催眠術 part1
なんだか文書上手く書けませんでした。お手柔らかに〜〜。催眠術のお話は後編に続く!!
宇宙船が到着してから2週間が立とうとしていた。既にあたし達の同居も慣れたものになってきた頃。あたしは新しい知識が毎日大量に入ってくるからすごく目新しい日々を過ごしてた。日常は何一つ変わらず平和に時間が過ぎていった。そんなある日のこと。
「いーい?さくらちゃぁん。なーんにも考えずにこの玉を見ててね?なーにも考えちゃだめだよぉ?」
こくこくこくこく。あたし何度も何度も頷く。
モカがあたしの顔を覗き込みながら真面目な顔をする。それがまた可愛いなんだなぁ〜〜うーん、羨ましい。この顔だったら落ちない男いないんじゃないかなとかどうでもいいことを考えちゃう。
今日はモカに催眠術をかけられる日。
超文明時代から続く催眠術。しかもモカは生まれながらの心理の先生。物心ついた時には心理学を学ばされてたっていうし。だからあたしはここ最近ある種の恐怖に苛まれていたの。魔術的な催眠術にかけられちゃうんじゃないかなって。そしたらもう目が覚めなくなっちゃうのじゃないかなって。
でも実際は。なんてことの無い。どっからどう見てもインチキにしか見えないような催眠術。
球に糸を繋いで振り子状にする。それをあたしの目の前でぶーらぶらさせる。以上。これでそのうち催眠状態になり寝てる間にあたしの深層心理を覗ける。
ってさ。モカが自信満々の顔で言い張るんだよね。かなーり不安。
本当かあなぁでもモカの言うことは確かなはずだし……そう思いながらも一応何も考えずにじっと見つめてみる。
5分経過……10分経過……15分経過……
んなわけあるか〜〜
こんなインチキにあたしがひっかかるか~
……やっぱりこんなのインチキなんだって。
むりだ。限界だ。
「なーんにも考えてないけど全くかかりそうにないよ?」
「さくらちゃぁん。何も考えたらダメなんだってばぁ〜かからないなぁって考えるのもダメなの〜」
モカが困ったように眉をしかめる。何も考えるなって言ったって……考えるなって言う方が無理があるんだよ。まず。まず一番の原因はこれだと思う。モカとあたしの周りには観客が4人もいるの。それも瞬きひとつせずにじっっと見つめてくるのだ。プレッシャーなんてもんじゃないくらいのプレッシャー。でも、皆緊張しながらあたしを見守ってくれてるんだもんね。半分以上興味本位だと思うけど。どっか行ってなんていえないよねぇ……?
ちょっと一息あたしはゆず茶に手を伸ばす。喉が渇いて仕方ないってことはかなり緊張してる。つまり何も考えてない状態になれてないってことね。どうしようかなぁ。
モカは葉っぱを3枚ほど潰して液体の中に混ぜ始めた。辺りに爽やかな柑橘系の香りとハーブの香りが入り交じる。アロマってやつを作ってるらしい。精神が安定するんだそうだ。
ちらちらあたしのこと横眼で見てたモカ。急にニヤァってあたしを見て笑う。そうかと思うとニヤニヤしながら観客を追い出し始めた。あっあたしの気持ち察してくれたんだ!
「ごめんね♡♡そっかぁそうだよね!さくらたん女の子だもんね♡♡寝顔見られたくないよね♡♡はい!みんなしっしっ!」
かなり的外れな察し方だぁ〜この子どんな思考回路してんの〜
あたし恥ずかしさのあまりほんのり赤面。これがまた肯定してるみたいでますます恥ずかしくなるの。
「えーじゃぁかかったら僕らも呼んでね。」
「さくら、焦らなくていいからな。」
みんな名残惜しそうに、マサキが頭をポンポンってしながら男性陣退却。
「私はどうしよっか?」
残ったユメがさりげなくモカ聞く。
「出来ればいて欲しい。何が起きた時私一人じゃ…」
「ん、分かった。」
「じゃさくらちゃんそろそろいける?」
観客が減ったことにほっとしながらまた3回こくこくこくって頷く。
2人ともすっごくさりげなく会話してたんだけど、何となくほんの少しモカとユメの顔がさっきより強ばってる気がしないでもない。何かあったのかな…何か起こるのかな…ほんの少しモヤモヤした気持ちを感じたような気がする。けどあたしには催眠術にかかるっていう大仕事があるから頭をブルって振って気持ちを切り替えてモカの揺らす球に意識を集中させた。
男性陣が退却することで圧倒的に視線が減って(ユメはあえてこっちを見ずに湯呑を眺めていてくれたらしい。)心が落ち着いていくのを感じる。一回リラックスを感じると後は一瞬だった。ふりこの揺れを見続けるとだんだん頭がボーっとしてきて、なにも考えられなくなってきて、身体が重くなって、焦点が合わなくなってきて、遂には目を開けてるのさえ億劫になってきて……あたしは深い眠りに落ちた。
「落ちた……わね?」
「多分……モカ落ち着いて。怖がらないで。」
ユメがモカの身体を撫でる。モカの身体は小刻みに震えてるみたいだった。