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“買い付け”はヤバイ


 ヤケになって、十五階層のボス部屋で思いっ切り魔法を放ち、一人スッキリしたところで、入口とは反対の出口の扉が開いた。

 

 ヒースさんと倒した魔物のドロップアイテムを拾い、出口から出て転移陣に触れ、一階層へと戻った。


「もう外は夕暮れだったんですね」

「吹雪だと夜以外は分かりにくかったからな」


 ダンジョンから出ると、綺麗な夕空が広がっていた。

 その光景を目にして、何か言い知れぬものが込み上げてくる。


「ヒースさん、ここまで本当にありがとうございました。それと、失礼な事を言ったり、ご迷惑をお掛けして、申し訳ありませんでした」


 ダンジョンから少し離れたところで、感謝を伝える。

 ヒースさんが居てくれなかったら、今頃挫折してレベルアップなんて出来ていなかったかもしれない。

 ここまでこれたのもヒースさんのおかげだ。


「私が勝手について来ただけだ。気にする事は無い。よく頑張ったな」


 頑張りを労ってもらうのって、何でこう涙腺を緩くするんだろうか。

 まだカマック様からのお願いも叶えられてないのに、何かやり切った感を感じてしまい、余計に涙が溢れた。


 そんな私をヒースさんは、ただ見守っているだけ。

 でもそれが返って私には有難かった。

 変に声を掛けられても、余計に泣いてしまっていたかもしれないから。


 それからこの日は宿に戻り、ゆっくり体を休めようと言う話になった。


 早い夕食を取り、明日の昼頃宿の食堂で待ち合わせをした。

 冒険者ギルドへ、今回の挑戦で得た戦利品をまとめて売りに行く為だ。


 宿には一ヶ月分を初めに前払いしていたから、同じ部屋のまま取っておいてもらっている。

 いつ帰って来ても良い様に、清掃もされていてとても好感の持てる宿だ。

 

 そんな宿の自室に戻り、ベッドに腰を掛けた。

 さっきは達成感に浸ってしまったけど、私にはまだやる事がある。

 レベル三十に到達したので、ロッテントークへ行くための手段を考えねばならないのだ。

 

 でもその前に、解放されているはずの“買い付け”の確認を先にしたい。

 だって楽しみだったんだよ。

 何かステータスに増えているのかと期待を膨らませて、自身に鑑定をかける。


▽▽▽

名前  :トウコ・スズキ(偽名:ユエ)

職業  :販売部

レベル :33

HP   :895/1,050

MP   :1,150/1,360

スキル :隠匿操作・鑑定

ユニーク:予定・ストレージ

その他 :創造神の加護・商業神の加護

△△△


 よし、ちょっと上がってレベル三十三になってる!

 HPも千をようやく超えてくれた。

 ただ、どこにも買い付けなんて載っていない。

 うーん、これはどうやって使ったらいいんだ?

 “予定”スキルはスマホとタブレットと連動してるから、そっちなのかな?


 久々にスマホを出しホーム画面を見ると、そこには“買い付け”と下に書かれた、コンテナの様なロゴのアプリがインストールされていた。

 

 えっ?

 いつの間にインストールされてたの!?

 もしかして……

 はい、タブレットにも入ってました。

 やっぱりこれがカマック様の仰っていた“買い付け”か。

 アプリを開けば説明が始まるかな?


 思った通り、アプリを起動すると説明画面が始まった。


・“ストレージ”スキルに《買付空間》が新たに設けられた

・買い付けアプリを使用するには、事前に《買付空間》へ対価を投入する必要がある

・対価は硬貨、宝石、鉱石、魔石、アイテムなど交換価値が計れるものであれば投入可能

・《買付空間》に対価として一度投入した物は取り出し不可能

・買い付けアプリ内での注文は、最低三万円以上でないと手数料が発生する

・買い付けアプリで購入した商品は、決済が完了すると《買付空間》に送られる


 まとめるとこんな感じ。

 うん、どこかの卸業者サイトのアプリ版みたいだ。

 しかも表示価格は日本円表記。

 それに、出荷単位もそれぞれの商品によって違う。

 流石に、安価な商品を一点からは注文できないって事か。

 契約時に、そこら辺取り決めされるしね。

 既に“買い付け”と私は契約済みってことになるけど、私からの異論は認められない様だ。

 まあ、使わせてもらう分異論なんてないけどね。

 そう考えると、私はこれで商売をして良いと言う事になるのかな?

 金額設定はメーカー希望小売価格の様だから仕入れ値で購入とはいかなかったけど、価格はこの世界に合わせて私が設定すれば良いし、この並んでいる商品だって地球から仕入れているわけでは無いだろう。

 それが出来たら今頃私は帰れている。

 基準を日本に合わせてくれているだけなんだろうなと、勝手に解釈した。

 それでも、日本での仕事の続きが、少し違う形だけど出来るって事だもんね。

 カマック様、本当にありがとうございます!

 ただ、販売する物は見極めないと、価値観の違うこちらの世界では大変なことになるかもしれない。

 慎重に選んでいこう。


 今度はストレージの《買付空間》の確認をする。

 まずはここに対価を入れないと、アプリが使えないみたいだからね。

 《買付空間》と頭の中で唱えると、目の前にまた歪んだ空間が出たのと、対価リストと商品リストに分けられたモニターも出た。

 事前にストレージから出しておいた、大金貨十枚の内一枚を歪んだ空間に入れると、対価リストに大金貨一枚と表示された。

 これで、アプリが使えるはず。

 改めてアプリを開くと、右上に私の名前と、投入額が日本円で表示されていた。

 表示額は九十一万円となっている。

 現状だと、大金貨=九十一万円って事か。

 これは相場が変わったりするのか?

 まあ、そこら辺は説明にないから、結局お金を入れていくしかないんだけどね。


 次はどんな商品があるか見てみよう。

 確かカマック様は、私が買ったことがある物に限るって言ってたよね。

 

 ジャンル別にも項目があるし、検索ツールはメーカー別や金額順、購入日順とかでもソート出来るみたい。

 良く作ってくれたな、こんなアプリ……


 感謝しながら、何か買ってみようと一通り見ていく。

 ちょっと驚いたのは、私が仕事で取引した事のある商品も入っていたこと。

 自分が買っただけじゃなく、取引も含んでくれるなんて、なんて至れり尽くせりなんだ。

 もちろん買ったことの無い、車とか家なんて無かったよ。

 今更だけど、電動自転車を買っておけば良かったと後悔。


 それはさておき、食糧品などもズラッと並んでいたので、足りない物をカートに入れていく。

 ただ、出荷単位が十とかだから、しばらく買わなくてすみそうだな……

 そんなこんなで欲しいものを次々カートに入れていくと、あっと言う間に十万は超えていた。

 お米が一番高くついたなぁ。


 次は、決済画面に進み購入ボタンを押すと、「お取り引きありがとうございます」と表示された。

 すると、出しっぱなしにしていた《買付空間》の商品リストに、今決済したものがズラッと並んだ。

 

 マジでヤバイ。

 缶コーヒーを取り出したいと思い、歪んだ空間に手を入れると、六缶一パックになった缶コーヒーが出てきた。

 ……ありがとうございます。


 感謝しかないわぁ。

 

 

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