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予定は確定ースケジュール管理は基本ー  作者: 秋海棠
第四章 レベルアップ
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レベル三十到達!

 

 エンデルダンジョン十一階層。

 今回もスッキリした気持ちでダンジョン挑戦に臨めている。


「あの冒険者達の話を、噂程度だが耳にした。ユエが何かしたのか?」


 そうヒースさんに言われたが、


「いいえ、何も!」


と、めちゃくちゃ笑顔で答えておいた。

 何か疑わしげな目線を向けられたけど、何もと強調しておいた。

 実際私は、魔力を提供して“予定”を入力しただけ。

 日頃の行いが良ければ、あんな事私だって実行しようとは思わなかっただろうからね。

 さあ、あいつらの事は忘れてダンジョンに集中だ!


 この十一階層は草原フィールドだ。

 出てくる魔物も洞窟タイプとは違い、様々な種類が出てくる。

 主に草原を生息地としている魔物達が大集合していると言えよう。

 

 そして今私たちの目の前には、真っ赤な体毛のツノがやけに長いシカが三頭。

 目も真っ赤。

 ギラついてるねぇ。

 こちらにはまだ気づいていない。


 鑑定してみると『レッドディア』と出てきた。

 魔物ランクはD。

 脚力が強く、足は速いしジャンプも高い、そして角が大きく頑丈。

 角を振り回しての攻撃が主だそうだ。

 

 鑑定している間に気配を感じたのか、レッドディア達がこちらに気付き、三頭一斉に駆け出した。

 一頭がヒースさんへ、二頭が私へ。

 

「ホーリーアロー! ウィンドウボール!」


 二発放つもどちらもかわされる。

 あっと言う間に私の目の前。

 だが、ドンっと言う音と共に二頭とも飛ばされた。

 これは“予定”スキルのおかげ。

 単発攻撃がかわされてしまうなら。


「ホーリーウェーブ!」


 またブワッという音と共に聖属性の衝撃波が放たれた。

 前回のボス部屋よりは威力は少なめだと思う。

 でも、正面にいた二頭のレッドディアには大打撃。

 なかなかにエグい状態になってしまったが、すぐシューっといって魔石を残して消えていった。

 この範囲攻撃魔法をダンジョン外で使用したら、後片付けがキツい気がするのは気付かなかった事にする。

 出来るだけダンジョン以外では控えようと心に誓った。


 それからも色々な魔物と出会した。

 《イビルスカンク》に《アックスビーク》に《ブルーヌー》などなど。

 《イビルスカンク》はあのスカンクの大型版。

 お尻から出す毒霧が臭いのなんのって堪らなかったわ!

 この毒霧に効く薬草を噛みながら、霧を吸わない様に風を起こして回避してたけど、匂いは嗅いでしまった……毒には犯されなかったのに、吐き気が酷かったのは臭いのせいだろう。


 《アックスビーク》はダチョウ型の魔物。

 この魔物もレッドディア同様かなり足が速い。

 大きな嘴でつついてくるのを回避して倒していった。

 《ブルーヌー》は、体全体がブルーの色をした大型のヌーだ。

 この魔物は群れで行動していて、出会した時かなりの数に囲まれてしまった。

 焦った私は、手当たり次第【ホーリーウェーブ】を放ってしまい、魔物に対して魔法攻撃が過多になってしまった。

 そして、魔法の無駄撃ちは控える様にヒースさんに諭された。

 これは、一度ヒースさんに魔法が当たりかけたからだろう。

 ごめんなさい、かわしてくれて本当に良かった……

 

 そんな戦闘を続ける事半日。

 まだ十一階層からは抜け出せていない。

 なので、この階層で今日は仮眠を取る。

 先に火を起こし、魔物避けを焚く。

 この魔物避け、前から思っていたけど独特な臭いだ。

 これが魔物の嫌いな臭いなのか。

 

 この階層では、至る所で他の冒険者達に遭遇した。

 もちろん命の危機がない限り加勢を要求されない為、相互不可侵。

 今のところ負けそうな冒険者達にも出会していない。

 この階層にこれたって事はハイオークに勝っていなければならないしね。

 そう簡単にやられる様な人たちは来ないだろう。


「今日でレベルはどのくらい上がった?」

「確か二度レベルアップを感じた気がするので……」


▽▽▽

名前  :トウコ・スズキ(偽名:ユエ)

