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あざとい、実にあざとい


 商人ギルドから教えてもらったエンデル街から一番近い村まで、クリフ君とお出かけ中。

 久しぶりの一人と一頭旅。

 何も気にする事なく、存分に“予定“スキルを使いながらの移動。

 快適過ぎる!

 ラミーさん達やヒースさんと移動するときは、流石に設備を呼び出すことは出来ないからね。

 

 でも今回はクリフ君とだけ。

 雨が降ってきたら“予定”スキルで周りに雨が入らないよう結界を作るし、寝る時もお世話になる。

 お風呂も入るし、トイレだって水洗。

 キッチンも呼び出し、今日の野営時の夕食はカレーにした。

 キャンプと言えばカレーよね。

 クリフ君にも飼葉とお水を並々ご提供。


 そんな一人と一頭でのんびりした夕食を街道脇で取っていると、ガサガサと森の方から何かが出て来る音がした。

 魔物には出会わないと“予定”を組んでいるから、魔物ではないだろうけど、人かな?

 でももうだいぶ夜も遅く暗いから、移動には適さないよね?


 ちょっとビクビクしながら森の方を見ていると、その子は姿を現した。

 私が起こした焚き火に照らされたのは、真っ黒い子猫だった。

 でもこの子、片耳と首周りに豪華なアクセサリーを付けている。

 エジプトで良く目にする、猫の置物が付けている様な豪華なやつ。

 明らかに飼い猫だよね?

 迷子か?

  

 子猫は人馴れしているのか、にゃーと言いながらこちらに近付いてくる。

 そして抵抗無く、私の膝の上に乗ってきた。

 何だこの子!

 めちゃくちゃ可愛いんですけど!

 毛もふわふわで軽くてちっちゃい。

 ああ、天使か。


 それにしても、こんな可愛い子を飼っている人は今頃大慌てなんじゃないか?

 このアクセサリーからしても、かなり可愛がっている様子が見てとれる。


「どっから来たの? 迷子なの?」

「にゃー」


 まあ、聞いてもわからないよね。

 鑑定してみたらどこの子かわかるかな?


▽▽▽

名前  :バステト

職業  :豊穣の女神

レベル :ーー

HP   :ーー

MP   :ーー

スキル :ーー

ユニーク:ーー

その他 :女神バステトである。現在神獣形態の為話せない。

△△△


「君、バステトって言……はあああぁぁぁぁ!?!?」


 えっ?

 意味がわからない。

 目の前に女神がいるんですけど。


「にゃぁ」


 えっ?

 私の食べてるスプーンをペロペロしてる。

 くっそ可愛い。

 何だこの女神。


「これ食べたいんですか?」

「にゃ!」


 小さい右前足を上げて、挙手のポーズ。

 あざとい、実にあざとい。

 もちろんそんな可愛さに勝てるはずもなく、カレーをスプーンで掬いフーフーして前に出してあげる。

 美味しそうにペロペロしてる姿を見て、ニヤニヤが止まらない。


「って、食べさせてる場合じゃなかった! 貴女神様なんですか!?」

「にゃ!」

 

 またも右前足を上げて、肯定のポーズか。

 可愛い……ダメだ、絆されてしまう。

 でも、確かにステータスには女神って書いてあるし、今は神獣形態だから話せないとも書いてある。

 これは急ぎ教会へ行って、カマック様に聞くしかないじゃん……


 その後もカレーを所望され、スプーンで掬って食べさせてあげる。

 ようやく満足したのか前足で顔を洗っているが、その姿もまた可愛い。

 

 その間に片付けをし、ストレージからベッドを出すとそこに飛び乗ってきた。

 私もここで寝ると言わんばかりにゴロンとしている。

 この女神はどこまで人を骨抜きにすれば、気が済むのだろうか。

 

「お邪魔します」

「にゃ!」


 いいぞ、みたいな「にゃ!」がまた堪らない。

 寝る準備をしてベッドに入る前に、念のため許可を得た。

 私の顔の前辺りで丸まって寝ている姿を見て、幸せな気持ちで眠りについた。



「にゃぁ〜、にゃぁ〜」


 ペシペシと顔を何かに叩かれて目が覚めた。

 見ると小さな肉球が、私の頬を叩いていた。


「……そうだった……おはようございます」


 昨日の夜、ふと転がり込んできたバステト様。

 小さな子猫に見えるけど、鑑定結果では女神様なんだって。


「朝ごはん食べます?」

「にゃ!」

「あっ、食べるんですね。ちなみにパンとご飯どちらがご希望で?」

「んにゃぁ?」


 あっ、お米は難しいか。

 パンにしよう。

 街で買っておいたシチューとパンを出し、パンを細かく千切ってシチューにつける。

 これまたフーフーして出すと、美味しそうに食べてくれた。

 今更だけど、神様だし人間と同じ物でも大丈夫って事よね?

 

 私も一緒に朝食を取り、クリフ君のお世話をし、出発する事に。


「あのぉ、バステト様もやはり付いてらっしゃいます?」

「にゃ!」


 あぁ、肯定か。

 しかもそう鳴くや否や、トンッと私の肩に乗っかって来たのだ。

 耳にふわふわの毛が当たって、くすぐったいけど気持ちが良い。


「クリフ君、一緒に良いですか?」

「ヒィーン」


 クリフ君もオーケーな様なので、跨り村に向けて出発した。


♢♢♢

 

 エンデル街から出発した翌日の夕方、商人ギルドから聞いた村に到着した。

 そこまで大きくない村だが、宿が一つあったので一部屋借りる。

 厩舎がない宿の為、クリフ君は村の入り口にあった厩舎に預けている。

 バステト様は私のバッグに潜り込み、見られていない。

 もしかしたら生き物はダメと、言われるかもしれなかったからだ。

 神だけど。


 宿の食堂で夕食を食べている時に、店主へこの村の教会について聞いた。

 この村外れにも小さい教会があり、そこには司祭とそれを補佐する助祭がそれぞれ一名ずつ駐在しているそうだ。

 ただ、この司祭がシア教会本部から一年間限定で派遣されている人らしく、あまり態度は良くないんだとか。

 助祭は昔からこの村にいる方らしく、村人とも気さくに話してくださり、親身になって聞いてくださるそうだ。

 両極端。


 本来、現助祭が司祭だったのを助祭にし、派遣してきた人を司祭にしたんだとか。

 なんでわざわざこの村に司祭を派遣したのかも、村人には聞かされていないんだと。

 助祭だけで十分なのにと店主は言っていた。

 

 あれか?

 良く聞くキャリアが出世のために、地方の官職を経験させるやつと一緒かね。

 村人からしたら全く関係ない話だから、聞かされないのも不思議ではない。

 まあ、勝手な予想だけど。


 うーん、しかしまたタイミングの悪い時に来てしまったなぁ。

 たまたま、シア教から一年間の任期で派遣されている人がいる時期に来るなんて。

 何も言われないとは思うけど、向こうの態度が悪くて私が暴言を吐かないように祈っておこう。

 出来るだけシア教とは関わり合いになりたく無いし。


 そんな話を店主として、部屋に戻った。

 ちょっと気乗りはしないけど、明日村外れの教会に行ってみよう。



お読み下さり、ありがとうございます。

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