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フランシェ連邦の悪意なき善意

 おおよそ日本が重要と感じる国家に対して外交を終了した時分には日本国内も比較的落ち着きを見せて来た。

 資源輸入から始まり輸出の再開、日本という国家が連邦と言う大きな括りの国家になったことで他の州における設備投資が比較的大規模で行われた。最も大規模な投資が行われたのは台湾と樺太だった。


 朝鮮は前世界の政治的対立の事もあり、余り意欲的に進出する企業は少なかったが、鉄鉱石やタングステン、モリブデンと言った資源を産出する。よって資源輸入の会社等は進出をを果たす事もあった。


 国難を何とか乗り切った日本は、GDPが前年度比おおよそ20%減少してしまったが、新たな魔法と言う日本でも利用可能なエネルギーを得、そして経済活動を何より活発化させたのは世界との貿易である。


 洗濯機、冷蔵庫、エアコンを代表とした白物家電を筆頭に、エンジンを搭載している方の自動車、電池を入れるだけでものすごく明るい光を発するLEDライト、充電して繰り返し使用可能な電池型充電池、はっきりと聞こえるラジオに懐中時計や腕時計、または太陽光でも駆動する電卓などだ。


 挙げてみると分かるが、白物家電や自動車以外は極めてこまごまとした物のみが輸出されている。実は日本政府の方針でパソコンやスマホ、プリンターと言った代物は使いこなせないと思われるのみならず、先端技術であるため出来得る限りの機密保持を行い科学技術の圧倒的優位を長らく保つためのものである。ただ、リバースエンジニアリングを行われても容易には生産できない代物が詰まっている(IC集積チップやCPU等)が、そのような技術が有ると知られた際将来における強大な敵になる可能性がある。


 それは中国に例を取ると分かりやすいだろう。





 さて、我がタイフーンを航空自衛隊が導入した国家である日本における軍事は以下のものとなっている。


陸上自衛隊

 10個師団5個旅団にて構成されている。その中でも有名なのは北海道の南東方面を担当する第7師団だと思われる。第7師団は陸上自衛隊でも唯一ともいえる機甲を中心とした機甲化師団であり、旧ソ連軍に対応するための名残ともいえる。


 また、先の紛争においてアルティメット軍拡を果たした自衛隊は、有り余る(?)予算で持って陸上自衛隊の機動力を底上げするため、普通科には機械化もしくは自動車化を行った。また、火力の底上げをも兼ねて普通科に16式機動戦闘車(MCV)を導入、旧式である74式戦車の代替として10式を再生産を行い配備を行った。


 また、朝鮮総督府が管理していた旧大日本帝国軍朝鮮駐留部隊は2個師団(1個歩兵師団と1個戦車師団)、台湾総督府には歩兵師団が一個駐留していた。樺太にも歩兵師団が1個駐屯していた。また北方の島嶼には分散されて配置されていた1個連隊規模の歩兵警備隊が配備されていた。


 陸上自衛隊は通常の訓練に加えて旧大日本帝国軍の錬成も行わなくてはならないため、常日頃から人員不足にあえいでいる自衛隊には負担が大きかった。


 また、この世界の主力小銃に比すると5.56㎜小銃弾は射程が少なく劣勢となる可能性がある為20式の設計を改め7.62㎜小銃弾仕様の27式小銃が採用、20式を改造する必要があった。大日本帝国軍人の再教育にはてこずったものの、無事終了。


 旧大日本帝国軍は自衛隊よりかは戦場の場数が多い。朝鮮に駐留していた2個師団は1個機械化師団と一個機甲化師団(10式は配備が間に合わなかったため74式を配備)は連邦軍として朝鮮に再駐留。中国もしくはラシヤ連邦(ロシアに当たる国家)の侵攻時に防衛を行う軍として再編を受けた。


 台湾における歩兵師団は、1個機械化師団として再編。樺太においても同様に1個機械化師団に改変。また、石油が有る為レーダーサイトや監視所の構築を盛り込んだ。そして、それ以外の北方諸島はどうしようもないので地方警備隊として錬成した。また、南西諸島周辺においても無理な話なので地方警備隊をそれぞれに置き、南西諸島の一番大きな島に連隊司令部を置いたことでお茶を濁した。


