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ハンズゥー到着


 ハンズゥーは街というだけあって大きい。

 街を囲む防壁も立派で、きっと高さ二十メートルくらいはあるんでは無いだろうか?

 街に入るために並んでいる人も多く、検問所まで三十分は待ったと思う。

 もちろん並んでいる間に周りの人からはジロジロ見られた。

 女が一人で、無装備。

 しかも、ちょっとそこまで、みたいな軽装。

 そりゃ、どうしたんだと聞きたくなるよね。


 実際、私の前に並んでいた、商人っぽい人に話しかけられた。

 もちろんこの人も護衛を伴っている。


「失礼、お嬢さんはどちらからいらしたんですか?」

「王都からです」

「お一人で?」

「……ええ」

「供や護衛も付けずよくご無事でしたな……」

「ハハハ……運が良いのが取り柄なんです」

「運ですか……」

 

 運と言うことで誤魔化す。

 誤魔化せてないと思うけど。

 でも、これ以上聞かないでくれてって意思表示なんだけど、伝わったかな?

 現に納得のいってなさそうな顔をした商人。

 護衛は何か言いたげだったけど、訳ありだと感じたんだろう、それ以上は聞かれなかった。


 そんな展開もあったけど、列も進み、ようやく私の番になった。

 前の人のやりとりを見ていたのでそれと同じ様にする。

 冒険者タグを出し門にいる兵士に見せる。


「Fランクの冒険者か、入場料大銅貨一枚だ」


 あっ、入場料がかかるのか。

 てっきり身分証があればかからないと思ってた……

 前の人達はお金を出すそぶりをしていなかったような気がするけど、何か特殊な身分証とかなのかな?

 取り敢えず鞄から小袋を出し、その中から大銅貨を一枚出し兵士に渡す。


「入ってよし!次の者!」


 ふぅ、何事もなく無事入ることが出来て良かった。

 特にどこから来たとか聞かれなかったな……王都から指名手配的なことされてるかもと思ったけど、もしかしたらまだ王都の中にいると思われてる?

 脱出時間的に門が閉鎖されてたってのもあるのかも。

 翌朝には王都外へ出ようとしている人は止められていたみたいだし。

 あの時交代兵が出て来てくれて助かったわぁ。

 きっと予定スキルのおかげなんだろうけどね。


♢♢♢


「うわー、人が多いなぁ」


 街に入り、一言目がこれ。

 門を抜けた正面に見えたのは、横幅の広い大通り。

 馬車が通れるだけの幅は残っているが、それ以外は人が忙しなく行き交っている。

 王都では、昼間に出歩いていないかったから栄えた街はこんなに人通りが多いのかと感心してしまう。

 と言っても、人通りが激しい原宿とか渋谷のそれとは違うけど。


 っと、後ろの人の邪魔になるので脇にズレ、近くにいた兵士さんに冒険者ギルドへの行き方を聞く事にした。


「あの、この街に初めて来たんですが冒険者ギルドへの行き方を教えて頂けませんか?」

「んあ?こっちは忙しいんだ!他のやつに聞け!」


 えぇー……日本の警察みたいに教えてくれるものと思って話しかけた私がいけないのかもしれないけど、こんなに冷たいもの?

 感じ悪いなぁ。


「……スミマセン」

「これだから田舎モンは!」


 いや、田舎モンかも知れないけどそんなに言われるほどの事か!?

 この街は兵士に話しかけちゃダメなの?


 やはりこの国はダメだな。

 今まで会った人でほとんど良い人に出会っていない。

 むしろゼロ?

 早くこの国から出なければと強く思った。


 今日この街で一泊して、明日には街を出よう。

 大きい街だから観光したいんだけど、この国の街と思うとね……


 思えば、隠匿操作で街に入り込めば入場料を払う必要なかったし、あの長い列で待つ必要もなかった。

 生真面目に並んでしまったけど、今更この国の法に従う理由もないんだよなと思った。


 兵士が道を教えてくれなかったので、適当に大通りを中央に向かって歩きだした。

 色々な商店や露店が出ているし、良い匂いも漂ってくる。

 日も傾いてきて、お腹が空いてくる時間。

 鼻をくすぐる美味しそうな匂い。

 何の肉かわからないけど、大きめの肉が三つ刺さった串焼き屋を発見したので一本注文する。

 なんで露店の串焼きって美味しそうに見えるんだろうね。


「へい、お待ち!銅貨一枚な!」

「はい。あっ、お兄さん冒険者ギルドはここから近いですか?」


「おう、丁度な。って兄さんってトシじゃねーけど嬉しいな!ガハハハ!冒険者ギルドはここを真っ直ぐ行きゃ右手にでっかいのが見えてくるぜ!看板出てるからわかるだろ」

「ありがとうございます」

「おう!またよろしくな!」


 普通に露店の人は良い人だった。

 受け取った串焼きも良い匂い。

 では一口。

 おうっ!塩のみの味付けだけど、香ばしくて美味しい!

