表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/133

バレてた!?

前半部分は前話に入れるはずでした…すみません。


 テーレ出発の朝、今回は昼出発なので、いつもより遅い八時起床。

 宿の一階で遅い朝食を取る。

 宿を出る前にナージンさんにお別れを言いたかったが、既に出かけていたようで会うことは出来なかった。


 前回みたいに最後到着は避けたかったので、少し早めに宿屋をチェックアウトした。

 時間までは公園でのんびりしようと向かっていると、通りに端に魔道具屋の看板を見つける。


 魔道具か……隷属の腕輪に良い思い出はないけど、魔道具が悪いわけではないし、魔道具自体にはとても興味がある。

 ちょっと立ち寄って、旅に役立ちそうな道具があるか見てみようかな。


 カランカラン〜


 店の扉を開けると、ついていたドアベルがなった。

 中に入ると、まず初めに天井近くまで高さのある棚三つが目についた。

 その棚はそれぞれ五段ほどあり、上段まで全て商品が等間隔に陳列されており、商品には値札と商品名だけのタグが紐で括られている。


「らっしゃい」


 奥から声がしたので見てみると、若めの男性がカウンターに座ってこちらを見ていた。


「お邪魔します」


と、会釈しながら中の商品を見ていく。

 火起こしの魔道具、水の沸く皮袋、光の灯るランタン、伸縮テーブル、コンロなど結構色々ある。

 コンロとか大きくて使わないだろうけど、火起こしと水の沸く皮袋、ランタンは欲しいな。

 今まで野営時、手慣れた皆さんが火を起こしてくれていたから必要なかったんだよね。

 火起こしの魔道具は銀貨三枚、水の湧く皮袋は銀貨五枚、ランタンは銀貨六枚。

 相場が分からないから妥当なのか判断できないけど、


「あの…この三つの購入を検討してるので、使い方を教えてもらえますか?」

「ああ、これは___」


 カウンターの青年に聞くと、使い方を教えてくれた。

 それぞれに装着されている魔石に魔力を流すと、発動する仕組み。

 魔石の魔力が切れたら、品物を持ってくれば魔石の交換をしてくれる。

 ただ、交換費用はかかるし魔石も持ちこみか購入となるそうだ。

 魔石があれば自分で交換できるのか聞くと、


「特殊な魔法陣を魔石に刻むから素人じゃ無理だな。間違った魔法陣を刻むと最悪爆発する」


と、言われてしまった。

 爆発とか怖ッ!

 簡単につけ外しできるわけじゃないのね。  

 自分でやるのはやめておこう。


「色々な国を移動してるので、ここへ来ることができない場合使い捨てになります?」

「いや、基本魔道具屋のやつなら書き換えできるから、行った先の魔道具屋で依頼してみなよ」


 よし、買おう。


「じゃ、この三つ買います。三つで銀貨十四枚だと思いますが、まとめて買うので安くしてくれません?」

「姉ちゃん知らねーのか?魔道具は相場変動以外で値下げしちゃいけねーんだぜ?最悪捕まるぜ?」


 うっ、そりゃ知らんがな。

 当たり前だろ?みたいに言われてちょっと恥ずかしい。

 しかも捕まるとか怖いな!

 魔道具はそんなに規制が強いものなのか。


「……そうでしたか、知りませんでした。申し訳ないです」


 恥ずかしい思いはしたけど、欲しい事に変わりはないので購入しておく。

 魔道具の根切りはNGと心に刻んだ。


 それにしても昨日と今日で、かなり買い物をしたなぁ。

 やはり買い物はストレス発散になるね。

 とっても楽しかった!



 衝動買いをした後、案外早く馬車乗り場には着き、待合所で外を眺めながら同乗者を待つ。

 お昼前になり、人が集まったと昨日の顎髭のおじさんが声をかけてくれる。


「移動工程を説明するな。フレイまでは三日で着く予定だ。一泊目の今日は野営、明日国境を超えてヨーク国に入り二日目も野営、三日目の夕刻前にフレイ到着だ」


 今回の旅程は全て野宿。

 やはり、国境近くにはそうそう街を置かないか。

 一番近くても一日は移動に時間がかかるのね。

 でも明日ようやくこの国を越えられる。

 あまりに平和で順調に進んでいるから、自分が追われる身なのを忘れそうになるな。

 

 旅程の説明も聞き終え、皆馬車に乗り込む。

 今回は一台で移動。

 それでも幌馬車は大きく、護衛の冒険者三名と乗客五名、御者二名を乗せ馬二頭で引く。

 テーレの防壁に向かい馬車が走り出すと、


「ユエさ〜ん」


と、聞き覚えのある声が馬車後方からした。

 私が荷車の後ろから顔を出すと、ナージンさんが小走りで馬車に近づいてくるところだった。

 まだ街中なので、馬車も速度は出ておらずナージンさんが追いついた。


「最後にご挨拶がしたかったので、会えてよかったです。これからの道中もお気をつけて。ではトウコさん、また会いましょう」


と最後に顔を近づけ、耳元で囁かれ私は、


「はい、また会いましょう!」


と、普通に返した。

 

 わざわざお見送りに来てくれたのかぁ、嬉しいね。

 足を止めたナージンさんに私は笑顔で手を振り、馬車は離れていく。


 ん?

