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予定は確定ースケジュール管理は基本ー  作者: 秋海棠
第四章 レベルアップ
68/133

どんどん進む


 エンデルダンジョン七階層は他の階層に比べて全体的に砂っぽかった。

 出てくる魔物は『ギガントータス』と言う、亀型の魔物。

 体調二メートルほどの巨体、硬い甲羅に食らいついたら離さない獰猛な口が特徴だ。

 ただ、動きが鈍足なので攻撃は回避し易い。

 この階層でも遭遇数はそこそこで、レベルアップはなし。

 中央のセーフティエリアで少し休憩をし、次の階層へ進んだ。

  


 エンデルダンジョン八階層は『キラーピルバグ』という、ダンゴムシ型の魔物が出る。

 ただ、大きさがダンゴムシの様な小さいサイズでは無く、小型犬ぐらいある。

 この魔物も表皮は硬いが、アースストーンやギガントータスより刃は通る。

 その代わり、俊敏性が上らしい。

 しかし、大きいダンゴムシの群れは私の精神衛生上、非常によろしく無かった。

 事前情報で分かっていても、実際遭遇した瞬間、何も考えられずヒースさんへ抱き着いてしまった。

 しかもギャーギャー騒ぎながら。

 動きづらいヒースさんは苦笑いだよ。

 既にお荷物なのに、より迷惑をかけてどうするんだって話。

 それでも私をおぶって、片手でダンゴムシ達を葬り続ける様にトキめかない女子はいないだろう。 

 現に私はイチコロですよ。

 しかも、一つレベルが上がったと喜んでいた彼のハニカミ笑顔が、とてつもなく可愛かった。

 常識的でイケメン紳士かつ可愛いとか、もはや神の領域ではないだろうか?

 つい、はにかんだヒースさんに「えっ? 神?」って言っちゃったら、「神がいるのか!?」って周りをキョロキョロしていた彼を見て、(あんただよ!)って心の中で叫んだ。

 真面目すぎて神ネタが伝わらなかった。

 

 そんな神なヒースさんに迷惑を掛ける八階層では、当然の様に私のレベルが上がるわけがない。

 今日は八階層のセーフティエリアで仮眠を取ろうと言うことになった。


「ヒースさん……ご迷惑おかけして申し訳ありません」

 

 深々と頭を下げる。


「あれ程虫型が駄目だとは思わなかったな」

「基本的に虫全般ダメです」

「それなら尚更、早く範囲攻撃を取得しておいた方が良い」

「……はい。頑張ります……」


 そうです、まだ魔法の範囲攻撃が覚えられていないんです。

 前回練習時、何か掴み始めてたけど、キラービーの一件で掴み損ねたんだよね。

 それからは全然駄目。

 ダンジョン移動中は全く出来る気配がしない。

 集中して練習出来ていないのが原因だろうけどね。


 それから、夕食を取っている時にヒースさんへ気になっていたことを聞いた。


「ヒースさんの武器って特殊なんですか?アースストーンとギガントータスをその剣で切ってましたよね?」


 そう、アースストーンとギガントータスの甲羅はかなり硬いって言われてたのに、ヒースさんは難なく剣で葬っていたんだよね。

 それもギガントータスの柔らかい首部分でなく、硬い甲羅の方をズバズバ。

 ヒースさんの技術と剣がなせる技なのかもしれない。


「この剣の素材はミスリルだ。魔力伝導率が高い上、比較的軽く切れ味も申し分ない素材だ」

「ミスリル? 貴重な素材ですか?」

「そうだな。素材も手に入りにくい上、加工できる者も限られているので通常の剣よりは値が張るな」

「へぇ、そうなんですね。値段は……何となく聞かないでおきます」


 やはり、貴重な素材を使った剣だったのか。

 それでもヒースさんの剣の技術がなければあそこまでズバズバと軽くは切れないだろうなぁ。

 

「ミスリルは比較的軽い鉱石だから、防具で使われることも多い。魔法も付与しやすいと聞いたな」

「じゃあ、このローブよりもお高くなりますよね……?」

「そうだな。軽く十倍はするかもしれないな」

「十!?」


 十倍って……このローブだって百万円相当よ?

