闘志
お話を書くのって難しすぎますねぇ〜同じことばっかり書いてしまいます。これもあれもそれも全部コロナのせいということにしときます。
食卓にあたし達6人が集まる。目の前にはホカホカのご飯と野菜のスープにだし巻き卵。ちゃっかりお漬物なんかまである。
「あんまりしつこいものは食べたくないかなと思って和食にしたの。」
ユメがあたしのこと心配そうにこと様子をうかがう。多分すっごく落ち込んでるって思ってるんだろうなぁ。なにも話さずに一人で座って黄昏てしまっていたことを反省しなくっちゃ。
「うん!その通りなの。すごく美味しそう! やっぱ和食だよね!」
「さくらちゃん思ってたより元気そうで安心した!」
ダイレクトにモカが言ってくれる。そうそう。こうやって気を使われない方が有難かった。心からの微笑を共にキュウリのお漬物をかじる。……ユメのご飯ってなんでも美味しいんだけど和食は……あんまり得意じゃないのかもしれない。味がほぼしなかった。もしかしたら和食というものが本来これぐらいお淑やかな味付けなのかもしれないけど。あたしは元来濃い味が好きだからっていうのもあるのかな。
「正直目が覚めてあの外の状態見たときほんっとうにショックだった。なにも考えられなかったしすごく怖くて食欲なんて湧かなかったの。」
あたしお米を頬張りながらポツリポツリと話し始める。みんな共感しながら頷いてくれる。
「でも食べて体を丈夫にしないと戦えないなって思って。皆心配かけてごめんね。」
「で、誰と戦うのか教えてくれる?」
マサキがすかさず聞いてくる。
「うん。あのね、あたし達人間は何者かに支配されてるかもしれないの。」
大体二時間くらいかな。あたしは知ったことを全部皆に話した。昨日マサキと外に居たとき急に声が聞こえてきて頭が割れるように痛くなったこと。意識を失ってから変な空間にいたこと。そこで聞いた声。その声に殺されそうだったこと。その理由が過去の姿を知りすぎたからだというと。その声の持ち主はあたし達を監視しているらしいこと。でもマサキ達5人の存在は知らなさそうだったこと。それを知らずにルカの名前を出してしまったこと。何とか出任せを言うような形でその空間から逃げ出したこと。その最後の最後に見た鳥はあまりに美しくて怖かった。あたしに起きたこととこの災害は関係がないとは思えないということ。なにも隠さずに全部話した。皆顔をしかめたり信じられないって顔になる。ルカか一番険しい顔をしてる気がする。そりゃそうなんだよね。唯一あたしが名前を出しちゃったから。5人の中で一番危険な状態ってことになるんだもん。申し訳ない本当に。
「ルカ~。ごめんね。名前出しちゃって。」
「それは絶対いいですよ。逃げるつもりもないし。」
ルカの言葉に頷きながら今度はモカがあたしに謝ってくる。
「私達が悪いのかも。さくらちゃんに色々教えちゃったし……私達が居なかったらずっと平和だったのかもしれないのに……」
「そんなことない!」
あたしちょっと大きな声を出しちゃう。
「そんなことないよ!だって……だって知りたいって思うことは人間として当然のことなんでしょ?! あたしは自分の意思で学びたかっただけなのにそれを止めさせるなんて、その方がおかしいことじゃないの?? みんなは悪くないよ!」
「悪くない。俺たち別に間違ってないよ。人類が支配されて好きなことを出来ない、その方が異常だぜ。」
マサキが低い声で言う。力強い目には怒りと闘志の炎が燃えてる。良かった。誰一人逃げようとせずに皆一緒に立ち向かおうとしてくれてる。そんなあたしの安堵の表情を見て取ったのかマサキが降って笑いながらあたしの頭を撫でる。
「俺たちは仲間だからな!これからみんなで解決法探そうな!」
「マサキぃ〜〜〜〜〜」
「何マサキ1人でかっこつけてんのよ。さくら、モカ。私達お互い罪悪感持つのはやめにしましょうよ。誰も悪くないわ。誰も逃げずに立ち向かいましょ。」
「ユメ……そうだよね!ありがとう!」
「ありがとうもお互い様よ! 喉乾いたわね。私紅茶でも入れるわ。」
「ごめんユメ。和食の後は緑茶に限る。」
チヒロがぼそっと的確なことを言う。ピリついてた場の雰囲気が柔らかくなってみんな楽な姿勢に切り替わった。
目頭が熱くなって涙が出そうになるのを必死で堪える。本当は泣きたくなるほど怖いんだけどみんなで立かうんだもん。恐怖の涙なんて要らない。
ユメは食器の後片付け、モカはお部屋の掃除、チヒロはおじちゃん達と一緒に畑作業。この部屋にはあたしとマサキとルカの3人だけになった。
「ルカはどう?災害の後調査してたけど分かったことあった?」
緑茶とデザートの甘味として出てきた寒天を食べながらマサキが聞いてる。全くの余談になるんだけどマサキの食センスかなりおかしい。おかしいというか極度の甘党なのよね。寒天ってサッパリしてるのが魅力だと思うんだけど薄味すぎるって言いながら蜂蜜を山のようにかけて食べるの。
「それが収穫ゼロ。マサキその寒天気持ち悪い。そんなの食べてると糖尿になるよ。」
「ふん。美味しけりゃなんでもいいんだよ。俺太らないし。ルカは少し太らないと不気味だぜ。」
「太らないんじゃなくて太れないんだ僕は。」
「可哀想なやつだな。はぁーぁ収穫ゼロか。」
「余計なお世話だよ。収穫どころか何も無かった。マサキなにか降ってきたって言ってたけどここら一体にそういう落下物何も無いんだよ。」
「んーまぁ俺も落ちてきてるのをはっきり見た訳じゃないしな。でも何も無いなんて変だよな。」
「仮に自然災害でも何かしらの爪痕が残るもんだから何も無いのは災害じゃない証拠だよ。」
「何者の仕業なんだ〜なんだと思う?」
「僕は非科学的なことは何も信用しないから神様とか悪魔とかって言われても納得できない。」
「それは俺も。思うんだけど俺らを監視できずにさくら達みんなを監視できてるってさ、人間じゃない普通に。国家レベルの組織か何かが有るんじゃない? 実はめちゃくちゃ進歩してるのをその組織よって隠されてるんじゃね?」
「まぁあるかもしれない。でも人間全体の思考まで支配するとか……。」
「只者じゃないよな。なぁさくら??」
ぼーっと聞いてたところをマサキに急に名前を呼ばれてびっくりしちゃう。
「は、はい!?」
「今度もしまたあの声に話しかけられたらさ、そんなことない方がいいけどもし話しかけられたら。俺の事を話してみて。でも人間じゃなくて宇宙人だって言ってみて。」
「えっえっマサキって宇宙人…!!!」
「いや違うぞ!違うけどそう言ってみて。どんな反応するか知りたいんだ。」
またあの声か……正直もう二度と聞きたくない。考えるだけでも怖い。けど逃げたくもないし多分またいつか聞くはず。その時はマサキを宇宙人にしてルカは何にしよかな。日本語の話せる犬だとでも嘘ついてみよかなぁ。ついでに私は200年生きてるとか言ってみようかな。次は何としてでもちょっとくらい向こうの情報掴まないとね。