 なお、この作品における陸上自衛隊の各種師団のそれぞれの役割は以下のようになる。


・機械化師団/旅団 装軌車両を主体とした重部隊。

・自動化師団/旅団 装輪車両を主体とした地域防衛隊。

・機甲師団/旅団  機甲打撃力を有する重打撃部隊。

・地方警備隊    地域に合わせた装備を保有する地域防衛隊。自動車化が難しい島嶼等の地域に配備される。


連邦軍配備状況

 自衛隊を主力として各州に旧大日本帝国軍を主軸とした防衛戦力を駐屯させている。自衛隊10個師団5個旅団+旧大日本帝国軍2個師団1個旅団、計12個師団6個旅団体制。


北部方面隊(北における北海道、樺太と北の島嶼の防衛を行う)

  第2師団

  第5師団  (樺太有事の際の初動を行う)

  第7師団  (樺太侵攻有事の後詰めを担う)

  第11旅団

  第16旅団 (旧大日本帝国軍再編樺太駐屯,機械化旅団)


東北方面隊(東北地方の防衛を主任務とする)

  第6師団

  第9師団


東部方面隊(東京を中心とした防衛を主任務とする)


  第1師団

  第12旅団


中部方面隊(関西を主とした防衛を主任務とする)

  第3師団 

  第10師団

  第13旅団

  第14旅団


西部方面隊 (九州を主として朝鮮、台湾の防衛を行う)

  第4師団 (朝鮮州への初動を行う)

  第8師団 (台湾州への初動を担当)

  第15旅団

  第17師団 (機械化師団,旧大日本帝国軍再編部隊朝鮮駐屯師団)

  第18師団 (機甲化師団,それ以外は第17師団と同)


陸上総隊

 方面隊に所属しない部隊の管理を担当する。

  第1空挺団

  水陸機動団

  南洋諸島警備連隊(南洋諸島州駐屯)

  北部諸島警備連隊(樺太・千島州,旧大日本帝国軍,北部諸島駐屯)


 陸上自衛隊はいわゆる日本国という連邦国における連邦軍と日本州の州軍を兼ねている。また、旧大日本帝国軍は連邦軍に属し、法的に何かと制約がある自衛隊より柔軟に活動できる。なにしろ、連邦軍においては憲法の自衛と言う範囲内で、侵攻目的でないならば敵地の直接攻撃を行う事が可能である。ただ事前の予防攻撃は基本禁止されている。が、海外に存在する邦人保護の際に戦闘状態に陥った場合、超法規的処置などという事をせずに自衛戦闘に移行できる。


 樺太に駐屯している第16旅団は樺太が縦に細長いこと、雪深い事もあって戦車大隊に機動性に優れる10式を導入している。


 海上自衛隊は陸上自衛隊より結構のんきで、主な仮想敵はろくな海軍を保有していないため在日米軍の第7艦隊と演習をしたりしている。


 戦闘艦(護衛艦等)

 航空機搭載型 2隻

 ヘリ搭載型  2隻

 多目的輸送  2隻

 ミサイル護衛艦11隻(イージス艦)

 対潜護衛艦   2隻

 汎用護衛艦  14隻

 多機能護衛艦 22隻

 通常型潜水艦 12隻

 


 その他

 在日米軍 第7艦隊の皆様

 次期海上自衛隊及び在日米軍主力攻撃型原子力潜水艦(12隻建造予定、うち3隻は海上自衛隊向け)


 航空自衛隊は担当地域がすごいことになったので、どうにかしなければならなかった。台湾、韓国、樺太に駐屯していた航空隊は装備の格差がひどいため未だ教育が終わっていない。そのため航空自衛隊の戦力を一部抽出している


北部航空方面隊

 東北以北の防空任務。

  第2航空団(タイフーン装備一個飛行隊、千歳基地)

  第3航空団(タイフーン装備、三沢基地)

  同樺太分遣第501航空隊(タイフーン装備、樺太:大澤飛行場)


中部航空方面隊

 首都防空を主軸とした日本中央部の防空任務

  第6航空団(タイフーン装備、小松基地)

  第7航空団(F-15装備、百里基地)