 すごい世界だ……

 でも買えちゃうぐらい私の懐が暖かい事は忘れていない。

 たまに、ストレージの大金貨の枚数を見てニヤニヤしてます。

 我ながら下品だな。


 そんな話の後、交互で仮眠を取ることになり、今日は私が先に休んだ。

 今回は事件も無くヒースさんに起こされるまでしっかり眠れた。


♢♢♢

 

 翌日からも八階層の『キラーピルバグ』をヒースさんが倒しつつ九階層へ下り、九階層の魔物『ブラッドスネイル』と言うカタツムリ型の魔物を倒しまくった。

 この『ブラッドスネイル』も大きさはカタツムリサイズではなく、体長一メートルはあったと思う。

 しかも血を吸うらしい。

 殻のあるヒルじゃん!って思ってしまったのは仕方ない。

 ただ、この魔物もカタツムリ同様かなり移動速度が遅い。

 動けない状態でない限りやられる事はないが、麻痺させる分泌液を移動しながら出していて、それを直に触ってしまうとかなり危ない。

 その分泌液を回避すれば倒すのは容易い魔物なので、この階層では頑張って一つレベルもアップした。


 そして現在十階層。

 この階層では『オーク』と言う人の形をした豚の魔物が出る。

 この魔物もゴブリン同様繁殖力が強く、女性は気をつけろと情報に載っていた。

 人型なだけあり、ホブゴブリンみたいな体格があり棍棒を使って攻撃してくる。

 しかも出現数が多い。

 

「コールドバスター!」

「!? ええぇぇぇ!?」

 

 かなりの数のオークに囲まれた時、ヒースさんが魔法を放った。

 すると、広範囲にいるオークは氷漬けになってしまったのだ。

 その光景にびっくりした私の絶叫。


「後方だ!」

「!?」


 ただ、後方のオークにまでは効かなかったので動けるオークもいた。

 無事なオークたちも氷漬けになったオークを見て一瞬動きが止まっていたけど、正気になったのか私たちに襲いかかってきたのだ。


 後方にいたオークたちも二人で倒し、氷漬け状態のオークもまだ魔石になっていなかったので魔法で倒していった。

 動けないならこっちのモンだよね。

 それからも出てくるオークたちを倒しまくり、先へ進んだ。



「ボス戦に臨む前に休んでおこう」


 そう、この階層の最後には階層ボスが待ち構えているのだ。

 一旦仮眠をとって、万全の状態で挑もうという話になった。


 十階層のセーフティエリアは他の階層よりもだいぶ広く、五階層のボス部屋ぐらいの広さがあるのではないだろうか。

 休んでいる冒険者も多かった。

 そこでたまたま、キラービー襲撃で怪我を負ってポーションを分た冒険者に会った。

 彼らはその時持ち合わせがなくて後日払うと約束してくれていた冒険者だ。

 ダンジョン挑戦中は基本的に重くなる硬貨は持たないのが鉄則らしく、今回倒した魔物の魔石をポーションと同額分譲ってくれた。

 同額の価値なんて私には分からないので、ヒースさんが対応してくれて助かった。等価交換もありだな。

 未だにギルドへ魔石を買取してもらってないから、私のストレージの中には大量の魔石がある。

 これ全て買取してもらったらいくらなんだろうなぁ。


 ポーションを分た冒険者とそんなやり取りをし、彼らは既に休んだのでボス戦に挑むとセーフティエリアを出ていった。

 必ず勝って欲しいと彼らの背中に祈った。


 私たちも交互で休む。

 今日は私が先に見張り役。

 ヒースさんが眠りについたところで自分のレベルが幾つなのか鑑定してみる。


▽▽▽

名前  :トウコ・スズキ(偽名:ユエ)

職業  :販売部

レベル :18

HP   :431/675

MP   :560/910

スキル :隠匿操作・鑑定

ユニーク:予定・ストレージ

その他 :創造神の加護・商業神の加護

△△△


 よしよし、もうすぐレベル二十だ!

 特に二十で解放されると言われた能力はないけど、なんか嬉しくなるよね。

 ついでに寝ているヒースさんも鑑定しておこうかな。


▽▽▽

名前  :ジェス・カイルラー(偽名:ヒース)

職業  :剣士

レベル :114

HP    :3,156/3,790

MP   :1,760/3,025

スキル :剣術・体術・盾術・身体強化・視覚強化・気配察知・水魔法

ユニーク:

その他 :元ワンド国近衛隊第35代目隊長

△△△


 あっ、そう言えばヒースさんは本名じゃなかったんだっけ。

 忘れてたわ。

 それにしても流石のステータス。

 私と比べてはいけない。

 これだけ差があると悔しいなんて微塵も思わないね。


 さあ、【ホーリーウェーブ】の練習しよっと。


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