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チャリで疾走

少し短めです。


 なんとか、殴り飛ばしたかった人達に一矢報いた所で時間が来た。

 そう、今日はあらかじめ設定していた予定時間との勝負でもあった。


 ピロンッ


【予定時刻です】

【イベント名:ワンド国王城から安全に最短で脱出する】


 予定時間になると共に、王城を脱出するために足が勝手に走り出す。


 この予定の開始時刻は、十八時二十分。

 隷属の腕輪を外してから、猶予は二十分しかなかった。

 もう少し長く設定すれば良かっただろうけど、脳内シミュレーションした時にイケる気がしてそのままにしてしまったが、結果オーライ。


 ホールは広いし人が多いから最悪国王と宰相さえぶっ飛ばせれば良いかなと思ってたけど、なんとか目標達成。

 かなり走り回ったからもうヘトヘトだけどこの国から出るまでは安心できない。


 しかし、なんであの叫んだ騎士には国王を殴る前にバレたんだろう?

 本当に危なかったなと、あの一瞬を思い出してさらに震えがきた。

 もちろん「怪我をしない」と予定スキルに登録しているから剣で斬られても平気だったかもしれない。

 現に七人を殴ったり蹴ったり頭突きしたりしても私は無傷。

 痛みもない。

 それでも近くで見た剣の鋭さは恐怖だった。

 あの人の察知能力がすごいのかもしれない。

 でも、あの騎士イケメンだったな……

 もちろんその場は恐怖心の方が優っていたけど、思い返すと整った顔立ちだった様に思う。

 まあ今はそれどころではないんだけどね。


 最短脱出経路を勝手に体が走ってくれたので二十分程で城門に着くことができた。

 幸いまだホールで起きたことの伝令が、門番の騎士には伝わっていないようで、門は開かれたまま。

 スルッと門を潜り外に出ると、予定を終えた体は止まる。

 一気に疲労感が来るが、騎士のいない方へフラフラと向かいしゃがみ込む。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 息切れが半端ない!

 ストレージから水筒を取り出し一気に口の中に水を流し込む。

 こんなに激しい運動をしたのは十年ぶりだろうか。

 体が悲鳴を上げている。

 ただ、ずっとここにいることは出来ない。


 震える手でスマホを操作し、


ーーーーー

イベント:マイチャリに乗って最短で王都を脱出する

日時  :開始 3152年6月25日 18時43分

     終了 ーー

場所  :現在地

繰り返し:なし

アラート:なし

ーーーーー


 ガチャンッ


 目の前に日本で乗っていたママチャリが現れる。

 消費魔力は二十。

 なんとかチャリに跨り、フラフラしながらペダルを漕ぐ。

 隠匿操作状態で物に触れると、触れたものも認識されなくなるのは実験済み。


 整備されてるとは言えちょっとガタガタな王都の道をママチャリで走る。

 ママチャリだからタイヤも普通だしサドルのクッション性も皆無なのでお尻が痛い。

 脱出ルートはもちろんわからないので、予定スキル頼み。

 なので、今どこだかわからない道をひたすらチャリで進んでいる。

 王都中心部から離れるにつれ道がどんどん悪くなっていく。

 中心部は石畳である程度舗装されているけど、今進んでいる道は土を踏み固めたままの状態。

 だから道はボコボコで余計お尻が痛くて立ち漕ぎに変えた。


 今は夜だからそこまで人通りは多くなく、人にぶつかることなく進めている。

 しかし、思った以上に王都は広いようでまだ王都外へは出れていない。

 そろそろ体力の限界が近い。

 今はなんとかスキルで持っているようなものだ。

 スキルが切れたらやばいな……


 と、遠目に大きな防壁が見えてきた。

 まだ門は見えていなけど、ゴールに近づいている。

 そこでふと思い至る。


 あれ?この時間は普通門ってしまってるよね?

 このまま進んだら壁にぶち当たる!?

 やばいやばい、もう結構近くまで来ちゃった。

 急いでスマホを鞄から出したいけど、スキル発動中だから足が止まらない。

 片手で鞄の中のスマホを探すけど取り出せない。

 そんなモタモタしてると、門はもう目の前。


 どうしよう!?


 ギィィ……


 なんとタイミング良く、門の端にある、人が二人くらい通れそうな扉が開き兵士が二人出てきた。

 その扉を開いたまま元々いた門番に近づいていく二人。

 ああ、交代兵か!

 ラッキー!

 私はその開いたままの扉から外に出た!


 王都から出たことにより予定スキルは解除されたけど、なんとか自力で門から数メートル離れた所まで漕ぐ。

 閉門時刻に間に合わなかった商隊などが通路の脇にいくつも並んで、野営をしているのを見つける。

 チャリを降り、ストレージにしまう。

 もう歩けないし体力の限界……

 商隊の集まりから少し離れた所に岩場を見つけ、なだれ込むように背中を預けたらもう意識を保つことは出来なかった。


♢♢♢



 ガヤガヤ……ガヤガヤ……


「ん……んん?うるさいなぁ……ハッ、ハッ、ハックション!」


 ブルブルッ


 冷えるなぁ……

 ん? 草と土の匂い?


 ガバッ!


 うわぁ……地べたに左側を下にして寝てしまっていたのか、朝露に濡れてビシャビシャ。

 まだ日が登り始めた時間だから温度も低い。

 そりゃ冷えるわ。


 濡れたままだが先に今の時間を確認する。

 四時五十分。

 門の方を見ると、既に開門されているようだ。

 だが、何かおかしい雰囲気。

 入っていく人は多いけど、出ていく人は見えない。


 あっ、そうか!私が昨日やらかしたことが原因か。

 そりゃ国王と宰相が何者かに襲撃されたとなったら王都から何者も出さないようにするよね。

 あぁ、本当に昨夜の内に出れて良かった。


 岩陰に入り、新しい服をストレージから出し、今着ている濡れた服を脱ぎ、着替える。

 ただ、昨日の頑張りで体は悲鳴を上げているからあちこち筋肉痛で、思うように体が動かない……簡単な着替えに一苦労。


 なんとか着替えを終え、朝食の用意をする。

 本当は一刻でも早くこの場を離れた方が良いのだろうけど、体が言うことを聞いてくれない。

 そんなガヤガヤした門を見ながら、ストレージから部屋にあった椅子を一脚取り出し座る。

 膝の上にハンカチを広げ、これまたストレージからパンとチーズを出し、切ったパンにチーズを挟んで食べる。

 机を出したいけど、ずっと触れていないと机だけ隠匿操作がかからず見えてしまうので、仕方なく膝の上で行う。

 昨日の夜から食べていない事を思い出し、一斤ぐらい食べてしまった。

 お茶を飲み、一息。

 あぁ、落ち着く。


 暫くぼーっとしながら体を解す。

 しかし全然解れないし、筋肉痛半端ない。

 うーん、困った、もうちょっと休んでいこう。




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