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閉路  作者: 一稀美
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新しいもの

書きたいことが上手く言い表せませんね。語彙力のなさですね。進み悪いですね〜どのキャラクターが好きでしょうか。

同居生活が始まって3日目の朝。例によって例のごとくあたしは塩にぎりを準備する。それを見たユメがキレた。ブチ切れた。

「ちょっとお尋ねしたんだけど! ここじゃぁ食事って塩にぎりしかないわけ?! 同じおにぎりでも他の味はないの? 人間の三大欲求を舐めてるの!!!??」

ユメ。真っ黒な黒髪で力強い二重、真っ赤な唇。美しいとしか言い表せられない表情にはもう2度と塩にぎりは食べるもんかっていう意思が溢れていた。そりゃ……もちろん食事は他にも種類はある。現にお母さんなんかは卵料理も魚料理もかなり手の込んだものを作れる。ただあたしは……あたしは作れないのだ。生まれつきの驚異的な不器用さ。リンゴを剥いたら残るのは芯だけってことも当たり前。とても人に出せる料理なんて作れっこないし作ったら最後、誰かは確実に体調不良にさせてしまう自信があった。

あたしがだってだってだってって言ってるのを無視してユメが荒々しくこう告げる。

「居候の身で申し訳ないですけど私がこれから台所は牛耳らせてもらいますっ!!!」


その日あたしは感動した。ユメが使ってくれたご飯。びっくりするくらい美味しかったのだ。お米つかってるんだけどおにぎりとは全くの別物だった。リゾットって言うらしい。見た目はほぼお粥だから大体の味をイメージしてひとくち口に含んだんだけど。まっっったくの別物。お米は柔らかくてフニフニなのに芯はポリってしてて堪らないの。しかもユメはおやつ用にマドレーヌっていう焼き菓子を作ってくれるんだって! 昔の人は『旦那さんの胃袋を掴む』って表現をよくしてたらしい。それは比喩でもなんでもなくて本当にこんな料理が毎日出てきたらそりゃ旦那さん当然逃げていかないんだと思う。


この日以来あたしがユメの尻に敷かれたことは言うまでもない。


3日の同居の末だんだん皆のことが分かってきた。まず初めに。モカは天使じゃなかった。見た目の可愛さ故天使でも間違いないんだけど最近は聖母に見えてきてるんだよね。モカの持つ独特の柔らかい雰囲気に癒されてしまう。なんでも物心着いた時から心理学の英才教育を受けたらしい。人の心理の熟知してる彼女は各人にとって心地よい距離感を保つことが無意識にできるのだ。発言だけじゃぁかなーーーりのワガママに聞こえてたんだけどどんなに駄々をこねてても腹が立ってこないのはモカの計算によるものだったみたい。いつも調子に乗って怒られるあたし。心底モカが羨ましいんだ〜〜〜〜


「さくらちゃん〜くるみ割っといてっておじさんが」

肌着に麦わら帽子を被った大男が箱いっぱいのくるみを抱えてあたしに声かけてきた。チヒロ。チヒロは今は私の親友。来た初日こそ縮こまってたけどだんだん慣れてきておしゃべりしてたらいつの間にかすっごく仲良くなってたの! それだけじゃなくてチヒロだけがあたし達のお仕事手伝ってくれる。 強靭な肉体だから畑仕事してもらったらいつもの3倍は早く終われるし、その後で一緒に野原いって木の実を収穫したりつまみ食いしたりするのが今は1番楽しい。見た目とは裏腹に心はかわいい女の子みたいな感じ。一緒に机に並んでくるみの殻を割り始める。力を入れるだけで千尋の胸筋が波打つ。硬そうな体だなぁ……

「チヒロはさぁどうやってそんなに体鍛えたの?」

素朴な疑問を投げかけてみる。

「それがねぇ僕特に鍛えたつもりないんだよね。何もしなくても筋肉が発達してきて。生まれ持った筋肉量が多いんだろうねぇ」

バキっ。片手でくるみの殻を握りつぶしながらチヒロが答える。

おぉ〜くるみなんてあたしが棍棒で叩いて叩いてやっと割れるくらい硬いのにチヒロったらトマトを潰すくらいにいとも容易く……

多分ルカの分の筋肉全部持って生まれちゃったんだろうな……

しみじみ。ルカって気の毒だよねぇ。


とんでもなく失礼なことを心の中で言われてるいるルカはというと。だれも寄り付かない宇宙船の中で毎日を過ごしていた。みんなはもうその空間にはうんざりしているらしくどんなに不便であってもあたしの家で寝たり料理したりしてるんだけどルカだけはご飯以外は籠りっぱなし。何してるのか聞いても「ちょっと気になることがあるのです!」って言うだけで教えてくれない。ユメに聞いたんだけどルカってIQ250以上あるらしい。あたしはIQが何かさえ分からないけど。超超超超天才って事なんだってさ~。

きっと天才にはこの状況が耐えられないんだろうな。だってこんな土地じゃぁどんな才能でも使うところがないんだもん宝の持ち腐れってやつだよね。


まぁそんなこんなでみんななんとかこの現状に対応してくれてるみたい。あっマサキ。マサキはね何もしてないの。何もしてないというか何も出来ないっていうか……。

マサキがあたし目線で超絶美男子っていうのは言ったと思うんだけどあたし目線じゃなかったみたい。万人がみても超絶美少年らしくて。とくにおばさん達に大人気!! 常に話相手にさせられてるらしい。あたしも話したいんだけどなぁ〜〜〜〜。


こんな生活が続いてる。ユメのご飯の美味しさに驚く日々。モカの心理療法のおかげで寝付きが良くなってる。マサキのかっこよさに眼球が浄化されてる。チヒロと一緒に農業に励む。ルカは何かしてるけど結局分からない。

仲間が増えて各々全然違う性格だから楽しい毎日を送ってる。ルカとマサキはしょっちゅうこの1000年で退化した謎を解き明かそなくては!って意気込んでるけど、あたしはこの生活が続いて欲しいなって心底思うんだ。


こんな平和な生活がずっと続いて欲しいなって思うんだ。

大きな変化なんてなくていいんじゃないかと思うんだ。

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