職業  :販売部

レベル :23

HP   :431/800

MP   :560/1,060

スキル :隠匿操作・鑑定

ユニーク:予定・ストレージ

その他 :創造神の加護・商業神の加護

△△△


 あら、気付いたらレベルが二十三にアップしてた。

 魔力も千を超えている。

 そう言えば、ハイオークの戦い前からステータス確認するの忘れてたわ。


「いつの間にかレベル二十三になってました」

「そうか、もうすぐ三十が見えてくるな」

 

 やはり、下層になると魔物も強くなり経験値も高くなるんだね。

 一階層から九階層までと上がり方が全然違う。

 レベル三十が近づいて来ているけど、浮かれず堅実に魔物を倒していこう。

 浮かれてもきっと良い事ないしなぁ。


 気を引き締め直し、見張りをする。

 魔物に襲われる事なくお互い仮眠を取り終え、レベルアップの為の魔物狩りを再開した。

 

♢♢♢


 それから二日ほど経ち、丁度十三階層の真ん中あたりで。


「ヒースさん!レベルアップしました。恐らく三十です!」

「おめでとう」

「ヒュッ……」


 ヒースさんにヤベー笑顔を不意に向けられて、一瞬呼吸が止まった。

 笑顔が神々しく感じるのは神だからか?


 それにしても、思い返せばここまで何度となくヒースさんには迷惑をかけて来たなぁ。

 

「ヒー、ヒーズざん……」

「ただ、まだダンジョンだからな。泣いている場合ではないぞ」

「ズズッ、ごめんなざい。気を引き締めまず」


 そんな事を言ったが、簡単に引き締まるはずもなく、何度か魔物にドンっとされてしまったが私は無傷だ。


「ここから引き返すには時間がかかり過ぎる。十五階層までこのまま行くが良いか?」

「はい。問題ないです。食糧もまだまだ大丈夫ですよ!」

「そのアイテムボックスの容量は可笑しいと思うが……聞かないでおく」


 確かに、今回用意して今まで出してきた食糧やアイテムは、私の魔力量では入りきらない量だと推測できる。

 ヒースさんの荷物も少し入れているし。

 薄々は気付いているだろうけど、あえて聞かないところは紳士だなと改めて思う。


 そのままダンジョンを進み続け、十四階層の階段に到着したので、下りたらそこで仮眠を取ろうという話になった。

 今回チャレンジを開始した日から既に三日が経つ。

 転移陣のある十五階層のボス部屋までは、後三日はかかるだろうとの予想。

 無理に進まず、休憩を取りながら着実に進む予定だ。


 十四階層に下りると、一面砂漠が広がっている。

 そして急激に温度が上がった。

 私のローブはプラスマイナス三十度に耐えるが、それを超えているということだろう。

 とても暑い。

 ローブを着ていなかったら干からびてしまいそうなくらいだ。


 隣のヒースさんを見る。

 ……納得いかない!

 なぜそんな涼しい顔をしているんだ!

 革鎧も身に付けているから私よりも重装備なはずなのに、暑さを感じていないような顔色。


「……ヒースさん暑くないんですか?」

「うん? 暑いぞ?」

「全然暑くなさそうです……」

「確かに暑いが、色々な環境で訓練していたからな。動くには問題ない」

「流石です」


 どんな訓練をしたら暑さにも耐えられるようになるんだろうか?

 次の階層の雪フィールドでも大丈夫なんだろうか?

 痩せ我慢しているようには見えないから、やはり超人だな。

 

「今は暑いが、間も無く日が傾き始めるから今度は寒くなるぞ」


 ダンジョンの不思議。

 フィールド階層では朝と夜が訪れるのだ。

 それによって出てくる魔物も異なる。

 この階層は砂漠だから夜の間は寒くなると、ナージン情報にも載っていた。


 階段から少し離れた先で場所を確保する。

 幸い、魔物避けを焚くまでは魔物に襲われる事は無かった。

 火を起こしている間に日は陰り、寒くなってきたが私はローブのおかげで快適。

 そして、ヒースさんとシチューを食べている時にそいつらは来た。


「ねえ、魔物避け切らしちゃったから一緒に良いかしら?」

「おねが〜い」

「減るもんじゃないし良いよね?」

「なんか良い匂いするんだけどぉ」


 《薔薇の宴》の襲来だ。



お読み下さりありがとうございます!

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