シアが行方不明になりました 中期
暗いダンジョン内……
ダンジョン名は、アッシュバルトダンジョンと呼ばれている。
アッシュバルトというのは、かつての賢者様の名前から取った名前のようだ。
ダンジョンの中は、とても強い魔物がおると有名で、普通の人間では立ち入りすら出来ないと言う。普通の人間が仮に入ってしまったりすると、魔物によって噛み殺されてしまうようだ。
その犯人は、ケルベロスだ。
顔が3つもあり、背後から蛇が出ているのが特徴的な魔物で、低ランク冒険者では即殺されてしまうだろう……
僕は情報を集めていると、昨日シアが謎の連中に連れ去られてしまい、このダンジョンにいるという情報を知り、僕はアッシュバルトダンジョンに来ていた。
目の前には、ケルベロスがヨダレを垂らしながら、こちらに近づいていた。
「まさかここで、ケルベロスに出会ってしまうなんて」
僕は少し驚いていた。寺子屋にいた時に受けていた授業では、人間同士で剣術や魔法を教わったりするが、実際に魔物と戦ったりはしない。
正直今にでも逃げ出したいぐらいだったが、ここで逃げ出してしまえば、僕の家はこの村から追い出されてしまう。
僕は走って魔法の準備をしていると、ケルベロスが物凄いスピードでこちらに走って来ていた。
闇夜を照らす猛る炎よ、出でよ
僕は、魔法を唱えると……小さな火の玉ができ、僕はケルベロスに向かって打った
ケルベロスは、火の魔法をくらった様だったか、残念ながら倒すまでは行かなかったようだ。
当たり前、ケルベロスはこちらに向かって走って来ていた。
正直こうなったら、隠していたアレを使うしかないと僕は思った。
――レイブンソード――
バーン……
レイブンソードというのは、魔法で剣型にした武器に雷魔法をかけて相手にぶつける技で、基本この技をくらった敵は余裕に倒すことが出来る剣術で、この技を使える人間は僕しかいないという……
もちろんこの技をくらったケルベロスは、完全に気絶しているようだ。
ケルベロスを倒した後、ゆっくり奥に進んでいると、なにやら連れ去った犯人らしき人物を発見した。
警備が厳重で、普通に入るには無理のようだ。
僕はどうやって行こうか考えていると、警備員が話す声が聞こえてきた。
「あの女を奴隷ショップに売れば高く付くらしいぜ」
「おい、その話マジかよ!」
なにやら、早く助けに行かないと行けなくなったようだ。もしシアが奴隷ショップに引き渡されてしまえば、僕の家は村から追い出されてしまうし、シアがこれから毎日奴隷として過ごす日々になってしまう。それだけは何とかして助けに行かないと……
そうだ。こうなったら、あの魔法を使えばバレることは無いだろう……
――トランスペレット――
この魔法は、姿を透明にさせることができ、透明を解除したい時はいつでも解除は可能だが、制限時間付きで5分しか持たないだろう。
僕は足音を立てずにひっそりと奥に進んで行った。
奥にはシアが捕まっており、その目の前には2人の男性が見える。その2人はなにやら、シアと話している様だった。
「お前はこれから俺たちと共に奴隷として、日々毎日生活してもらい、1ヶ月後には奴隷ショップに売るつもりだ。」
「良かったな。お前のような男爵家のような人間が、そんな生活できるなんて、普通はできない体験だぞ?良かったな」
シアは、涙を流しているのがよく分かる。
「体験?何をバカなことを言ってるんですか、私はいつも通りの生活を送りたいのです。何回も頭を下げるので、ここから出してください!」
シアがそう言うと、その男はこう言った
「普通の生活に送りたいだと、そんなこと誰が許すと思ってるんだ?お前は俺たちの命令に従えば良いだけの話なんだよ。今は何もかけてないが、明日からお前に奴隷紋を刻む予定だ!覚悟しとけ」
なんて奴らだ。正直人間として許されてはいけない発言をしている。
男2人は、奥の部屋に戻って行った様だった。
僕はゆっくりと進み、シアの元に向かった。
「シア、大丈夫?」
「ね、ネイト君!?」
声が大きい。危うくバレてしまうのではないかとヒヤヒヤしてしまった。
僕は鍵付きの扉の前に立ち、盗賊スキルで鍵付き扉を開けることに成功した。
シアは僕に抱きつこうとしていたが、今はそれどころじゃない、今すぐにでも帰らないと、村から追い出されてしまう。
僕はシアにその事を説明すると……
「じゃあ……ネイト君は私のために助けに来てくれたわけでは無いんだ」
シアはしょんぼりしてしまった。
いや、そんな事はないよ。確かに村から追い出されてしまうのも嫌だが、シアは俺にとって大事な友達だ。決して見放すことなんて絶対に出来ない……
僕がこう言うと、シアはとても嬉しがっていた