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愚かさを呪う

下手くそな戦闘シーンです。


ビーッ、ビーッ、ビーッ__


 アラームの音で目が覚める。

 設定時刻は朝5時。


「ん、うーん!よく寝た!」


 筋肉痛も治り、今日は昨日より体力もある。

 今無事でいられるのも予定スキルのおかげ。

 日本にいた時は神様なんて信じていなかったけど、このスキル達を授けて下さった創造神様と商業神様だけは信じる。

 ありがとうございますと、気休めだけど空に向かって祈る。


 それから、ベッドをしまったり着替えたりと支度を済ませ、


「さあ、ハンズゥーに向かおう!」


と、気合を入れて、チャリを漕ぎ出した。



♢♢♢



 ようやく遠くに『ハンズゥー』の街の防壁が見えてきた。

 ここに来るまでにいくつかの馬車とすれ違ったけど、隠匿操作をかけているのでママチャリも私も視認されることは無い。


 もちろん魔物や野盗に襲われることもなく順調に進み、現在時刻は十五時十七分。

 街道の脇に入りチャリを降り、ストレージに仕舞う。

 ここからは歩きで向かう。


 ここで、私の悪い癖が発動する。

 少し遠くにハンズゥーの街の防壁も見えている為、『魔物に襲われない』の予定を解除して弱い魔物との戦闘を経験してみるのはどうかと思ってしまったのだ。

 街が近い分強い魔物は出ないと思い込んでの行動。


 実に浅はか。


「ギュアァァァァァァー!!」


 見たことも無い生き物が、涎を撒き散らして私の数十メートル先で鳴いた。

 ああ、本当に自分の行動の愚かさを呪う。

 予定を解除した途端これだよ。


 体長5メートルはありそうな青色の芋虫のような魔物。


 いやいや、街の近くだよね?

 油断しまくった自分もいけないけど、普通こんな大きな魔物って街の近くで出るものなの? 

 辺りには私以外魔物にとっての獲物は見えない。

 なので、私に向かって突進を始める魔物。


 私は、気持ちの悪い鳴き声と大きさにビックリし、体が動かない。


 ザザザザッ、ザザザザッ


 えっ!? 移動速度速くない!?


 魔物は素早い動きで私に近づき、長い胴体の後ろ部分を振りかぶって、勢いそのまま側面で私を薙ぎ払おうとする。


「ちょ、ちょっと待って!じゅん、」


 ドォーンッ!


「あれ?」


 準備って言う前に芋虫の体が目の前だったから目を瞑ってしまったけど、衝撃が来ない。

 てっきり芋虫に吹き飛ばされたと思ってたけど、逆に芋虫が吹き飛んでいた。


「ギュアァァァァァァ!」


 今度は口を大きく開けて正面から突進してくる。

 丸呑みするきかい!そりゃ防げないじゃん!


「ウィッ、ウィンドウボールーーー!!!!」


 噛みながらもなんとかイメージをこれでもかってくらい膨らませて、ウィンドウボールを芋虫の口に向かって放った。

 放った魔法は、吸い込まれるように芋虫の口の中へ。


 ドワッ!

 ボンッ!!


 ……ドサッ


 どうやら芋虫の口の中で魔法が弾けたようで、芋虫は動きを止めて倒れた。

 それは私のほんの1メートル程手前だ。


「……え?倒した……の?」


 とりあえず今更だけど、この芋虫を鑑定する。


▽▽▽

魔物名:ワーム

レベル:25

HP  :0

MP  :0

スキル:麻痺毒

その他:死亡、魔石ランクD

△△△


 レベル25って……しかもスキル麻痺毒って。

 その麻痺毒を浴びてたら麻痺して動けなかったってこと?

 浴びる事なく恐怖で固まってたけどね。

 でも、死亡しているみたいでよかった。

 魔物でも内側の攻撃は防ぎようが無いのかな?

 まぁ、私も口の中にウィンドウボールなんて放たれたら死ぬ以外ないけどね。


 運良くなんとか倒せたけど、もし魔法が不発に終わって丸呑みされていたらと考えると、急に手足がガクガクと震え出した。

 震える手でなんとかスマホを出し、OFFにしていた『魔物に出会わない、襲われない』をONにすると同時に体の力が抜けて地べたにしゃがみ込んでしまった。

 

 と、その時。


 フワッ。


 体が急に軽くなった。


「??」


 何だろうこの感覚は。

 今の戦闘とも言えない戦闘を終えてかなり疲労しているはずなのに、何故体の軽さを感じたんだろう?

 自分を鑑定してみる。


▽▽▽

名前  :トウコ・スズキ(偽名:ユエ)

職業  :販売部

レベル :8

HP   :334

MP   :345

スキル :隠匿操作・鑑定

ユニーク:予定・ストレージ

その他 :創造神の加護・商業神の加護

△△△

 

 おぉ! 初レベルアップ!

 しかも七つもレベルが上がっている!

 だから体が軽くなったのか。

 レベルアップしてもすぐHPやMPの増加分は反映されないとは聞いていた。

 だからレベルアップで増えたはずのHPとMPは、時間が経てばその内回復してわかるだろう。


 レベルも上がって結果オーライだけど、思い返してもマジで怖かった。

 魔物を舐め過ぎてた。

 初めての戦闘だから、カエルとかネズミとかそんな小さな魔物との戦闘を想像していた自分の愚かさに怒りすら覚える。

 そんな上手くいくわけないのにね。

 今更やるかやられるかの世界なんだと思い知らされ、浅はかな行動は控えようと心に誓う。

 でもなぁ、また油断しそうな気がするんだよなぁ。

 自分で自分が信じられないからね。


 そう言えば、このワームという魔物を鑑定したところ、Dランクの魔石を持っているようだ。

 でもこれどうやって魔石を取り出せば良いのだろうか……

 取り敢えず全部持っていけばいいんだろうけど、この魔物に触りたくないな……

 むしろ麻痺毒とか鑑定に出てたけど触っても平気なのかな?


 いろいろ考え検証した結果、手袋をして触ってもストレージへ入れられたので、お風呂掃除で使っていたゴム手袋をして丸ごと収納した。


 恐怖の対象も消えたから、とにかく、早く街に入ろう。

 ハンズゥーの街に走って向った結果、ワームと戦闘した場所から二十分もしないうちに門が見えてきた。


 あんなにでかい魔物が出る街道が近くて良いのかと不安になるけど、そんな私の不安とは逆に、門には街に入る為の長い人の列が出来ている。

 そこには馬車も並んでいるけど、武装している人たちが周りにいるし、ここから見える大概の人が防具や武器を所持している。

 きっと護衛をしている人達だろう。

 この人達がさっきのような魔物と戦って守ってくれてるのか。

 羨ましい。


 この列で、装備を身に付けず一人で並んでいるのは私ぐらい。

 不審に思われるかもしれないが、列の最後尾に並ぶ。

 人が近くにいるという事実だけでとても安堵した。






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