商人ギルドへ
更新遅くなりました。。
翌日、久々のベッドでゆっくり寝たおかげか、朝の目覚めはスッキリ。
いっぱい泣いたしね。
朝食を食べに一階に下りる。
ベーコン、チーズ、パン、スープ。
シンプルな宿の朝食。
カウンターで食べてたんだけど、カウンター奥のスタッフが私を見てギョッとしてた。
うん、知ってる。
両目が真っ赤に腫れて半分以上あいてないって。
朝、洗面台で見て私もギョッとしたもん。
食べ終えてそそくさと部屋に戻る。
今日はグータラしてやる!
今までずっと仕事(魔石鑑定)か脱出準備か、移動のどっちかでのんびりしてこなかったからね!
朝食を取りお腹も膨れたからか、また眠くなってきた。
抗わず、目を閉じる。
次に起きた時には正午を回ってた。
五時間くらいまた寝てたみたい……
流石に寝過ぎて体がバキバキ言っている。
ベッドから降り、体を伸ばす。
そろそろ動こうかな。
グータラするとか言いながら、一人で部屋にいてもきっとネガティブな事しか考えないだろうし。
街の散策がてら一つの目的としてた、商人ギルドにでも行こうかな?
宿から出て、噴水のあった公園を通り、商人ギルドの前に着く。
これは予定スキル様のおかげ。
このフレイも大きい街だからね。
スキルがなけりゃ普通に迷子になってるよ。
商人ギルドは役所を思わせるような外観で、外塀で囲われている。
敷地も広く、横長で彫刻にも拘った見事な造り。
ちょっと入るのに躊躇うぐらい、立派なんだけど。
どこの商人ギルドもこんな感じなの!?
意を決して、建物の入り口を潜る。
そう、ドアがないタイプなんです!
入り口はかなり広く、入ると天井は吹き抜けでホールのようになっている。
これは、どこに行けば良いんだ?
ホールの両端には、湾曲した階段が二階に続いている。
ホールの奥にも部屋があるようなので、そっちに行ってみようかな。
ホールを奥に進むと、横に広いカウンターが見えてきた。
受付っぽいね。
ちゃんと個別に窓口が仕切られていて、取引などに配慮している設計かな?
空いている窓口に声をかける。
「あの、商人ギルドへの加入を検討してまして、詳しくお聞きしても良いですか?」
「かしこまりました。商人ギルドへようこそ。本日担当させて頂きますリアンと申します」
「ユエです、宜しくお願いします」
リアンさんは三十代位に見える、落ち着いた雰囲気の女性だ。
長い髪をきっちり後ろで一纏めにしていて、とても清潔感がある。
美人なんだけど、表情はあまり動かない印象だ。
商人ギルドについては、以前“予定”スキルでレンタルした本である程度知識はあるが、リアンさんが詳細を丁寧に説明してくれた。
商人ギルドに入会するにはまずテストを受けて合格する必要がある。
晴れて合格すると加入ができ、入会金は金貨一枚。
テストがどんなものかはわからないけど、そりゃ誰でも加入できるって訳じゃないよね。
他のギルドに比べて入会金も高いし。
商人ギルドにも、冒険者ギルドのように所属のランク分けがあり、ランクにより年会費が変わる。
ランクは七つあり、下から〈タンザナイト〉→〈トルマリン〉→〈アレキサンドライト〉→〈サファイア〉→〈ルビー〉→〈エメラルド〉→〈ダイヤモンド〉の順。
誰しも初めは〈タンザナイト〉から。
これ宝石の名前だよね?
