信じないよね
また、下手くそな戦闘シーンです。
私のやることが決まった。
・ケージさんとラミーさんに会って話をする
・ラミーさんの家族の奪還協力
・私のレベルアップに協力してもらう
直近で進めるならこんな所か。
善は急げ、“予定”スキルで二人に会いに行こう。
♢♢♢
“予定”スキルで、二人のいる場所に向かったところ、街の外の森だった。
しかも現在大きい魔物と戦闘中。
街の外に出る時もしかしたらと思って、念の為クリフ君は宿の厩舎に預け、“魔物と出会わない“という予定はOFFにしていた。
なので、私が近づいても魔物が去ることはない。
ただ、その魔物に苦戦しているように見える。
体高は三メートル程だろうか。
ツキノワグマみたいな見た目だけど、ここから見える目が真っ赤だ。
それに爪が大きく尖っている。
体も分厚い毛で覆われていて、剣での攻撃があまり効いていないようだ。
それにケージさんは怪我を負っている様子。
ラミーさんは土属性の攻撃魔法で応戦してるが、移動中に見た魔法より威力が落ちている様に感じる。
私は気配を消して、熊の後ろに何とかして回り込む。
だが、もちろんクマの魔物も動く。
とにかくウィンドウボールのイメージを強いもので固め、いつでも打てる様にする。
クマにケージさんが斬りかかるが、爪で受け止められ剣ごとケージさんを薙ぎ払うと、一瞬隙ができた様に見えた。
「魔法を打ちます!伏せて!」
二人が伏せたかの確認なんてしてなかったけど、魔法をクマの左胸に向かって放つ。
だが、やはりクマは動く。
左胸は捉えられなかったが、左脇を三十センチ程抉ることには成功。
そしてグラつくクマ。
その一瞬をラミーさんは見逃さず、
「ストーンフォール!」
直径一メートルくらいの岩が複数、上空からクマに向かって落下していく。
その岩は見事クマに当たり、下敷きになる。
ちょっ、ちょっと!
私も意外に近くにいたんだから、当たるところだったよ!
クマはまだ動いていたけど、私が抉った傷も影響してか、程なくして動かなくなった。
「やった……」
私がそう呟いている間にラミーさんはケージさんに駆け寄る。
「大丈夫かケージ!」
「へへ、ちょっとしくじっちゃいましたね……」
見ると、足の付け根あたりをザックリ切られて血が止めどなく出ている上、顔は青白い。
これはヤバい、致死量が出ていそうだ。
急いで駆け寄り、
「ハイヒール!ハイヒール!ハイヒール!」
私にはハイヒールの重ねがけしかできない。
これだけの重症だと間に合わないかもしれない。
だが、一回目のハイヒールで血は止まり、二回目以降のハイヒールでみるみる他の傷も含め治っていった。
あれ?ハイヒールってこんな重症も治せるんだっけ?
結構血が出てやばかったと思うんだけど……
「あれ?俺助かったの?」
「馬鹿野郎!お前まで……」
ラミーさんは大声で叫んだ後、俯いてしまった。
「あのぉ、乱入してすみませんでした」
「やっぱあんただったか、ありがとな。でも、前ヒールとキュアだけって言ってなかったか?」
「……」
「まあ、助かったことには代わりねぇ、ありがとな。」
やばい、そうだ、前回ヒールとキュアだけって言ってたの忘れてたー!
無言を貫いたら、それ以上突っ込まれなかったからありがたい。
「お嬢は大丈夫か?」
ケージさんはまだ動けない様だが、ラミーさんを気にする。
ラミーさんは腕で顔をグイッとしたからもしかしたら……
「助かった」
ボソッと言って私に頭を下げるラミーさん。
ちょっと鼻声だった。
それからラミーさんが魔法で出した岩をストレージにしまう。
岩を次々としまっていたからか、ケージさんは目が点だった。
ラミーさんの顔色は見えないけど、止まったままこっちを見ている。
それよりも、クマを確認しなきゃ。
▽▽▽
魔物名:ブラッディベア
レベル:82
HP :0
MP :0
スキル:身体強化・咆哮
その他:死亡、魔石ランクC
△△△
鑑定したら死亡ってなっていたから問題ないが、このクマのレベルと魔石のランクは問題だった。
Dランク冒険者の二人より格段に強いんじゃない!?
しかも身体強化って攻撃が通りにくそうなスキル名だね、そりゃ梃子摺るよ。
それに私の十倍のレベル……よくあの攻撃魔法が通じたな。
取り敢えずこのクマはどうしよう。
ケージさんの状態を見ても、今ここで解体なんてお願いできないから私が持って帰るのがベストか。
「あの、ケージさんは安静にしたほうが良いと思うので、一旦このクマ私のアイテムボックスにしまっていいですか?」
「あんたまだ入んのか?」
「ええ、大丈夫ですよ」
「じゃ……頼むわ……」
あっさりとブラッディベアを入れたらまた驚いた顔をしていた。
ラミーさんの顔はやはりフードで見えないけど。
フワッ
あれ? 前にも感じた一瞬の浮遊感。
もしかしてレベルアップしたとか?
でも今は見れる時じゃ無いんだよなぁ。
それから、私は一人街に戻り、クリフ君を連れ二人の元まで戻った。
そして、ケージさんはクリフ君に乗せ、私とラミーさんはその横を歩く。
ここで私はラミーさんに切り出した。
「不躾な事を聞きますが……ご家族が囚われていますか?」
「!?何故それを!?」
「あんたあいつらの仲間だったのか!」
私が、唐突にそんなことを言うから、ラミーさんはワンドを私に向け、ケージさんは私を攫った奴らの仲間と思い抜刀して剣を向けてきた。
「ちょっ、ちょっと待ってください!敵じゃありません。じゃなきゃ仲間のクリフに乗せたりしません!傷も治しません!!」
両手を上にあげて、早口で無抵抗をアピール。
「信じられるか!」
そうケージさんが叫んだ。
まじかぁ、重症だったのを治したのに信じないんかぁ。
それぐらい敏感なんだと思うけどさ、あんなに必死になってハイヒールをかけたのに、なんか虚しいな。
こんなに敵意剥き出しにされると助ける気なくしてきたわ。
短気なのも私の悪い癖。
「私がしたことは無駄だったんですね。別に良いですよ、切り捨てても。傷つかないですし」
と、イラついてしまったので、向けられたままの剣を握った。
もちろん“怪我をしない”。
「!?」
「やめなさい、ケージ。剣を降ろしなさい」
「ハッ!」
私が剣を握ったからケージさんは驚き、すぐラミーさんがケージさんに命令した。
メル様から聞いていた通り主従関係っぽい。
「助けて頂いたのに、無礼を失礼しました」
ラミーさんがそう言い、被っていたフードを下ろし私に頭を下げてきた。
フードの下はとんでもない美人だった。




