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閉路  作者: 一稀美
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思い立ったら吉日……?

コロナのせいで毎日退屈です。どうもこんにちは。家をでて遊びまわる訳にもいかないので最近のマイブームはTSUTAYAに行ってDVDを借りることになりました。家でだらだらしながら見てます。ちなみに作品は大体【クレヨンしんちゃん】です。おバカだけど愛おしいですねしんちゃん。

もっとちなみにですが私の世代のしんちゃんの主題歌は「たこ焼き焼くのは上手で~やきもち焼くのはへたっぴ~」ってやつでした。世代が見えちゃいますね。

次にあの声が聞こえてきたときにはあれを言ってやるんだ!これを言ってやるんだ!って色々考えているんだけど。けど。けど!けど!けど……もう随分長い間待ってるんだけど!一向に何も起こらないんだよね。いや、平和で良いし願わくはこんな生活が続いてほしんだけどさ。なんか拍子抜けしたっていうか、あんなに無残に荒れ果てた景色を見た後に芽生えたあたしの闘志とか戦うための決意とか返せ!!って気分になってくるんだよね。いいんだけど。


相手が何もアクションを起こしてこない。相手が何もしてこないなら?答えは一つ。こっちから動くしかない!でもどうやって?

あたし達6人はこのことで最近ずっと頭を悩ませられていた。皆各々に思い付いたらアイデアを出していくんだけど、これがまたなかなかいい案がない。終いにはイライラしてきちゃって……まともなことを考えなくなちゃうんだ。昨日なんて遂に爆発しちゃったルカが山の頂上に登ってどこかで聞いてるかもしれない何者かに向かって大声で「出てこい」だの「正々堂々勝負しろ」だの「一体何者なんだ」って2時間近く叫んでいたらしい。おかげで今日は声がガッスガス。ルカって本来めちゃくちゃ頭いいのに、そのルカでさえこんな行動を取っちゃうんだからあたし達相当精神的に参っちゃってるんだよね。


「あ~~~もういいんじゃない?何もしてこないし何もできることないしさ。考えるのやめたい俺。」

マサキが完全に口をへの字に曲げながら机に突っ伏す。こうしてると国宝級美男子(注:さくら目線)も小さい子みたいで可愛らしく見えてくる。バキンっ!!そんなマサキを横目で見ながらチヒロが片手でクルミを割る。

「チヒロ……よくそんな力有り余ってんね……」

「でもここに来て僕筋力落ちたよ。体も一回り小さくなったし。」

「……チヒロってそんな人間離れしてたっけ……。あぁぁぁそんなことよりさぁ。俺もうなぁぁぁんにも思い浮かばなくて病みそうなんだけど!」

マサキは突っ伏してた頭を今度は机の上にバンバンと打ち付け始める。マサキ程病んではいないけどここにいるあたしとチヒロとモカも同じ気分だった。はぁぁ。皆どんよりとため息交じりに息をつく。といってもモカは摘んできた花を押し花にして栞を作るのにハマってるらしくそのことに集中してるだけかもしれないけど。花びら一枚一枚がくっつかないように紙の上に広げてゆっくりと本に挟んでいる。数日前に本の中に挟んだ押し花を取り出したその時モカがポツリと何気なく言葉発した。

「遠くにおでかけしたいなぁ。」


ん?まったく思ってなかった一言にあたし達皆きょとんとしてモカのこと見つめちゃう。その視線に気付いてかモカが照れ臭そうに笑いながら押し花を見せてくれる。

「だって見てぇ。おんなじお花ばっかなんだもん~。」

目の前に並べられる花!花!花!色とりどりであたしからしてみたら十分な量に感じるけど。

「おんなじお花ばっかり摘んでても新しいデザイン作れないしさぁ~何なら本当は私がしたいのは押し花じゃないのぉ。生け花とかしたいのにこの村には先生がいないみたいだから習えないんだもん!だからお出かけしてみたいな!って。 てへっ!!」

てへって。いかにもモカらしいっていうか。というかお出かけかぁ。お出かけ。う~~んお出かけ。


さぁもう言わずもがな。こんなモカのセリフを聞いちゃったあたし達の頭の中はお出かけでいっぱいになっちゃうんです。もちろん。そもそもあたしはほとんどこの村から出たこともないし、もちろんモカ達5人もこの地球に降り立ってからこの村から移動してない。つまり他の土地を見てみたくなるのも必然なことだったの。この後あたし達6人は居間に集まった。皆それぞれにお出かけをするためのソレっぽい理由を口々に言い始める。


「こんな変わり映えのない環境だからアイツ(あたしが聞いた声の持ち主で、あたし達の稲畑を破壊した何者かのこと。何者か分からないから呼び辛くてアイツって呼ぶことにしたの。)に立ち向かう方法を思いつかないんだ」マサキの持論。


「もしかしたら他の村にはこの地球の謎を知ってる人がいるかもしれない。いなくても……隣町にはこの辺唯一の図書館があるみたいだし本読み漁ってたら少なくとも知識にはなるはず。」ルカの持論。


「出先にアイツに立ち向かえそうな武器が見つかるかも!切れ味のいい刃物とか!あっ!切れ味良い刃物と言えば包丁!今使ってるのイマイチなんだよね。包丁が良ければもっと美味しいご飯が作れるわ。」ユメの持論。


「そうだ!郷土料理とかあるよね!美味しいもの沢山食べたらパワーみなぎるよね!お腹を満たすことは大切なことなんだ。腹が減っては戦はできぬっていうじゃないか。」チヒロの持論。


「綺麗なお花をいっぱい摘んで〜押し花したり生け花にしたり〜可愛い飾り物もあるかしら〜可愛いは何よりの正義なのよぉぉ」モカの持論。


「お出かけしたい!お出かけするべき!お出かけする方がいいに決まってる!」あたしの持論。


……と、こんな感じで隣町までお出かけするってことでみんなの意見が完全に一致しちゃったという訳。まぁまともな意見になってるのはマサキとルカくらいなんだけどね。何はともあれ、ここまで来ると話はトントン拍子で進んじゃうのでした。あたしはママに6人で旅行行く許可を得て、その後皆で手分けして1週間分の体力仕事(草抜き、植えもの、収穫、牧割り、縫物etc)を終わらせて。行こうって決めてから翌日あたし達の1週間の旅行が始まるのでした。

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