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閉路  作者: 一稀美
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おべんきょう

マサキがどんどん私好みになっていきます。Sっ気のある男性が好きなんです私。ルカの事はとことんディスってやろうと思ってます。そうキャラですよね。

テレビ、パコソン、スマートフォン、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、掃除機、印刷機、ウォークマン。

ビル、コンサートホール、マンション。

数学、物理、化学、地理。

今あたしは色んなことを学んでいるところ。無論全部初耳。先生は5人全員。暇な人が随時あたしに昔の日常にありふれていた当たり前のものについて教えてくれる。勉強を教えるのは全部ルカの役目。なんでこんなことをしてるのかと言うと。あたし達は実験してるのだ。ルカの3日に及ぶ宇宙船で缶詰研究の末、あたし達地球に住む人間には学ぼう、考えよう、進化しようという能力(?)が欠落してるらしい(正しくは6歳以上の地球人)。じゃぁそんな人に知識を送り込んだらどうなるのかっていうことになって。今その実験の最中。初めて1週間くらいになるんだけど今のところ過去の話を聞くのはすごく面白い。お勉強もすごく楽しいの。得に数学がいちばん楽しくて(ルカ曰く数学がまだ1番知識がマシらしい。四則演算できるからだってさ。)物理が一番嫌い。だってルカが専門用語ばっかり使うんだもん。


「でね、僕達の先祖は地球温暖化って問題に直面するんだよ。CO2増加、森林伐採、人口増加、温室効果ガス、原因は沢山あるんだけど。これによって北極の氷がどんどん溶けて〜…〜。」

チヒロによる地理の授業中。チヒロは今朝ユメが焼いてくれたスィートポテトを頬張っている。もちろん初めて食べる味であたしもすごくテンション上がったんだけどよく考えてみるとこの食べ物変だよね。だってさつまいもをわざわざ蒸して潰してまたさつまいもの形にして焼いてるんだもん。手間かかるのに出来上がっても見た目変わらないなぁって思っちゃった。味はすっごく美味しいけど。

あたしとチヒロの横にルカ。ルカはあたしの脳波(よく分からないけどあたしの脳の反応?)を見てる。あっそうそう。教えてもらってる間あたしは固い帽子みたいなものを頭につけてる。それから伸びた線が機械とパソコンに繋がってるの。するとパソコンではあたしの脳がどう使われててどう反応してるかが分かるようになってるらしい。ルカはこれを監視してる。まぁ監視しながらずっとあくびばっかりしてるからきっとつまらない結果しか得れないんだろうけど。

そこにマサキが参加。昨日結構伸びてた髭を剃ったみたいですごくスッキリしてみてる。剃ってるほうが似合う気がする。単にあたしのタイプなだけかもしれないけど。マサキが来たらすごく気合いが入るんだよね! やっぱりマサキの前では理解力があるように思われたいって言うか。まぁ単なる乙女心ってやつだ。

「さくら、すごいやる気出てて来ましたね急に。マサキ来てから。」

ひどいルカ……勝手にあたしの脳みそ監視してる癖にこっそり育ててる乙女心まで見つけてバラすなんて……女心分からないからルカはいつまでたってもひょろひょろなんだよ!!! 心の中で散々に罵りながらルカをキッと睨みつける。そんなあたしを見てルカはニヤニヤ、チヒロとマサキはクスクス笑う。はぁ恥ずかしい。

「で、どうよ。さくらの様子は」

授業が一息ついたところでマサキがルカに聞く。ルカはパコソンを叩きながら(正しくはキーボードを打ちながら)言う。

「それが凄いよさくら。」

「と、いいますと?」

ルカによるまさかの褒め言葉にみんなが注目する。

「いや、賢いというか……ただすごい吸収力なんですよ。まぁ当然っちゃ当然。今までまっっったく使ってない脳だったから知識をどんどん吸収することができるみたいで。おかげで1度聞いたらさくらの場合はだいたい全部覚えてる。今のところはね。もっと難しいレベルの話になるとこんがらがるのかも知れないけど。」

そんなに褒められてる気はしないけど一応褒めてくれたらしいからあたしやっぱり嬉しくなっちゃう。

「うへへへえへへへ。へへっ。」

あたし。ご機嫌に笑ってみせる。

「…気持ち悪い笑い方すんね。」

「…そっとしておいてやってマサキ。でさ、面白いことに学習中のさくらね、すごい興味津々になってるんだ。あれは?これは?って質問も多いし。脳波をデータ化して見てみても勉強中はしっかりエネルギーを考える事に使ってるんだ。」

マサキに気持ち悪いって言われた言葉が頭の中でぐーるぐる木霊してショックを受けてる間に二人の会話はどんどん続いていく。

「つまり、考える事の能力が欠落してるわけでは無いってことか。」

「そういうこと。普通に学習する環境下に置いたら俺らと同じレベルの頭脳になると思う。」

ここでルカが目頭を手でいじりながら話を続ける。これはルカの困った時の癖。

「だとすると。やっぱり謎なんだよね。なんで誰一人とある学問に特化した人出てこないんだろう。勉強するっていう文化が生まれないんだろう。」

「そうだよなぁ文明が数百年出来ないなんてことありえないよなぁ。受け入れる器はあるのにな。」

うーーんうーーーん。2人が答えが出ない謎に頭を悩ませる。

「じゃぁさ……えっと……ぅ〜んと」

チヒロが何か言いたげで、でも言いにくそうに大きな体をモジモジさせている。

「なに?チヒロ。」

ルカがせっかち感丸出しで聞く。はぁルカはこれだからモテないんだよ。知らないけど。

「えっと…さくらを催眠術にかけて見たらどうかな……?モカにはおやすい御用だと思うし……」

「ん?それ意味あるか?」

「いや、ルカ。それは名案かもしれないぞ。」

ルカの言葉を遮るようにマサキが言う。それに自信をつけたのかチヒロが少し力強い声で。

「もしかしたらさくら自身にも分からない人類の謎が深層心理には隠されてるのかな……って思ったり……したんだ……」

「なるほど!すまないチヒロ!それは試す価値ありだな!僕としたことが全く思いつかなかった!なるほど!善は急げ!今日か明日にでも試すぞ!」

ルカが興奮しながら喋り続ける。ほっそい腕でガタイのいいチヒロの背中をバシバシ。かと思うと急に立ち上がって部屋をいそいそと出ていった。


・・・・・・・・・・・ふぇ?

「あの〜あたしになんの断りもなく催眠術かけるの?」

唯一理解出来た内容があたしに催眠術をかける、しかも今日か明日っていう恐ろしい内容だったから急いで質問する。

「ん。ちょっと寝てる間に質問に答えてもらうな。でもなぁ寝てる間に動いたり飯食ったりしてたら一生起きないかもしれないけどな!」

・・・・・・・・・・・うううぅ

泣きそう。やだそんなの。やだよぉ。

ほぼ半泣きのあたしを見てマサキが喉の奥でクックッて笑う。悪魔的な笑顔がまた似合う。

「嘘に決まってんだろ。大丈夫大丈夫。」

そう言って肩を撫でてくれるけど。不安だなぁ怖いよなぁ。

今日はやめてもらおっと。心の準備がね。

明日、どうなる事やら。

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