西部航空方面隊

 西日本と朝鮮半島方面の防空任務

  第5航空団(F-15装備、新田原基地)

  第8航空団(F-2装備、朝鮮駐屯)

  

南西航空方面隊

 沖縄以南の防空任務。

  第9航空団(F-15装備、那覇基地)

  第4航空団(F-2装備、台湾駐屯)


 となっている。





 さて、問題が起きたのは全世界のフランスに当たるフランシェ連邦だった。


 この世界における国家成立の事情もあってフランシェ王室が存続している連邦制国家だが、第1次世界大戦の影響で欧州の国家の例にもれず青息吐息となっている。


 発端は、日本が外交使節団に加わっていたフランス出身の誰かだった。日本国としては情報の統制としては手を尽くしていたが、そもそもこの世界線が全世界とは似ているが違う世界線となっており、歴史が其処まであてにならない状況になっていた。

 そのため、歴史系の情報統制は比較的緩かった。だが、宿泊施設に盗聴器が仕掛けられていたのだ。誰がやったのかと言うと、フランシェ連邦政府…ではなくフランシェ政府において野党第一党社会民主主義を標榜するフランシェ社会党であった。


 そこで、偶然フランス語で話されていた内容がフランスの歴史でありそこから情報が漏れたのだ。日本の外交担当官は最初にフランス大使を疑ったが、そもこの世界ではフランス

ではなくフランシェであるため、歴史が其処から違う。そのため今までの歴史があてにならないため、情報漏洩する事はありえないとの回答であった。

 

 フランシェがドイッチュランド(ドイツ)に対して怒りを見せ始めたのはその年からだった。

 

 そして、フランシェ人が日本の先進性を知ったのはそれから3年後、日本国が連邦制国家として機能して2年半後、国際社会から復帰して2年後の1925年パリ万博だった。


 そこに出展された日本館には、最新の化粧関係や香水、服飾も存在したが、多くの工業製品やフルカラーの写真、はたまたフルカラーで映るテレヴィジョン映像、自衛隊が全世界で行ってきたPKO活動の内容とその様子を写された写真などだった。


 行く先々の富裕層は勿論珍しいものに目を引かれていたが、フランシェ政府関係者は別の物に興味を示した。確かに工業製品は優秀でうまくつきあえれば経済的うまみもあるだろう。


 だが、それだけではなかった。日本が行ってきた、多種多様の公害対策関係の技術である。カドミウム関係の汚染から始まり、水銀汚染、空気汚染、そして、彼の福島第一原発における放射能汚染。それらの除染技術に目を引かれたのだ。


 廃棄された毒ガスを含む砲弾が存在する戦場跡は極めて厄介であり、毒ガス対策と不発弾処理を同時に行わなければならないのだ。


 フランシェ政府は、不発弾はこちらで行うが、毒ガス汚染の除染に協力してもらいたいと日本国に申し入れを行った。

 もちろん対価もあった。日本において不足しがちであった金、その他のレアメタルの資源輸出入である。


 それを知ったフランスの野党第一党は、一転日本を味方にすべくロビー活動を行った。そのロビー活動にフランシェ政府も乗った。


 それは……難航していたワシントン軍縮条約に関する日本国の是非である。

 日本と大英帝国の交渉内容を把握はしていなかったフランシェは、会議場にて悪意なき善意の表明を行った。それが、35,000tクラスで15インチ砲を上限とする戦艦2隻の新造許可だった。


 同時に戦艦は2隻を上限として、その余剰となった保有枠を空母と重巡洋艦の枠に転用させる。それをもって護衛艦の所有許可をだし、これをもって日本のワシントン軍縮条約体制に継続参加させようという魂胆だった。


 もちろん、大英帝国とアメリア代表は真っ蒼になる。大英帝国とアメリアはただでさえヤバい戦力を保有する日本にが合法的に戦力強化を行えることができる事に。だが、決まってしまった事だし、どこの国の条約型戦艦は其処までの性能を有していなかったがために、少しだけホッとしたところである。所詮は条約型戦艦2隻のみなのだ。