この世界にも同じ宝石が存在してるって事か。
名称も一緒だし、わかりやすくて良いけど不思議。
〈タンザナイト〉は年商金貨一枚以内で、年会費は一律大銅貨一枚。
〈トルマリン〉は年商大金貨一枚以内で、年会費は年商の八%。
〈アレキサンドライト〉は年商大金貨十枚以内で、年会費は年商の十%。
〈サファイア〉は年商大金貨五十枚以内に加え経営店舗がニ店舗以上で、年会費は年商の十二%。
〈ルビー〉以上は割愛。
〈サファイア〉でもすごいと思ったのに、それ以上となるともう自分で想像できなかったわ。
円で考えたとしても私一人で年商五千万なんて稼げないだろうし。
それを考えるとタンザナイトは売れない商人にとっては優しい仕組みなのか地獄なのかちょっと難しい。
売り上げがなくても必ず年間大銅貨一枚をギルドに払わないといけないからね。
それくらい払えなきゃ商人としてやっていけないし、入る資格ないと言っているような感じもする。
払えない場合は強制退会となるそうだ。
行商を主とする場合は何を取り扱うなどの申告は必要ないが、店舗を構える場合は規定の書類で申請する必要がある。
〈アレキサンドライト〉以上となると、国や街に入る際の税金は免除。
どうやって年商を調べるかと言うと、発行されるギルド証で管理するんだと。
もちろん申告は毎年決まった時期にギルドへ赴き行う必要がある。
専用の申告用紙もあり、しっかり計算が出来ないと弾かれる仕組み。
そして申告後最後に真偽の水晶に手を当て偽りがないことを宣誓しなければならない。
嘘を申告した場合赤く光る。
下手したら極刑もありえるとか、おぉ、怖っ。
まだ加入すらしてないけど、ちゃんと報告しようと心に決めた。
基本的に商人ギルドは国を超えた組織のため、各国、王都、領都、街と言われる大きな都市になら必ず一つはあるので、どこでも良いから年一回必ず申告せよと。
村規模だとなかなか設置は厳しいんだって。
一通り聴き終え、
「詳しくありがとうございます。加入のテストを受けようと思います」
「左様でございますか。無の日以外であればいつでも受けられますが、予約致しますか?」
「ちなみにテストの内容ってどんなものが出題されますか?」
「基本的に読み書き、計算が出来れば問題ない範囲でございます」
「そうですか……では今日この場でって言うのも可能ですか?」
「はい問題ないです。ただ、準備が必要ですので、しばらくあちらの席でお待ち頂けますでしょうか」
そう言われ、背もたれのない長椅子で待つように言われた。
十五分ほどして声がかかり、別室に連れて行かれ、リアンさん立ち会いのもと筆記試験が行われた。
内容は、この世界の名前や大陸の名前、他種族の絵に種族名を書けや、硬貨の計算方法を数問だった。
五分位で終わってしまい、拍子抜け。
リアンさんに提出した時少し驚かれ、大分早かったみたいだ。
その場でリアンさんが採点し、合格を言い渡された。
それから一階の受付に戻り、入会金を払いカード作成と言う流れになった。
ここでもまた血を垂らすように要求された。
カード自体はシンプルなもので、素材はシルバーっぽい。
名前とランク、入会した街が記載されているだけ。
しかし、このカードお金を入出金できる上に、商人ギルド加入のお店であれば支払いも出来るそうだ。
もちろん年一回の税金もここから引き落としとなる。
意外とハイテク!
もちろん私も入金をお願いし、大金貨一枚渡した。
「以上となりますが、ご質問はございますか?」
「冒険者ギルドにも登録してるんですが、倒した魔物を冒険者ギルドで買取してもらった場合も収支に記載する必要がありますか?」
「いえ、冒険者ギルドでの売買は、売買が成立した時点で税を引かれていますので必要ございません」
「わかりました、他は無いので大丈夫です。ありがとうございました。」
リアンさんにお礼を言って、商人ギルドを後にした。
今日は話を聞くだけのつもりだったけど、勢いで入会してしまった。
特に仕事を始めると言うわけではないけど、もし回復魔法を売りにするならしっかり帳簿もつけないと。
帳簿系はタブレットで管理しよう。
商人ギルドを出る頃には十五時を回っていた。
明日はそろそろこの街を出ようと思ってるので、馬車乗り場で行き先を聞いてみようかな。
馬車乗り場に向かっている途中で、シチューを売っている露店を見つける。
鶏肉のクリームスープ!
見た目と匂いがとても美味しそう!
新しい鍋を持ってくるからいっぱいに入れてもらえないか聞いたらオーケー頂きました。
急いで近くの雑貨屋で小さめの寸胴を買い、店主に渡す。
まさか寸胴でくると思ってなかったみたいで苦笑いされたけどね。
私も味見すらしてないのに、購入即決は早まったと思いながらも欲には勝てなかった。
直ぐにでもパンにつけて食べたい。
食欲にまた負けそうになるけど、シチューをストレージにしまい、目的地の馬車乗り場へ向かった。
お読み下さりありがとうございます!