 肉質はちょっと硬めだけど、許容範囲内。

 ただ、何の肉か聞き忘れたし、メニューなんてなかったから、何の肉かわからずじまい。

 食べ終わった後に串を鑑定しても、『串』としか出てこなかったしね。


 食べ終わって、おじさんに聞いた通り真っ直ぐ大通りを進むと、右手にレンガと木で作られた大きな建物が見えてきた。

 看板には文字ではなく盾と剣が交差して描かれているからきっとそうだ。

 スウィング式のドアを開け中に入る。

 中も広い。王都のギルドと似た造りだ。

 正面にはカウンターがあり、等間隔に四つ受付が設置されている。

 その内2つは現在対応中。


 左には大きなボードがあり、今は隙間の方が多く、張り出された依頼用紙は少ない。

 右側は食事が出来るスペースのようで、いくつもテーブルとイスが設置されている。

 何人かのグループは既に飲んでいるようだ。


 そんな中を眺めながら正面のカウンターへ向かい、空いている受付の前に行く。

 受付は落ち着いた雰囲気の女性。


「こんにちは。魔物の買取をお願いしたいのですが」

「冒険者ギルドへようこそ。ご登録はお済みですか?」

「はい、登録は済んでいます」

「かしこまりました。ご依頼は受けてらっしゃいますか?討伐依頼を受けている場合は討伐部位とタグの提出が必要となります。買取のみでしたら、冒険者タグと売却希望の魔物を入り口から出てギルド裏手の買取所にお出し下さい」

「この街に来る際に倒した魔物なので、依頼は受けていないです」

「では、買取所にそのままお持ちいただいて構いません」

「わかりました。あっ、初めてこの街に来たんですがオススメの宿ってありますか?」

「そうですね、女性一人ですと安全面を考慮して【ハンの宿】がオススメです。ギルドを出て右に進んでいただいた3件目の建物です」

「ご親切にありがとうございます。行ってみますね」


 受付嬢さんにお礼を言ってギルドから出た。


 ギルドを出て、言われた通りギルド裏手に回る。

 すると、大きめの買取窓口が見えてきた。

 特に人が並んでる様子もなく、カウンター越しに声を掛けると、魚屋さんがつけるようなエプロンをした男性が出てきた。


「おう、いらっしゃい。買取かい?解体のみかい?」

「買取です。ワームの買取って可能ですか?解体の仕方がわからないのでそのまま持ってきたんですけど……」

「ああ、問題ないぜ。ワームならでけーよな。どこに引き取りに行けば良い?」

「あっ、いえ、今持ってまして……どこに出したら良いですか?」

「おっ、マジックバッグ持ちか?ワームは子供か?大人か?」

「……いえ、アイテムボックスです。恐らく大人かと。多分4、5メートル位です」

「おお!アイテムボックスか。そりゃ羨ましいな!じゃ、解体所だ。ついてきてくれ」


 そして、案内されたのは地下。

 高さもあり、広さも申し分ない空間。

 男性はなにやら大きな敷物を広げてここに出してくれと言ってきた。

 マジックバッグがどんなものかわからなかったので、アイテムボックスと答えたけど、羨ましがられるだけで済んで良かった。

 アイテムボックスというスキルも稀少ではあるが、村に一人スキル持ちがいるくらいメジャーではあるようだ。

 しかし、許容量はその人の魔力に比例するらしく、大凡魔力一に対して一キロ程なんだとか。

 それだと、召喚された三人は大体二、三トンは入るって事になる。

 レベルを上げて魔力量が増えれば更に入るね。

 ただ、残念なのはアイテムボックス内の時間は止まらないという事。

 なまもの危険!ですね。


 アイテムボックスの事を本で知った時、どう考えても私のストレージスキルの事は人に言えないなと思った。


 男性に言われた場所へワームを出す。

 出す時に重さを感じない不思議。


「おおーでけーなやっぱり。外には傷がない。ん?口の中に魔法一発か?素材、魔石全て買取で良いか?」


 さっと手袋をして見聞し始めた男性。


「はい、全部売却したいです。解体費用は引かれますか?」

「おう、ワームだと大銅貨五枚の解体料だ。大体一体で銀貨六枚ってくらいの買取だけどどーする?」

「買取お願いします」

「おう、じゃいまからやっちまうから見てくか?それとも後で来るか?」

「見るのはちょっと……後でまたきます」

「そんじゃ、これが受付タグな。時間置いて買取所かギルド受付で提示してくれ」


 解体現場を見るのはまだ勇気が出なかった……これからももし魔物を狩ったら解体はギルドにお願いしよう。


 解体所のおじさんにお礼を言って地下室から出る。

 次は宿を取りに行こう。



お読み下さりありがとうございます!

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