 一方日本は海上自衛隊が面倒くさがるが、旧大本帝国海軍は乗り気だった。だが、戦艦の建造はロストテクノロジーになって久しいため、難航が予想された。


 案としては5インチ単装速射砲を6基、ESSMおよびSM6、SM3を搭載する26式VLS発射機18セル×4基、24式SSM発射筒4基、Sea Ram4基、365mm3連装短魚雷発射管2基、23式アスロック発射機2基、と言ったアーセナルシップ計画もどきが出てきたが、却下。


 在日米軍さんの“意外と戦艦は使えた”という意見を取り入れ、大和の主砲を製作した大旋盤を再整備して14インチ砲を限定生産。


 最終的に、以下のような代物となった。



34000トン級ミサイル護衛艦きい型


同型艦:きい・さぬき

排水量:34000トン

最大速力(推定)30ノット、推進4軸

機関:ガスタービン、ディーゼル複合電気推進

電源:ガスタービンエンジン6基、ディーゼルエンジン3基(うち1基は予備)

兵装:45口径14インチ連装砲3基(自動装填:4-5発/分,水冷式)

   62口径5インチ単装速射砲4基

   26式VLS(74セル+42セル)

    ・SM-6 SAM

    ・SM-3 ABS

    ・24式 SUM

   ESSM SAM8連装発射機2基

   24式SSM 6連装発射機2基

   324mm3連装発射機2基

   20mmファランクス6基

   seaRam12連装発射機4基

C4I:イージスシステム、対潜システム

FCS:SAM用6基、主砲用2基

レーダー:FCS-9D(日本製イージスシステム対応フェーズドアレイレーダー)

     対水上レーダー

ソナー:艦首、曳航式を装備

電子戦系:逆探知装置、チャフ・フレアディスペンサー6連装8基

搭載機:汎用ヘリコプター2機

同時対処能力:24目標

装甲防御:14インチ防護を実施


 そう、海上自衛隊はこれを機にイージス艦を増やしやがったのだ。そして在日米軍は戦艦に対潜戦闘させる気満々な対潜装備を見て苦笑いをしていた。

 装甲的には14インチ防護と銘打ってあるが、実際はミサイル護衛艦であるので史実の金剛型より装甲が薄めである。ただ、装甲の質に関してはこれ以上とない性能である。


 海上自衛隊では戦艦に似たような物を作った事にはある一定の意味があると考えられていた。

 対艦ミサイルではこの世界の戦艦の主装甲板を貫徹できないと考えられたからである。航空攻撃であるならLJADMを叩き込んだり、潜水艦の誘導魚雷を叩き込んだりなどはできるが、水上艦において、そのような対応は難しかった。

 魚雷はまず対潜水艦用であるため射程が短く、短魚雷の射程に入る前に砲弾の雨をくぐり抜けなければならない。比較的長射程を誇る5インチ砲も貫徹は不可。

 だが、大口径砲であるならば貫徹力を有したまま長射程で砲戦を行い撃沈が可能であると見られた。また対地攻撃支援に極めて有用だと見られた。


 いまさら戦艦を作るのはどうなのかというミリオタの方々も、予想スペック表を見た後はいろいろと察した。


 そして、この時代において戦艦とは通常兵器における戦略級の兵器であり、ぱっと見でもその武威を示すことができる事から、政治的に使いまわされる運命になる。結局は政治色が強い建造決定であった。


 予算に関しては1924年度に日本のGDPが復活したところか、1925年度には成長率5%を記録。日本が調査した世界全体のGDP成長率は日本の転移と言う刺激が有って軒並み3%の上昇が見込まれていた。そのため、イージス艦と空母をそれぞれ一隻ずつ同時建造するほどの予算を戦艦もどき一隻に食われたが、予算的に問題はなかった。

 だが、、日本の国難を耐えるためGDP比1%に減らしていた防衛費をはちょっと無理があったので1.3%まで上げたのだ。予算的にはGDPが上昇傾向にあった為8兆円規模のものとなる。また、これに在日米軍の予算も追加計上されるため、合計で12兆円。


 なお、日本政府(財務省)は税収が増えて大喜び。在日米軍の予算計上が有っても国債発行が少数になった。


 フランシェ政府はにっこり笑顔、日本を味方に引き入れる事に成功したと感じたのだ

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[気になる点] 潜水艦が使用する大型長魚雷を、水上艦から発射可能にすることは、そう難しくないはずですが?
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