表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
予定は確定ースケジュール管理は基本ー  作者: 秋海棠
第六章 ロッテントーク大陸
100/133

御発声って、急に?

とうとう100話です。


 一人で悶々としていると、部屋の扉がノックされた。


「私だ。入室して良いだろうか」


 ヒースさんが来てくれた。


「どうぞ」


 肩にバステト様を乗せて部屋に入って来たヒースさん。

 入室すると共に、バステト様はヒースさんの肩から降り私の足元に。

 そして、右前足で私の足にちょいちょいと何かをおねだりする様な動作。


「くぅぅっ! バステト様、どうされました? お茶ですか? お腹が空きましたか?」

「にゃぁ〜、にゃぁ〜」


 バステト様の可愛い動作に悶絶しながらも、しゃがんで尋ねると、お茶と何か食べるものをご所望のようだ。

 はい、いくらでもお出しします!


 下僕はすぐさま準備をする。

 暖かいお茶とお煎餅を。


「はぁぁ、このお姿が見られるなら頑張れるわ。あっ、ヒースさんもどうぞ」

「……頂こう」


 なんだね、その間は。

 何か言いたげなヒースさんだけど、椅子に座りお茶を飲み始める。

 お煎餅にも躊躇なく手を伸ばすヒースさん。

 初めて私がお煎餅を出した時は躊躇してたのに。

 

「あまり食べ過ぎると用意してくれてる食事が食べられなくなるので、少しですよ。って、バステト様の食事ってどんなものが出されるんでしょうか」

「そうだな、猫と認識されているならばそれ相応のものだろう」

「ですよね……バステト様、もうお食事にします?」


 お煎餅をムシャムシャしながら、顔を横に振るバステト様。

 まだいらないみたいだ。

 

「じゃあ、お部屋に戻ってきたらお出ししますね」

「にゃぁ〜」

「ユエは大丈夫か?」

「えっ?」

「ファン殿と話している時、少し顔が引き攣っていたからな」


 ヒースさんに気づかれていたようだ。

 でもさ、この大陸の状況を聞いたら顔も引き攣るでしょう。

 しかも神様からの依頼で来て、これだけ敬われて。

 重いものが私の肩に乗ってると改めて感じてしまったんだから。


「正直、不安でしかありません。神様が言うんだから、私に出来るんでしょうけど、そうだと言われても不安ですよ」

「そうか、私に出来る事があれば言ってくれ」

「ありがとうございます。気付いてくれただけで嬉しいですから」

「そうか」

「あっ、でもヒースさんには迷惑かけると思います! きっと暫くは毎日倒れることになりそうですから。厚かましいですけど、その度部屋に運んでもらえると嬉しいです……」

「勿論、そのつもりだ。気にするな」

「ヒースさんはカッコ良いですよね」

「何だ? 急に」

「急じゃ無いですよ、いつも思ってましたよ。外見もそうですけど、スマートでいてサラッと助けてくれるじゃないですか。強いですし。頑固だけど」

「が、頑固?」

「頑固でしょ?」

「意志が強いと言ってくれ」

「アハハハハ!」


 ヒースさんは頑固と言われるのが嫌みたいだ。

 別に悪い意味で言っているつもりは無かったけど、ちょっと嫌そうな顔をしているヒースさんが可愛くて面白かった。

 

「ヒースさん、ありがとうございます」

「ああ」


 気を使う事なく話せる人がこの場にいてくれて良かった。

 ヒースさんにはこれまでも含め感謝しかない。


♢♢♢


「失礼致します。お食事の用意が整いました」

「ありがとうございます」


 ヒースさんと部屋で暫く話していると、部屋の扉がノックされ、ユンさんから声が掛かった。

 ヒースさんと部屋を出ると。


「ヒース様もご一緒ですね。ご案内致します」


 特にユンさんは驚く事もなく案内をしてくれた。

 まあ、友人って言ってるし一緒の部屋にいても何も思わないか。


 そして、長方形の長いテーブルが中央に置かれ、その周りに沢山の椅子が並んだ部屋に案内された。

 この部屋の壁にも、細かい刺繍が施されたタペストリーが沢山飾られている。

 部屋の中には、ファンさんと白ハン族の女性と黒ハン族の男性が、椅子の横に立って待っていた。

 私は、恐らく上座であろうお誕生日席に案内された。

 ヒースさんは私から見て左側の席。

 ファンさんは私の右側。

 黒ハン族の男性がヒースさんの隣で、白ハン族の女性がファンさんの隣という位置関係だ。


 白ハン族の女性は、可愛い中にも意志の強さを感じる目つきが印象的。

 うさ耳はピンと立っていて可愛い!

 黒ハン族の男性は目が切長で、オデコに出来た横一線の傷痕が目を引く。

 しかし、俺強いですオーラが半端ないな。


 うーん、普通私が案内された席って族長が座るべきなんでは?

