献金って催促するもの?
また少し短めです。。
眩い光が収まり、目を開けると村の教会の中に戻っていた。
……カマック様、最後になんて仰いました?
一カ月間、毎日頼んだって、マジで?
てっきり、一回全力で挑めば終わるんだと思ってたよ。
まあ、私の魔力はたかが知れてるからね。
そりゃ、毎日やらなきゃ何千年も溜め込んだ瘴気を簡単にゃ払えないか。
また甘く見積もってた自分を反省する。
それにしても、バステト様に乗っていけば、ロッテントークまで三日ってのも衝撃。
船かなんかで何カ月もかけて行くもんと思ってたからなぁ。
これ、ヒースさんに言ったらなんて言うかな?
出来れば神使扱いはしないで欲しいなぁ。
「んにゃ、んにゃ」
バステト様に足をタシタシされて我に帰る。
「失礼しました。バステト様、ロッテントークまでご迷惑お掛けしますが、宜しくお願いします」
「にゃっ!」
また右前足を上げ肯定する姿に、癒される。
そしてバステト様はまた私の肩に乗った。
入り口まで行き、そろそろお暇しようと扉に手をかけた時。
「礼拝者か。献金は済んでいるのか?」
「??」
いきなり後ろから声をかけられたけど、なんだこの豚は。
あっ、失礼。
先程の穏やかな表情をした男性では無い、祭服を着た肥えた豚みたいな人が話しかけて来た。
「献金は済んでいるのかと聞いているんだ!」
私が黙っていたからか、怒鳴り始めた。
エンデル街の教会の門にいた騎士といい、貴方達短気過ぎないかい?
「えっ? 必要なんですか? 別の方には言われてませんけど」
「チッ、またあの助祭は! 良いから、礼拝したならば献金せよ!」
「……」
献金って、催促するものなの?
気持ちなんじゃないの?
最後に助祭さんへいくらか寄付しようと思ってたのに、気が削がれたよ。
「……これを」
もう礼拝しちゃったし、渋々大銅貨一枚を渡す。
「大銅貨とは……貧乏人が」
礼拝に千円って出した方だよね?
私が小さいのかも知れないけど、お賽銭に千円入れるのってここぞって時だし、今までで入れたのだって、あまりに決まらない就活の時だけだよ。
結局その時は、内定は貰えずじまいだったけどね。
って、お賽銭と献金の意味合いは違うだろうけどさ、気持ちって意味では一緒でしょう?
払ったのに、なんて失礼な人なんだ。
やっぱり嫌な感じの司祭だったか。
もうこんな所とっとと出よう。
「そこの者、ちょっと待て。その猫はなんだ?」
まさかの今度はバステト様に照準があってしまった。
「私の連れですが、何か?」
「お前の様な貧乏人には似合わない程、品がある猫だな。此方に寄越しなさい」
「はい?」
ちょっと言ってる意味がわからない。
確かにバステト様は、私の様な下民が連れている様な方ではない。
だけど、何でそれをアンタに言われなきゃならんのだ。
しかも此方に寄越せとぬかす。
ふざけてんのか?
「その猫には品があるから、私が飼ってやろうと言っているんだ。光栄に思え。グフフフ、本部へ戻る時に連れていたら箔がつくな」
ふざけた野郎でした。
この御方は神ぞ?
品があるだけで片付けられる様な御方では無い。
知らんだろうけど、失礼にも程がある。
「勿論、お断りします。失礼します」
「何っ!? 無礼な! 寄越すんだ!」
「触んな!」
ふざけた野郎がバステト様に触れようとしたので、胸に抱き抱える。
バステト様もフシャーって威嚇モード。
「アナタ神に使える立場じゃ無いの? 今の言動犯罪でしょ」
「はっ、犯罪だと!? この私に向かって何を!」
「何者か知らないし。面倒くさいなぁ、もう」
絶対この人話通じない感じでしょ?
なら、話しても意味ないじゃん。
とっとと、ここから出ていこうと、歩を進めると。
「無礼者!」
と、司祭が持っていた杖を私に振り下ろした。
が、バシッと言う音と共に杖は弾かれる。
「何っ!?」
「……はあ。ダメだなこいつ。行きましょうか、バステト様」
「にゃっっ!」
「貴様っ!」
もうシカトでいいやと思って、軋んだドアを開け外に出た。
何か後ろでワァワァ騒いでいるけど、シカト。
すると。
「ストーンバレット!!」
野郎が魔法を放って来やがった。
勿論私にはかすり傷一つ付かないけど、流石にカチンと来た。
久々に隠匿操作で気配を消し、豚司祭に近寄る。
そして、私がいきなりいなくなって、困惑している豚司祭の顔に、思いっきり力を込めてグーパンしてやった。
「ブフォッ!」
ドォーンと言う鈍く重い音を立てて、転がる豚司祭。
頬に手を当てているが、自分が殴られて転んだ事にビックリしている様な顔だ。
「アハハハハッ! いい気味!!」
「どこにいるんだ!?」
未だに私のことが捉えられない司祭を横目に、私とバステト様は教会をあとにした。
助祭さんにも会えずじまいで、寄付出来なかった。
あんな豚司祭に渡す金なんてもう無い!
宿の人達にも迷惑かけてしまうかも知れないから、もう一泊しようと思ってたけどこのままこの村を出よう。
お祈りもしたし、カマック様にもお話聞けたし、目的は達したからね。
しかし、シア教はあんなのを司祭にしてて大丈夫なのかな?
教会ってもっと慎ましくあるもんじゃないのかね?
私の勝手な思い込みだけど。
まともな人はいるんだろうかと疑問に思ってしまう。
そんな事を考えながらクリフ君と合流し、村を発った。
村を発った直後、後ろが騒がしい気がしたが私には関係ないよね。
そして、また二日かけてエンデル街に戻った。




