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やはりでした


 うーん、この顔どこかで見たことあるんだけどなぁ。

 全然思い出せない。


「気のせいかしら?似ている気がするわ……」


 ラミーさんも誰かに似ていると感じたようだ。

 同じ人かな?


「お嬢何です?」

「確かではないけれど、この方ワンド国の近衛隊長ではないかしら?」


 ワンド国って言った!?

 隊長!?

 ……

 ……ああ!

 ワンド国脱出の日、国王を殴ろうとした時に唯一気付かれた騎士に似てたのか!

 いや、似てるってか本人じゃない!?


 えっ!?追手!?

 ど、ど、どうしよう!?

 もう傷は治しちゃったけど、寝てるから気付かれていないだろうし、いっそ逃げちゃう?


 いや、でも二人を置いて?

 一緒に出発したとして、この意識のない人をこのままにしておく?


 どうしよ、どうしよ、どうしよ、正解がわからない!


「ユエさんどうされました?」


 ラミーさんの声に意識が戻される。

 かなりテンパってるな私。

 取り敢えず落ち着け。

 落ち着け。


「ラミーさんはワンド国の近衛隊長と面識があるんですか?」

「いえ、お話しした事はないです。ただ、ワンド国王がヨーク国にいらした際、伴われていたと記憶しています。もちろん近くではないので誤っている可能性は高いですけれども」


 そんな遠目かつ一度会っただけで、よく覚えてましたねラミーさん。

 私は言われるまで全く思い出せませんでした。


「ワンド国の近衛隊長なら一人は可笑しいですね。ワンド国王がこの国に来ていると言う話もないです。それに服装も近衛服ではないですし」


 ケージさんも、もしワンド国の近衛隊長であるならばここにいるのはおかしいと感じるようだ。


「一度しかお目にかかってないので、違うかもしれないわね」


 いや、ラミーさんおそらく正解です。

 私も見覚えあるから。

 ちょっと鑑定してみようかな。


▽▽▽

名前  :ジェス・カイルラー

職業  :剣士

レベル :112

HP   :3,332

MP   :2,450

スキル :剣術・体術・盾術・身体強化・視覚強化・気配察知・水魔法

ユニーク:

その他 :元ワンド国近衛隊第35代目隊長

△△△


 やはりワンド国の近衛隊長か。

 スパイ商人のナージンさんもレベルが高かったけど、この人もレベル百を超えるのか……流石国王を守る立場の人だ。

 どれだけ訓練や実践を積めばここまでになれるのか。

 

 ん? でも“元”って書いてある。

 辞めたのかな?

 もしや……私のせいとかある?

 目の前で国王の危機を止められなかったとかで、辞めさせられたなんてあり得るな。

 もし私のせいだったら、この人にバレた瞬間確実に捕らえられるか、最悪殺されてもおかしく無い。


 幸い、脱出の時は顔まで見られていないと思うし、私が城にいる時一度も顔を合わせてないからバレる事はないと思うけど、出来れば関わり合いにならない方が良い。

 いつ私がヘマをやらかすか気が気でない。

 自分を信用できない悲しさ。


 かと言ってこのまま放置して行く事も出来ない。

 眠っている彼が起きてバレない事をまず祈ろう……

 よし、取り敢えず初めましてで通す。


「この方が目を覚ますまで待ちましょうか」

「じゃ、ユエさんこの人が起きたら起こしてくれ」


 やはりそうなりますよねぇ。

 まだ空は少し暗い。

 倒れていたこの人もそうそうすぐに起きる気配もない。

 見張り時間の私を置いて二人はまた目を閉じた。


♢♢♢


「うっ……ハッ!マズイ!剣は!?」


 そう言って倒れていた元近衛隊長が、自分の腰に刺してある剣の柄に手をかけ、剣があるかの確認をしていた。


 既に外は日も上り、恐らく朝七時頃だろう。

 ラミーさんもケージさんも既に起きていて、朝食も終えている。

 意識の無いこの人を馬に乗せて移動していて、いきなり起きても危ないから寝かせたまま待機していた。


「……ここは……っ!?」


 意識が覚醒し、あたりを見回した彼の目にどうやら私たちが映ったようだ。

 驚いた顔をしている。


「意識が戻ってよかった。あんたそこの茂みに倒れてたんだ」

 

 ケージさんがそう元隊長に話しかける。


「!?傷が……手当てしてくれたのか?」

「この人が治してくれたよ」

 

 そう言って私を指す。


「助かった、恩に着る」


 元隊長が私に頭を下げる。

 私は首を横に振って何でもないですをアピールする。


「あんたなんであんなとこに倒れてたんだ?俺たちがいなきゃ危なかったぞ」

「魔物除けの香も焚いてたんだが、ワーウルフの群れに襲われてな。巻けたは良いが、不覚にも攻撃をもらってしまった。失礼、名乗っていなかったな、私の名はヒース。危ないところを助けて頂き改めて礼を言う」


 ワーウルフがどんな魔物かわからないし、どの位の群れだったかも知らないけど、よく無事だったなぁ。

 スキルの無い私が一人でいる時に魔物の群れに遭ったら即死だろうね。


 元隊長が名乗ったので、私たちも名乗ったが、元隊長も偽名を使っているようだ。


「俺たちはダージ街に向かうが、あんたもこっから近いダージに行って休んだ方が良いんじゃねぇか?」

「ああ、私もダージへ向かっていたんだ。共に行っても良いか?」

「じゃ……お嬢……いや、ユエさん良いか?」


 ん? 


「どういう事です?」

「私を貴方の馬に乗せてもらえないだろうか?」


 えっ!?

 えぇええ!?

 クリフ君に一緒になるって事!?

 ラミーさんじゃダメなの!?


「ユエさん、頼むよ」


 ケージさんが何か困ったような顔でお願いしてくる。

 あれか?結婚前のお嬢様と出来れば乗せさせたくないとか?

 こっちも困るんだけどなぁ……でも頑なに断ってもおかしく思われるから仕方ないけど、嫌だな。


「……わかりました。でも私二人で騎乗した事がないんですが」

「大丈夫だ、私が後ろになろう」

「……」


 ちょっ、ちょっと!

 こんなに近いの!?

 無理無理無理、聞いてない!

 めちゃくちゃ元隊長の息遣いとか聞こえるんだけど!

 バレる云々言ってる場合じゃなかった……

 

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