 と思ったけど、結局この場所でと言われるんだろうなと思ったのであえて指摘はしなかった。

 食べにくいなぁ。


「トウコ様、ご挨拶させて頂きます。白ハン族を纏めております、スーリと申します。どうぞお見知り置きを」

「はい、宜しくお願いします」


 そう自己紹介をしてくれたのは、白ハン族の女性だった。

 きっとファンさんがトウコと呼ぶように言ってくれたのかも。

 ありがたやありがたや。


「トウコ様改めてバオです。黒ハン族を纏めております」

「えっ!? バオさんだったんですか! 気付かずごめんなさい!」

「とんでもない。仮面を付けておりました故。お気になさらず」


 バオさんは黒ハン族を纏める程偉い人だったのか……

 道理でエルダートレントも一発で倒しちゃうくらい強い訳だ。


 その後ヒースさんも挨拶を終え、全員着席をする(バステト様はヒースさんの膝の上)と。


「トウコ様、この大陸の食事がお口に合えば良いのですが」


 そうファンさんが言い、私の前に沢山の料理が並べられていった。

 白ハン族の男性が給仕してくれるようだ。

 しかし、それぞれ量は多く無いものの品数が多いな、十種類くらいはあるぞ?


「品数が多いんですね。毎回この量を作るんですか?」

「いえ、トウコ様のお好みが分かりませんでしたので、ハン族伝統の料理をご用意致しました」

「貴重な食糧を申し訳ないです。ありがとうございます」

「勿体なきお言葉。さあ、皆のも整ったようですので、トウコ様、御発声を頂けますでしょうか」

「ご、ご発声?」

「食事の挨拶では無いか?」

「あ、ああ……私が?」

「はい。お願い致します」


 えぇぇ……急に言われてもなんだけど。

 いただきますだけじゃダメだよね?

 こう言う時なんて言うものなのよ!


「えっと……本日はお招き頂きありがとうございます? 全てに感謝し、いただきます。で、良いですかね?」

「「「チャーヨ!」」」

「……ユエ、締まらないな。恵に感謝を」

「ハハハ……いただきます。うん! 美味しい!!」

「お口にあった様で幸いです」


 地球のベトナム料理に似たような料理が並び、はじめに汁物を飲んでみたら、ピリ辛で美味しかった。

 その他にもオムレツのようなものやハムのようなもの、驚きなのは麺類もあった。

 フォーに近いし、味は薬膳っぽい。


 しかし、量が量なので全部食べきれないんだよね……


「あのファンさん。全て食べきれなくて……持ち帰っても良いでしょうか?」

「残して頂いて問題ございません」

「残したものは捨てちゃいますよね?」

「農作物の肥料となります。お心遣い痛み入ります」

「そうですか……沢山用意して下さってありがとうございます。私も食糧は持って来ましたので、明日からは自分で作りますね」

「なりません! 明日以降、世界樹の側に建てました屋敷にてお過ごし頂きますが、お世話の者を待機させておりますので、何卒何卒」

「いやいや、そこまでしていただかなくて大丈夫ですよ! 気持ちだけで!」

「いえいえ__」

「いやいや__」


 そこからファンさんと「いえいえ」と「いやいや」の応酬が始まりお互い譲らない。

 困ったぁぁぁ。


「ファン殿。心遣い感謝するが、ユエはその様な対応に慣れていない。なので、こうしてはどうだろうか」


 見兼ねたヒースさんが間に入ってくれて、三日に一度ハン族の人のお世話を受けると言う事を提案してくれた。

 ゼロか百かの私とファンさんのやり取りから間をとってくれる柔軟な提案。

 大変助かりました!


「トウコ様にご負担を掛けるのは心苦しいですが、ご提案を受け入れます」

「私も共に生活するので、安心してくれ」

「かっけぇ……」


 やはりヒースさんはかっこいい。

 つい心の声が漏れてしまったが、仕方ない。


「にゃぁ〜」


 あっ、バステト様の事を忘れていた。

 バステト様のお食事も床に置いて用意してくれているけど、ヒースさんの膝の上に乗ったままなので、お召し上がりにならない様だ。

 まあ、神様が人より下で食べるなんてどうかと思うしね。

 言えないけど。


「ごめんなさい、バステはちょっと食欲がないみたいで。これは持ち帰らせてもらいますね」

「いえいえ、どうかお気になさらないで下さい」


 貴重な食材を肥料にさせてしまうのも申し訳ない。

 今日の夜“買い付け”で食材を沢山買ってお渡ししようかな。

 何なら私も“クリーン”でここの食材を浄化するお手伝いもするし。

 でもこんなこと言ったら恐縮されるんだろうなぁ。

 ヒースさんに後で相談してみよう。


「ご馳走様でした。どれも美味しかったです」

「トウコ様にそう仰って頂き、作った者も喜ぶでしょう」


 それから、ファンさん達と明日の予定について話した。

 明日は朝食を頂いてから、今日のあの駕籠で、世界樹の元へ送ってくれるそうだ。

 護衛はバオさん達今日のメンバー。

 それと、ファンさんとスーリさんも同行するそうだ。

 お偉いさん三人共この里を離れて大丈夫なのか聞いたら、大丈夫としか言われなかった。

 まあ、大丈夫では無いなんて言うわけないか。


 話し合いも終わり、部屋に戻った後、ヒースさんに食料や“クリーン”の件を相談してみたら。


「今は、世界樹の浄化に集中するべきだな」


 と、一言。

 ごもっともだ!

 私の少ない魔力量では出来ることに限りがあるし、一番大事な世界樹の浄化がおざなりになってしまっては本末転倒でしたわ。


 ヒースさんの助言はいつも私にとって的確だ。

 そりゃ、バステト様に私一人じゃ不安だと思われるわなぁ。


 

まさか、100話まで書けるとは思いませんでした。

拙い文章なのにここまでお読みいただいた方、評価し、ブックマークしてくださった方々、本当にありがとうございます。

引き続き宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