 今トウコって聞こえなかった?

 ん?

 ナージンさんトウコって言った!?

 ……ウソッ!?


 私の驚いた顔が見えたであろうナージンさんは、満面の笑みだった。


 その後暫く私は呆然としていて、いつ防壁を越えたかも覚えていない。

 一点を見つめ、動かない私を心配した同乗者の年配女性が声を掛けてくれて我に帰った。


「具合が悪いのかね?」

「すみません、ちょっとぼーっとしてました。大丈夫です」


 女性にお礼を言って、また外を向く。


 平静を装うけど、内心バクバク。

 何故ナージンさんが私の本名を知っていたのか。

 王都を脱出した日から、出会う人には冒険者登録に使った「ユエ」という母の名前を語っていた。

 本名がバレるなんて、鑑定したのかな?

 いやでも誰かが鑑定能力は人族では持ちえないって言ってなかったけ? 

 私がバレるような何かをやらかしてた?

 いや、やらかしていたとしても名前までは鑑定しない限りわからないはずなんだけど……


 たとえ名前がバレたとしても私が異世界から来たって事まではバレていないよね?

 もし既にワンド国で指名手配されていたとしても、異世界から召喚した人物であるとは公表しないだろうし。

 でも、あの満面の笑みに何か裏がある気がしてならないんだよねぇ。

 

 取り敢えず、今私はワンド国側に捕まっていない。

 と言う事は、バレていたとしても黙ってくれていたって考えて良いのか?

 ナージンさん自身ワンド国の人ではないから見逃してくれたとか?

 いくら考えても分からない。

 ナージンさんの鑑定をしておけばよかったけど、今更か。


 いや、もしかした今からでも予定スキルで鑑定できるかもしれない。

 移動中の馬車の中では調べづらいから、野営地に到着したら深夜にでも試してみよう。

 

♢♢♢


 そして、本日の野営地に到着。

 見張りの人以外が寝静まったところで予定を組んでみた。


ーーーーー

イベント:ワンド国『テーレ』行き馬車で知り合った、商人ナージンの情報を調べる

日時  :開始 3152年7月5日 21時12分

     終了 ーー

場所  :現在地

繰り返し:なし

アラート:なし

ーーーーー

【消費魔力は「1」です。実行しますか?】

【はい・いいえ】


 よし!今度は成功!

 初めに試した『ナージンさんの情報を調べる』だけだと、入力不備で弾かれてしまった。

 なので、人物を特定できるようより詳細に入力したら、実行可能と表示されたのだ。

 悩む事なく【はい】を選択。

 すると、


▽▽▽

名前  :ヤコブ・カンパトリ(偽名/ナージン)

職業  :情報屋

レベル :127

HP   :3,450

MP   :4,230

スキル :隠密・体術・剣術・槍術・気配察知・開錠・火魔法・風魔法・アイテムボックス

ユニーク:

その他 :ヤヴォン王国国王直属諜報部第二部隊長 称号/騎士爵

△△△


「おっ……!?」


 声が出そうで慌てて口を塞いだ。


 ちょっとちょっと!色々ツッコミどころが有り過ぎる!

 スキル量もすごいし、レベルも違いすぎるんだけど……

 レベル1の勇者より強いってどんだけよ!

 それくらい修羅場をくぐり抜けているってことの証なんだろうけど。

 少し膨よかに見えたのはカモフラージュって事なのかな?

 戦闘できるようには全く見えなかったよ……

 そもそもナージンも偽名か!

 人のこと言えないけどね。


 それにしても諜報部の部隊長とは。

 偽名を使っているって事は、ヤヴォン国からのスパイと断定して良いのかな?

 これだけ優秀な人を送り込ん出るんだから、召喚の儀が行われた事をヤヴォン国は知っていそうだな。

 となると、私が召喚者である事もバレている可能性はある。

 ヨーク国に言った後はヤヴォン国にでも言ってみようと思っていたんだけど、やめた方が良いかなぁ。

 まさかとは思うけど、ヤヴォン国に入った瞬間捕まるとか嫌だしね。

 


お読み下さりありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