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奪還作戦(前半)



 『神使』呼ばわりを何とか回避し、取り敢えずラミーさんからレベルアップの協力も得られたところで、応接室のドアがノックされた。


「失礼致します、ケージです」


 ケージさんが戻ってきた。

 意外に早かったな。

 ラミーさんが入室を許可し、ケージさんが入ってくる。

 

「戻りました。ご報告致します」


 ケージさんの報告では、ヤロは現在屋敷にいるそうだ。

 ただ、明後日には領地の村へ出発し、屋敷を留守にする。

 その間エメリアさんは屋敷の地下室に入れられたままになるのではとの事だ。


 良くこんな短時間で調べられたね。

 しかも屋敷の見取り図まで出して地下室の場所を説明している。

 どこから入手するんだ、他人の屋敷の見取り図なんて。

 


 見取り図の入手方法は置いておいて、作戦の話を。

 今回屋敷に侵入するのは私とケージさんの二人。

 ラミーさんはサンディス家の屋敷で待っていてもらう。

 私が隠匿操作した状態でケージさんと屋敷に入り、ケージさんに地下室のエメリアさんの場所まで誘導してもらう。

 恐らく地下室の手前には屋敷の警備隊がいるだろうから、その人達を眠らせ鍵を開ける。

 私がエメリアさんの首輪を外し、ケージさんにエメリアさんをおぶってもらい、屋敷を抜け出すという流れだ。


 既に二人には私の隠匿操作スキルを見せているので納得済み。

 奪還作戦も復習し終え、後は実行日の明後日を待つ。


♢♢♢


 やって来ました奪還作戦実行日。

 

 ケージさんによってヤロが屋敷を出たと知らされる。


「では、行ってきます」

「ユエさん、私共の事に巻き込んで申し訳ありません。エメリアをどうか宜しくお願いします」


 こう話したのは、ラミーさんのお父上。

 そうサンディス男爵だ。

 屋敷に招待頂いた日にご挨拶して、私が作戦の要だと言う話もしている。

 見ず知らずの輩にエメリアさんを託すなんてという話にもなったが、私の隠匿操作スキルを見せたり、ラミーさんの説得で何とか納得してもらえたのだ。


 しかし、このサンディス男爵もかなりの美形。

 髪の色は焦茶だが、目の色がラミーさんと同じ。

 確かラミーさんが十九歳っていってたけど、サンディス男爵はどう見ても二十代後半にしか見えない。

 でも、顔の作りとか何処となく似ているから親子なんだろうけど……見た目が若過ぎる!

 是非とも後妻に!と名乗りをあげたかった。

 そう、奥様は既に他界しているのだ。

 エメリアさんが聖属性持ちだと知れたその年に病で亡くなったそうだ。

 今もその奥様を愛するサンディス男爵は後妻を置いていない。

 硬派な男、最高です。

 

 そんな私の好みは置いておき、救出に行かねば。


「はい、無事にお連れします」


 そう言って、ケージさんと二人サンディス家の屋敷を後にした。


「あんたは何でエメリア様の救出に協力してくれるんだ?」


 屋敷を出て歩き始めたところで、ケージさんが私に聞いてきた。


「正直に言うと、私も隷属の腕輪をつけられた事があるんですよ。なので、理不尽に首輪を付けられたエメリアさんに同情したんです。ただそれだけですよ。あっ、あとはレベルアップに協力してもらうためなんで、ほとんど自分の欲ですね」


 別に嘘をつく必要もないので、本当の事を言う。


「腕輪を……そうだったのか。今までの態度を謝罪する。申し訳なかった」


 と、隣で歩きながら頭を下げるケージさん。


「別に今更良いですよ。その分レベルアップの協力はお願いしますね」

「ああ、勿論だ」


 やっと、ケージさんの警戒は解けたのかな?

 レベルアップに付き合ってもらうんだから、少しは気を許してくれたら良いな。


 そんな話をしていたら、ヤロの屋敷に到着した。

 サンディス家の屋敷からは徒歩で大体二十分位だろうか。

 かなり大きく豪華な屋敷だ。

 サンディス家と比べてはいけないが、二倍ぐらいの敷地の広さはありそうだ。

 門からは既にギラギラ感が伝わる。

 鼻持ちならないねぇ。


 そんな屋敷を過ぎ、少し離れた宿屋に二人で入る。

 流石に屋敷前でいきなり隠匿操作を使うわけにはいかないからだ。

 断じてやましいことはない!


「では、スキルを発動します」

「ああ、頼む」


 隠匿操作スキルを発動し、ケージさんの洋服の裾を掴む。

 二人とも認識されなくなった事を確認し、宿を出る。


 ヤロの屋敷の裏手に着く、使用人用の扉があるからだ。

 今は十一時五十分。

 もう間も無く使用人が何人か出てくるはずなので、その隙をついて入る予定だ。


 ガチャッ

 ザワザワーー

 

 何人かの使用人が出てきたのを見て中に滑り込む。

 二人で行動するのはとても大変だ。

 ちょっとでも服を離したらケージさんがバレてしまう。

 めちゃくちゃハラハラしている。

 

 何とか最初の関門は突破。

 本邸にも入れて、あとは地下室の扉を見つけるのみ。

 恐らくここだろうと当たりをつけた部屋に入るが、地下の入り口まではケージさんもわからないようだ。

 色々なところを触り、扉がないか確認しているが見つからない。


 私はスマホを出し、入力する。


ーーーーー

イベント:ヤロ・フォン・ブターの屋敷地下の入り口を開ける

日時  :開始 3152年8月1日 12時17分

     終了 ーー

場所  :現在地

繰り返し:なし

アラート:なし

ーーーーー

【消費魔力は「1」です。実行しますか?】

【はい・いいえ】


 よし、実行可能だ!

 “はい”を押す。

 すると私の手は勝手に、部屋に置かれた本棚の上から二段目、左から五番目の本を抜いた。

 そして、その奥にあったボタンを押す。


 がチャッ、ガタン。

 ギィィ……

 

 開いた!

 

「……何故わかったんだ?」

「勘です」

「……」

「行きましょう」


 何か言いたげなケージさん。

 でも今はそれどころではないから話は終わり。


 ケージさんが階段下に向かって火を付けたボールを投げ入れた。

 煙が階段下から上がってくるので、一旦扉を閉める。

 投げ入れたのは眠り薬の入った煙玉だ。

 


 

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