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出来ちゃうじゃん


 憔悴したカイラさんを連れ、ホテルの私の部屋に戻った。

 ナージンさんもヒースさんも一緒だ。

 

「何故何も話さず、自害しようとした。それこそ国王を裏切る行為とわかっての事か!?裁きは王が下すものぞ!」

「申し訳ありません。考えが至らず浅慮でした」


 初っ端から激昂するナージンさん。

 そりゃそうか。

 もしあのままカイラさんが自害してしまっていたら、結局何も掴めないまま国王が亡くなる事になったかもしれない。

 第一王女が怪しいと私が言っても、実際操られた人が証言しなければ裁く事もできない。


「それで、いつから操られていたんだ?」

「王が体調を崩される一月ほど前からでしょうか。モヤがかかったように王女の言葉を肯定的に捉える様になり、それからは諜報部の情報を王女に知らせなければならないと言う想いに囚われました」

「そうか……四ヶ月近くも私は見抜けなかったのか。情けない」

「申し訳ございませんでした」

「私への謝罪は必要ない。呪詛士はどうなった?」

「王へ呪詛がかかり、その一月後には亡きものとされたようです」

「じゃあ、私のやってたきた鑑定は無駄じゃないですか……」


 完全に無駄足。

 なんの為の鑑定だったのか。

 それこそ一番初めにカイラさんを調べていたら、分かったことなのに。

 それでも、既に国王を助ける手立てはなかったけれど。


 カイラさん自身、呪詛士が殺されていることは知らず、今日の報告時に聞かされたそうだ。

 その時はまだ魅了がかかっていて、王女の言葉に肯定的な意識がはたらいたが、部屋に戻ると同時に魅了魔法が解除され、そこで自分の今までの愚かな行いを自覚したそうだ。

 その自覚に精神的に押しつぶされて自害しようとしたんだとか。


 完全に第一王女の手のひらの上で踊らされているじゃないか。

 

「王を救う術がないと言うことか……なんと言うことだ」

「「「……」」」


 今の時点で王太子の関与は確認できていない。

 王太子に心酔した王女が早まった結果と考えている。

 王太子という地位なのだから次の王に決定している。

 なのに、王女は何故国王を殺してまで王太子を王に据えようとしているのかわからない。

 今の国王が悪政を敷いているわけでもない。

 むしろ賢王とまで呼ばれているそうだ。

 不可解すぎる。


 ナージンさんは王が幼い頃から仕えていて、聡明であり決断力のある王を尊敬しているそうだ。

 だから、最近の日に日に弱っていく王を見るのは本当に辛いと言っていた。


 ナージンさんの諜報第二部隊は他国での仕事が主だが、今はそれどころではなく、諜報部総動員で原因究明、原因の排除方法を探している。

 なのに、もう救えないとなると、ただその死を待つだけという全員が辛い結果となる。


 この国王に掛けられた呪詛はとても複雑で難解なものらしく、唯一聖女なら解呪出来るかもしれない。

 だが、現在この世界に聖女はテラツカさんを含めて三人しかおらず、テラツカさん以外の聖女はこの大陸にいないんだとか。

 しかも、ワンド国は召喚の儀を行ったこと自体公表していないから、聖女であるテラツカさんの派遣をお願いしても、いないの一点張りだったとか。

 

 くそワンド国め!

 召喚の儀成功なんてとっくにバレてんだよ!

 他国の王が大変な状況なんだから、派遣しろよ! 


 口が悪くなるのは仕方ないと思う。

 そんな会話をワンド国民のしかも元近衛隊長のヒースさんを前にしている私たちだが、思い当たる節があるのか苦い顔をしたまま聞いているヒースさん。

 ヒースさんが悪いわけではないけど、責めているようで申し訳ない。


 私も“予定”スキルがなかったら今頃どうなっていたか。


 ……

 ん?

 “予定”スキル?


 まさか出来ないでしょ。

 いや、もしかして……


「ナージンさん、国王の正式なお名前って聞いていいですか?」

「うん?フランツ・カール・ヤヴォンだが」

「ありがとうございます」


ーーーーー

イベント:ヤヴォン国国王フランツ・カール・ヤヴォンにかけられた呪いを解く

日時  :開始 3152年9月9日 18時37分

     終了 ーー

場所  :なし

繰り返し:なし

アラート:なし

ーーーーー

【消費魔力は「150」です。実行しますか?】

【はい・いいえ】


 ……出来ちゃうよ、“予定”スキル。

 聖女レベルでないと解呪出来ないんじゃないのか?

 いつもよりは魔力消費量が多いけど、それでも二百はいかない。

 これまた初めから試してれば良かったじゃん。

 どこまで万能なんだ“予定”スキル。

 生命を奪う事はできないってカマック様仰っていたけど、そんなの求めてないから良いよ!


「ナージンさん。もし、私がなんとかなるって言ったらどうします?」

「はい?なんとかなるとは、何の事です?」

「いや……その……」

「どうしたんだ?」


 いやぁ、非常に言いにくい。

 言いかけちゃったけど、これ私が解呪出来ますなんて言ったら、余計に神使感が強くならないか?

 でもなぁ、出来るものをやらないのも、結局ずっとモヤモヤしてやっておけば良かったって後悔するのは目に見えてるんだよなぁ。


 って、別に解呪出来ることをわざわざ言わなくたって良いんじゃん!

 勝手に解呪してこの国を出て行けば良いんだ!


「いえ!やっぱり何でもないです!」

「話途中で止めるのは失礼に当たるぞ。最後まで言ってくれ」


 ……ヒースさんめ、この真面目君が!

 

「いえ……特に何でもないので、気にしないでください」

「ユエさん、もしかして何とかなるとは、国王の事ですか?」

「……」

「なら、是が非でも話して下さい」


 だから、なぜ私は考えなしに話し始めたんだ!

 もう何かを察してるじゃん!


「あの……絶対に今から言うことはここだけの話にしてもらえますか?国王にも話してはダメです」

「国王様にも……?」

「はい、誓ってください。ここにいる人は今から私が言うことを他言しないと」

「分かった」


 ヒースさんはいつも了承が早いんだよなぁ。

 ちゃんと考えてるんですか?って聞きたくなるけど、大概考えてらっしゃいますもんね。 

 ナージンさんとカイラさんは迷っているようだ。


「悪いようにはならないと思います。もし、この先を聞きたくなければ、ヒースさん以外は出ていってください。この話は以上です」



ここまでお読み下さり、ありがとうございます。

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