次は国賓扱い
またまた神使呼ばわりを回避しつつ、今まで通りに接して欲しいと伝えた。
「それと……今言った加護の事は誰にも話さないでください。もし言ったら……どうなるか知りませんよ?」
はい、二人とも全然怖く無いよって顔してる。
くそぅ。
脅してるつもりなのに、何でそんな余裕なんだ。
流石に、創造神カマック様の名前を使って脅すのはやり過ぎだと思うし、カマック様も使って欲しく無いだろうから言わないけどさ。
でも、ちょっとくらいは怯んでくれてもいいじゃない。
良いんだけどね!と、今は強がっておく。
「しかし、創造神様の加護が実際に、人に与えられるものだった事だけでも大発見ですな」
「ああ、過去神使と呼ばれた人物のみと聞いているが、実際に目にするとは」
「でも、お二人とも普通に私が言った事を信じてらっしゃいますけど、嘘の可能性だってありますよ?本当は加護なんて無いのかもしれない。ヒースさん、鑑定の儀の時確認しましたよね?」
「その時の鑑定結果は、ユエだけ加護なしと私も聞いている。ただ、何かしらの能力で消されていたとしても不思議では無い。それこそ、創造神の加護と言う尋常では無い力を授かっているなら尚更だ」
「確かに私共では加護があるかの断定は出来ませんが、ここまで不自然に魔物と出会わないのは何かしら力が働いていると思いますからな。それが創造神様の加護の力であるなら納得ですよ」
あぁ、加護がある事は信じてしまうのね。
私の言葉だけなのに。
嬉しいような悲しいような複雑。
「しかし、ユエはあのロッテントークに行こうとしているのか」
「はい、一応神託みたいですし。あの大陸の事は詳しく知られていないんですよね?」
「ええ、向かった者は誰も戻ってきていないと聞きます」
「そうですよねぇ……」
やはり、向かった者は戻ってきていないって聞くと怖くなるなぁ。
でもカマック様は、現地民がいるって仰ってたから生活できる環境はあるんだよね?
瘴気のせいで慣れていないこの大陸の人の体では厳しいのだろうが、私はカマック様が大丈夫って言ってたからそれを信じるけど。
でも、どうやって渡るとか何にも考えてなかったな。
船で行くんだろうけど、ロッテントークまで乗せてくれる船を出してもらえるとも限らない。
むしろ一般の人にお願いしても無理じゃない?
レベルすらまだまだなのに、どのくらい時間が掛かるのか……先の事を考えたら頭が痛くなってきた。
「まあ、レベルを上げてから渡り方などは考えます。ヤヴォン国にもダンジョンはあるんですか?」
「ありますよ、王都から十日ほどの街に。でも、そうですか、レベルを上げたらロッテントークへ行かれるんですね。そうですか……」
何やらナージンさんが考え出す。
えっ?一緒に来るとかは言わないよね?
そりゃ無いか。
ヤヴォン国の立場ある人だし。
あっ!
一番大事な事を忘れてた……クリフ君の事だ。
彼はきっとロッテントークには行けない。
瘴気にあてられたらきっと無事では済まないから。
でも、クリフ君は私を好いて付いてきてくれている。
お世話も騎乗もようやく慣れてきた。
それなのに、この大陸に置き去りにするなんて無責任な事、許されないししたくない。
「……ロッテントークにクリフ君は連れて行けないですかね?何か良い方法を知ってますか……?」
「馬ですか。そもそも船の長旅に馬は耐えられないと思いますな」
「ですよねぇ……」
クリフ君の元に行き、抱き着く。
まだ少し先だけど、離れなければならないのかと泣けてくる。
いや、離れないで済む方法を探そう。
そもそも、ロッテントークに行ったきり帰ってこないわけじゃない。
むしろ世界樹の浄化を終えたら、すぐ帰ってくればいい。
それまで預かってもらえる先を見つければ良いんじゃない?
クリフ君が懐いてくれる人を探そう!
これも無責任な考えかもしれないけど、私はこれしか思いつかなかった。
「ロッテントークに行っている間、クリフ君を預かってもらえる先を探してみます」
きっと賢いクリフ君なら理解してくれると、勝手な思い込みかもしれないけれど、撫でながらそう思った。
振り回してごめんね、クリフ君。
「ロッテントークか……」
そんなヒースさんの言葉は、その時の私には届いていない。
♢♢♢
ダージ街を発ってから九日。
あっさりヨーク国との国境を越え、ヤヴォン国の王都に到着した。
「……やはり加護の力は偉大か。信じられませんな、ここまで順調とは」
「ハハ、無事が一番ですよ」
ナージンさんに目を細められ「貴方は……」って言われた。
良いじゃん!無事なんだから。
でもさ、そもそもヤヴォン国の精鋭ナージンさんと元近衛隊長のヒースさんがいる時点で過剰戦力だって!
レベル百二十七と百十二の二人だよ?
レベル十四の私がいても何とかしてくれそうな程、二人の安心感は凄かった。
何もなかったんだけどね。
「ナージンさん加護の事は絶対言っちゃダメですからね?念を押しておかないと」
「……」
おい!無言って、ハイと言いなさいハイと!
「ナージン殿、そこは守ろう。簡単に加護の事を広めてはならないだろう?」
「ユエさん、国王様にもやはりダメですかな?」
「むしろ国王はダメでしょ!何言われるかわからないじゃないですか!」
「我が国王様は悪いようにはしないですよ」
「そうかもしれませんけど、私は面識もありませんし、王様の事詳しく知りませんもの。とにかくお願いしますね!」
「……わかりました」
めちゃくちゃ渋い顔をしてるけど、大丈夫かな?
本当に頼むよ?ナージンさん。
今日はもう夕方なので、ナージンさんが取ってくれた宿に泊まる事になったんだけど……
その宿に案内された私は言葉を失った。
想像していた宿じゃない、高級ホテルだ。
いかにも格式高い老舗のような雰囲気のホテル。
高さは四階建てのようだけどその分横に長く、部屋数も多そうだ。
敷地も広く、貴族の屋敷か?と言っても不思議じゃないくらい、整えられた庭もある。
豪華な馬車も行きかっており、明らかに貴族向けに見えるんだが。
一泊いくらだよ?
「……ナージンさんここに泊まるんですか?一泊おいくらです?私払えるかな……」
「ユエさん、ヒース殿、宿泊費はこちらで持ちますので気になさらずお過ごしください。比較的城からも近いので、ここから城に出向いてもらう事になりますが、良いですかな?」
「それは全然問題ないんですけど、流石にこんな豪華なホテルに泊まるのは気が引けますよ……国の経費ですよね……?」
「極秘ですけど、国賓を招いているんですから、これくらいの宿は当たり前ですよ?」
「……国賓?」
「ええ、ユエさんです」
私かい!
国賓扱いはやめてー!!
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