万能スキル万歳!
言葉遣いが乱れてます。
目覚めると、城内で充てがわれた自分の部屋のベッドに横たわっていた。
「……」
起き上がると同時に右腕に違和感を覚える。
「あっ……隷属の腕輪……また夢じゃなかったのか……」
憎らしいほど輝いたプラチナっぽい色の腕輪。
これを付けている限りあの宰相の命令に逆らえないらしい。
ベッドの枕に顔を埋め、
《あの野郎ーーーーーー!!!!ふざけやがってーーーー!!!》
思いっきり叫んだ。
やりやがったなあの野郎マジで!
この怒りをどこにぶつければ良い!?
「フーッ!フーッ!フーッー!」
行き場のない怒りが溜まり、どうにかなってしまいそうだ。
また過呼吸を起こしそうになるけど、何とか息を整える。
「スーッ、ハァー、スーッ、ハァー」
あいつら絶対に許さない。
どうしてくれよう。
あの部屋にいた全員と国王は殴り飛ばさなきゃ気が済まない。
ただ、今は宰相の命令でこの城の人を傷付ける事は出来ない。
それならまずはこの腕輪をなんとかする事を考えよう。
鑑定で見た時、所有者にしか外せないって書かれてたし、無理に外そうとすると電流が流れるみたいだから力ずくはダメ。
なら予定スキルで外せないかな?
本来、今私は絶望に打ち拉がれているような状況だが、神から与えられた“予定”スキルがあるおかげで、正気を保てている。
なんとかなりそうだと、楽観的に思えるのは縋るものがあるからだ。
ーーーーー
イベント:装着された隷属の腕輪を外す
日時 :開始 2152年5月21日 12時28分
終了 ーー
場所 :現在地
繰り返し:なし
アラート:なし
ーーーーー
【消費魔力は「5」です。実行しますか?】
【はい・いいえ】
ああ、泣きそう。
ありがとう予定スキル様!
ありがとう創造神様!!
しかも外すのに、大して魔力を必要としないところも流石だ。
予定スキル様にかかれば、こんな腕輪何でもなかった!
もしかしたら外そうと考えるだけでもダメなのかと思ったけど。
流石に考えるだけで罰は発動しないか。
じゃ、早速外してし……
いや待った。
これ外したら所有者にバレるとかない?
特殊な腕輪ならあり得るよね?
それは非常にマズイ。
ここは慎重に一旦“いいえ”を選ぶ。もう油断しない。
思えば、昨日のエドゥアルドが上に私の能力を報告するって言った時点で、何かあると気づけてればこの状況を回避できたかもしれない。
それに、宰相が部屋に来た時点で嫌な予感はしていたのに。
危機感の無さが今回の原因だ。
今更悔やんでも遅いけど、だからこそこれからの行動は慎重にしなければ。
恐らく向こうは腕輪を着けた事により、私が逃げられないと思っているはずだから、私に対しての警戒は薄くなる可能性がある。
それなら、今すぐ腕輪を外して逃げるのは得策ではない気がする。
今逃げたとしても、この国や世界の事を何も知らないんだから、どの道行き詰まる事になる。
ならば、今はこの城にとどまり脱出の機会を窺いつつ、教えてもらえるものは教えてもらえばいいのでは?
主に魔法関係。
うっすら記憶のあるスーの言葉に、攻撃魔法は教えないけど、回復魔法なるものは教えるって言ってなかった?
魔法の発動の仕方はまだ知らないから、それは教えて欲しい。
感情的には遜るなんて死んでも嫌だけど、そこは我慢するしかない。
そんな事を考えていると、ノックする事なく部屋のドアが勢い良く開かれ、エヴァが入って来た。
「起きたならさっさと部屋から出なさい。明日からの仕事場に行くわよ」
うわぁ……朝までと態度が違い過ぎない?
しかも、もうノックすらしないで勝手に入ってくるとか人権無視か?
って、既にこんな腕輪つけられてるんだから人権無視か。
エヴァの顔を見たら殴り飛ばしたくなったけど、腕輪のせいで行動には移せない。
一言も発さず無言でベッドから降り、ドアに向かう。
絶対痛い目に合わせてやるからな! と、心の中で絶叫した。
♢♢♢
お互い無言で移動し、明日から来いと言われた二つの仕事場に案内された。
魔法を教わる第二訓練所、仕事をさせられる第三倉庫。
二つの距離はかなり離れていた。
そして、この城の大きさにも驚かされた。
これ、よく迷子にならないな……
一回じゃ覚えられないから、部屋に戻ったら“予定”を組もう。
場所の案内が終わり自室に戻る際、エヴァから今後案内やお世話は無くなると聞かされた。
基本全て一人で行動。
毎日、朝の鐘がなる前に第二訓練所に行き、昼の鐘が鳴る前に第三倉庫へ行き、食事も一人で食堂で食べよとの仰せだ。
確か鐘は六時、十二時、十八時で鳴っていたと思う。
これも時刻を“予定”に組み込めば問題ないでしょう。
万能スキル万歳!
当たり前だが、毎朝、毎晩届けて貰っていたお湯や水も運ばれない。
共同の水場で済ませろってさ。
ただ少しビックリしたのは、部屋、洋服はそのまま使用してOKなんだと。
恐らく他の三人に私の処遇を知られないためなだろう。
知られたらきっと自分たちもそうなるかもしれないと逃げ出したり、下手したら反乱が起きかねないからかね?
だから、腕輪の事は言わないようにって指示されたんだろうし。
でもさ、もし他の三人に私が会ってしまったら、一発でバレない?
三人にも“鑑定”スキルがあったじゃん。
まあ、この広い城内できっと待遇の良い三人に会うことは無いだろうけどね。
主要箇所の案内が終わると、私は一人で部屋に戻った。
早速、明日からの“予定”を組もう。
ブックマーク、評価をして下さった方、本当にありがとうございます!
泣きそうでした。




