表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
予定は確定ースケジュール管理は基本ー  作者: 秋海棠
第四章 レベルアップ
54/133

飼葉を買いに行ったはずが…



 また今日もヒースさんとクリフ君は依頼を受けホテルを出ている。


 さて、今日は何をしようかなと思っていたら部屋の扉がノックされた。


「はい、何方ですか?」

「ナージンです」


 またまたナージンさんのご訪問。


「どうぞ」

「失礼します」


 おっ、今日は商人のナージンさんだ。


「こんにちは、今日は騎士姿ではないんですね?」

「ええ、あの姿は本当に稀です。基本は城に居りませんからな」

「そうでした、他国にいる事が多いんですよね?」

「はい、今日はエンデルダンジョンの詳細をご報告にまいりました」

「お忙しいのにスミマセン」


 そう言えば、ナージンさんは隊長だ。

 連日報告やら何やらで来てくれてるけど、かなり忙しい身のはず。

 まだ国王の件だって片付いてないだろうし、申し訳ないなぁ。


「お気になさらず。これが、エンデルダンジョンマップです」


 エンデルダンジョンは地下五十階層からなり、既にダンジョン突破をされているそうだ。

 だが、詳細な地図は二十五層までで、ヒースさんがいれば二十階層くらいまでなら、チャレンジしても問題ないだろうとのことだ。


 一階層から十階層までは洞窟タイプで、十一階層から二十階層はフィールドタイプと呼ばれ階層ごとに地形が異なるそうだ。

 二十一階層から三十階層はまた洞窟タイプ。

 三十一階層から四十階層はまたフィールドタイプ。

 四十一階層から四十五階層は洞窟タイプ、四十六階層から五十階層はフィールドタイプと分かれている。

 転送陣という転送装置も五階層毎に設けられているようで、一度その階層に設置された転移陣に触ると本人を記憶し、地上に帰る事や、次回その階層から始める事が出来るんだとか。

 ちょっと不便なエレベーターみたいだ。

 でも、また一階層から始めたり、全ての階を登って戻る必要がないから重宝されるのは当たり前か。

 私も初めは五階層まで頑張ろう!


「フィールド階層に挑む時は特に準備を万端にした方が良いでしょう。ユエさんはアイテムボックスをお持ちですから食料類とポーション類も十分確保して下さい、あと__」


 フィールド階層は砂漠や森、草原などその階層により地形が変わるので、広さも違うとか。

 十一は草原、十二は森、十三は沼、十四は砂漠、十五は雪。

 その階層に挑むなら、適した装備も必要だから揃えておくように言われた。


 ならば、今日は買い物だ!

 と言う事で、ナージンさんから情報を聞き終え、助言通り装備を購入しに街へ繰り出した。


♢♢♢


「お邪魔しました」

「また来てね!」


 そう言って後にしたのは、一軒目の洋服屋。

 装備系はヒースさんに助言してもらった方が良いかなと思って後日買うことにした。

 それ以外の必要備品を今日は揃える予定だ。

 しかし、一軒目でかなり買ってしまった。

 フィールドダンジョンの気候変動で必要だと自分に言い聞かせながら、普段用のものも多数……

 これは必要経費だ。


 次は買い忘れてたクリフ君の高級飼葉を買いに行こうと思い、馬車乗り場の人に購入場所を聞く為城門近くまで来た時、その騒ぎに気付いた。


 城門辺りを慌ただしく人が行き交い、


「ポーションはまだか!」

「治癒師は!?」

「こっちに包帯を!」


 ただならぬ事が起こっているのはわかった。

 奥には人集りが出来ている。


「ポーションかき集めてきましたが、足りません!」

「教会からの派遣はまだなのか!?」


 人垣の隙間から見えたのは、沢山の人が横たえられていて、夥しい程の血が流れている。

 軽傷の人もいれば、重症に見える人、助からないだろう人もいた。


「スミマセン、通して下さい!」


 私は人をかき分け、近くにいた兵士に声を掛けた。


「私回復魔法が使えます!お手伝いします。あと、これポーションも!」


 手当たり次第回復ポーションをストレージから出す。

 と言ってもそんなに数がないのが歯痒い。


「!?回復魔法!?教会からの派遣か!?」

「いえ、一般人です。重症の人から治療していきます!」


 ザワザワ後ろで言っているけど、今はそれどころじゃ無い。


 それから私は魔力が尽きる前にMPポーションを飲み、重傷者から回復魔法をかけていった。

 だが、何人かは手遅れで救えなかった。


「あんた……もういいよ、ありがとう」

「ごめんなさい、救えませんでした……」

 

 最後に運ばれてきた人も救う事ができなかった。

 いくら魔法があっても限界は勿論ある。

 私では欠損してしまった体の一部を戻すことも出来ない。

 無力さを痛感した。

 また泣きそうだ。

 

「貴女、回復魔法が使えるのかい?」

「ええ……」


 無力さに苛まれていた私に、そう声をかけてきたのは年配の女性で、小学生くらいの女の子と一緒だった。

 

「お代を払うから、この子の怪我を見てくれないかい?」

「……お引き受けします」

 

 私はさっきまでの無力さを掻き消すように、出来る事をやろうとその子の傷の治療をした。

 服の上からではわかりにくかったけど、突き飛ばされて馬車の角にお腹をぶつけてしまったそうで、服を捲ると内出血がひどかった。

 ヒールをかけて良くなったと言ってくれたので、内臓破裂とかでは無さそうで安心した。

 こんな時だしと、お代は相場より少し安めで伝えたら感謝され、さっきの無力感が少し薄れたのは言うまでも無い。


 そうしたら、それを見ていた別の人が、俺も私もと列を作ってしまい、軽症者の手当でてんやわんやする羽目になってしまった。

 今回のこの騒動は、大型キャラバンが王都近くの街道で魔物に襲われた事によるものらしい。

 なので、俺も私もと手を挙げた人達も商人ギルドに所属している人が多かった。

 支払いもギルド証で行う人が多く、まさかこんな所で借りた魔道具を使うとは思っても見なかった。


 MPポーションもなくなり、魔力も底をつきそうだったので全員まで手当ては出来なかった。


「ごめんなさい、もう魔力が無いので治療が出来ません」


 並んでいた人は渋々散って行った。


「ご苦労様。今までの助力、感謝する」


 そう私に声をかけてきたのは、兵士の服を着た三十代ぐらいの、体格ががっしりした男性だ。


「いえ、救えない方もいましたし……少しは力になれてよかったです」

「誰よりも力になってくれたと感じているよ、ありがとう」


 ワンド国の兵士とは大違いだな!

 頭まで下げてくれたよ、この方は。


「いえ、では、私はこれで」

「待ってくれ、謝礼を支払わなければならない。こちらへついてきてくれ」


 そう言われて、詰所に連れて行かれた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