜けてアルバン王国に向かった