ショッピングを楽しんでしまった
またまた説明回。少し短めでスミマセン。
今日も空は快晴、ヨーク国国境付近の街『テーレ』に向けて最後の村を出発した。
出発してからも今まで通り順調で、魔物に出会うことも野盗に襲われることもなく、無事昼前には『テーレ』に到着することが出来た。
『テーレ』は国境近くの街だけあり、王都までとは言わないがかなり大きい。
『ハンズゥー』の街ぐらい栄えていそうだ。
本当はこの街もゆっくり観光したいけど、そうも言ってられないのが悲しい。
検問を通り、馬車乗り場に着き乗客が下りていく。
ナージンさんはこのテーレで少し仕事をしてから祖国に戻るそうなのでこの街でお別れ。
馬車を護衛してくれた冒険者チームも、この街で休憩してから王都方面に戻るらしい。
この街までの道中だいぶ仲良くなったけど、ここでみんなとお別れ。
たった七日一緒にいただけなのに、とても寂しい。
恐らく城で受けていたあの疎外感から解放されて、人恋しかったのもあるから余計かも。
虐げられることもなく、普通に接してもらう事がこんなにも嬉しかったんだと再認識した。
「私はヨーク国へ向かいますので、ここでお別れですね。道中色々と教えていただきありがとうございました」
「いやいや気にしなさんな。また会えたら良いですな。今後の旅路もお気をつけて」
ナージンさんと握手をして別れ、馬車乗り場で聞いておいたおすすめの【隣の宿】に向かう。
【隣の宿】と言う看板の掲げられた宿屋の前。
不思議な名前の宿だけど、外観は石造の三階建てでなかなか大きい。
中に入ると、この宿も一階は食堂兼酒場になっている。
大体宿と食堂は兼業なのかもね。
受付の女性に一人一泊である事を伝え、部屋の鍵をもらった。
これまでに通ってきた村の宿よりは高かったけど、大銅貨五枚だから良心的だと思う。
時間はまだお昼。
街を回りながらヨーク国の街まで行く馬車の調査に行こう。
宿屋を出て、ここからでも見えるほど大きいテーレの防壁に向かって歩く。
街は活気があって、いろいろな露店も出てるし、お店も沢山。
パンのいい匂いがしたので、周りを見ると近くにパン屋を見つけた。
売っていたのはちょっと固い黒パンが大半だったけど、白パンやこの世界で初めて見るフランスパンに似たパンも並んでいた。
黒パン十個、白パン五個、擬似フランスパン二個を買うと、大きめの麻袋にまとめてくれた。
ついつい良い匂いに釣られて買い過ぎてしまったけど、いくらあっても腐らないストレージがあるからね!
ゆっくり観光してる時間がないとか言いつつ、なんだかんだウィンドウショッピングも含め楽しんでしまっている。
気付かぬ間に防壁近くの馬車乗り場に着いてしまっていた。
受付はどこか探していると、声をかけられる。
「どこに行く馬車を探してるんだ?」
声のする方を向くと、顎髭を蓄えた大柄なおじさんがいた。
「ヨーク国へ行きたくて。出来れば明日出発だと良いんですけど」
「ヨーク国のフレイって街まで行く馬車が明日昼ごろ出るぜ。フレイまでは三日だな。銀貨四枚だがどーする?」
「乗ります!」
「ハハ、はえーな。毎度!昼前にここへ来てくれや」
運賃を払い、切符らしき小さい布を渡された。
宿に戻る道すがら、さっきは見つけられなかった靴屋を見つけたので二足購入。
編み上げで自分で調整するタイプ。
今私が履いている靴は城から支給されていたもの。
もちろん王都から脱出した時は、走りやすいスニーカーを履いていたけど、今は目立ちすぎるのでしまっている。
支給された靴は調整ができなくて、とても窮屈だったからようやく履き替えられる。
それから、雑貨屋にも入り、今まで時間的余裕がなくて買えてなかったものを一通り揃えられた。
小鍋や木皿とカトラリー類。
コップだけは王宮でメイドさんたちが使ってたのを一つくすねて持っていた。
タオル類はお風呂場で使用してたものが使える。
実は最近分かった事だが、予定スキルでお風呂場を呼び出し、脱衣所に常備されているタオルを持ち出したらどうなるのかという実験をしてみたところ、お風呂が消えても持ち出したタオルは消えなかったのだ。
そして、次にお風呂を呼び出した時その持ち出したタオルは脱衣所になかった。
いつも不思議に思っていたのは、お風呂を呼び出す度、室内は私が暮らしていた頃のまま。
タオルも洗い立て。
ただ、消耗品に関しては呼び出す度、召喚された当時のままで使い掛け状態。
新品でないところが自室感が感じられるから良いけどね。
結局次呼び出した時には元の量に戻ってくれてるし。
そして、次に行った実験は、持ち出したタオルを脱衣所に戻したらどうなるか。
結果、洗われたようで綺麗な状態だった。
至れり尽くせりとはこの事だろう。
そんなこんなで、呼び出せるお風呂場とトイレに置かれている消耗品を含めた物は、買う必要がなく、他の目についた物を購入していった。
ことの他楽しめたショッピングを終え宿屋に着くと、食堂にナージンさんを発見した。
「早い再会でしたね」
と、私がナージンさんに話しかける。
「おやユエさんもこの宿で?この街ならここが一番ですよ」
「ええ、馬車乗り場で安くていい宿を聞いたらここを教えてもらいました。荷物を置いたらご一緒していいですか?」
「もちろん」
その後、明日の昼発つ事を伝えたり、『フレイ』に行ったことのあるナージンさんにその街の特産など聞いて楽しい時間を過ごした。
この宿の煮込み料理は絶品でした!
なんだったんだ城の料理は!
人と話しながら食べる食事はプライスレスだ。




