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閉路  作者: 一稀美
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隣町

家出れない弊害か私少し太ってしまいました。でも家で運動できないし、このままもっと太るのでしょうか。おぉ怖い怖い。でも美味しいもの食べれるのは幸せですねぇ。

さて。今日は夢にまで見たお旅行の一日目。あたし達は皆未だかつて無いくらいはしゃいでる。今の日本には田舎、都会っていう概念は存在しない。つまりここの隣町のから見る風景はあたし達の村そう変わらないんだけど、初めての旅行ってことで全く新鮮なような気がした。まぁかなりあたしの村より食べ物が潤った町らしくて普通ならよっぽどおめでたい時しか食べることができないメロンがゴロゴロ落ちてるし、牛も鶏もざっと二倍くらい生息している。それだけであたし達が興奮するには十分だった。とりあえず長旅の疲れもあってあたし達はまず宿泊させてもらう宿に行くことにした。


「こーんにちはぁ!誰かいませんかぁ~!」

村長さんのお家の前で大声で挨拶。あたしは全く平気なんだけど他の皆は完全に縮こまってる。お金のという概念がないこの現代に泊まらせてもらうなんてどうしたらいいか分からないらしい。と、何回か呼んでるうちにお家の中からふくよかな奥様が微笑みながら出てきてくれた。

「あらあら皆さま。この辺で見ない人ですねぇ。どちらからいらしてくれたんですか。」

「隣町から来たんです!6人で大勢で申し訳ないんですけどお部屋貸してもらえませんか!」

皆が特にルカがギョッとした顔でこっちを見てるのが分かる。なんでそんなに驚くのよもうっ!

「もちろんよ~!! 遠くから来てくれてありがとうね!部屋はいくつくらい必要かしら?」

「大きめのお部屋なら1つで十分です!」

「あら、なら宴会部屋をお使いなさいな! さぁさ、立っているのもなんだからどうぞ中へ」

気前よく奥様がお部屋まで案内してくれる。さすが村長のお家。とっても広いお部屋であたし達のテンションがどんどん上がってくる。お部屋まで案内される途中あたしは奥様にアレを渡した。アレっていうのは真珠のこと。この町は食べ物は豊富だけど宝石とか光り物が取れない土地なの。だからあたし達はこうやって無いものを補い合うように交換して生活してる。昔で言うお金があれば便利なのかもしれないけど、言い伝えいわくお金って人を悪い方に変えてしまうの。まぁそう信じてきたけど今となっては半信半疑なのが本音だけどね。


「にしても!隣町でしょ?なんだか大災害があったと聞いたわぁ。災難でしたわねぇ」

「そうなんです~もう病んじゃいそうで。こうしてお出かけに来たんです。」

「それは良いことねぇ……にしても良い男ね!」

奥様、あたしにだけ聞こえる小さな声でぼそっと言ってくる。あ、やっぱりマサキのかっこよさはね。どこに行っても通用しちゃうんだよね。鼻が高くなるってこういうことね!うふ

「やっぱりそうですよね!私もそう思います!スラっとしたスタイルに切れ長の目!セクシーすぎてあたしも直視できないんですよ~!」

「……??なぁに言ってんのお嬢ちゃん!!! いい男っていうのはあのガタイのいいお兄ちゃんのことだよ!逞しくて素敵だわぁ。」

えぇチヒロのこと……まさかマサキよりチヒロの方がいい男なんて……信じられないしそんな訳ないのに(失礼よねごめんチヒロぉ)謎の敗北感に包まれながらあたし、愛想笑いをした。


「すっごいなぁこんなあっさり部屋貸して貰えるんだねぇ♡」

モカがしきりに感動してる。

「そういや俺たちが降り立った後もすぐさくらのママさん離れに俺達を住まわせてくれたもんな」

マサキ荷物を仕分けながら納得したような顔でこっちを見る。

「困ってる人がいたら助けてあげるのは当たり前だもん」

「文明ないけどいい世界だよな。文明は……いると思うけど」

最後の言葉はあまりに小さすぎて誰にも聞こえなかった。


なにはともあれ、ワクワクのお旅行。みんなそれぞれしたいことがあるらしく個人行動となった。あたしは温泉なんかに入ったりしちゃってる。


こんな感じで言うまでもなくかなり幸せな旅行中のあたし達。ここでちょっと整理しようと思うかな。まぁご存じの通り特に何も起こってないけど少しだけ。

まず初めにあたしの勉強は一応続いてる。あんな無残なことされたからやめた方がいいかとも思ったんだけど、それはそれで負けてしまったみたいでなんか嫌だった。それにあたしがもっと知識を付けたらアイツがまた何か言ってくるかもしれないっていう期待も込めて。最初の勢いはもうないけど少しづつ着実に賢くなってる……はず。次に夢のこと。これは不定期でほんの短時間だけだけどまだ続いてる。相変わらず見る世界は過去の地球の姿ばっかり。でも最近分かったことなんだけどこの世界に行くときあたしが持っているものも一緒に連れて行っちゃうみたい。だから鉛筆持ってたらその世界でも持ってるままなわけ。だからなんだっていう情報だった。てへ。

あっ。ルカは相変わらずあたしのこと避けてくる。嫌われてるわけじゃなさそうだけどよく分からない。あたしがこの世から消し去ってしまったおりんごはルカの天才的な頭脳による発育剤と懸命なお世話によってすくすく育ってるんだよ!食べれるようになるにはまだまだ随分とかかるけどさね。整理って言ってもこんだけで終わっちゃった。あと……あたしの淡い恋心もすくすく育ってる。内緒だけど。


あぁのぼせてきちゃった!あがろっと!!!もう夕方。今日の夜はお屋敷の奥様がごちそうをしてくれるらしい。この前はれて20歳になったマサキ達はお酒飲めるってウキウキしてたなぁ。ふふ楽しそう。


お酒。お酒はいつの時代も何かを引き起こすものなんです。良くも悪くも。

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