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閉路  作者: 一稀美
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出会い

とりあえず自己紹介でも。

ゆっくりとでも確実に近寄ってくるUFOから降りてきた人々。

ええぃ、もうこの際宇宙人と呼ばせてもらおう。

だって確かに宇宙…っていうか空から来た人々だもん、宇宙人で間違いないはず。

宇宙人グループの構成人数は5人だった。真ん中で先頭を歩く宇宙人男A。

その両サイド少し後ろに宇宙人女Aと宇宙人女Bがいて、そのまた後ろに宇宙人男Bと宇宙人男C。

男Aを中心に扇型を描くような綺麗な隊列で歩いてくる。

全員真っ黒な服を着ていた。あたしの見たことのない服。しわとか汚れ一つなくてピシってしてる。

何で作っているんだろ…あれは絶対毛糸でも麻でもないわ。高級相だけど絹でもなさそう…

近づいてくるにつれて彼らの表情まではっきり見えてきてあたしハッと息をのんだ。

真ん中の男。明らかなリーダー格の宇宙人男A。びっっっくりするくらいかっこいいの!!!

軽く180センチは超えてるであろう身長にすらっと伸びた長い手足。程よく筋肉のついた引き締まった身体。

すごく等身が良く見える小さな顔にはバランスよくパーツがついている。

すっきりした切れ長の瞳に高い鼻。薄い唇にシュッとした首筋。どこをとっても完璧なの!

言い換えたらパーフェクト。もっと言い換えたらあたしのドストライク・・・

ただどことなく眉をしかめてるの。

あっ宇宙人だもんね、知らない土地をニコニコしながら歩くわけないんだわ。

5人が私の目の前に来た。もう十分に言葉をかわせる距離。

あたしは思考回路が停止していながらも挨拶しなきゃって思ってた

「こんに・・・」

ちは。後、ちはって言うだけでちゃんとした言葉が出来上がるのに宇宙人男Aが上からあたしに声をかける。

「今何年?」

…は?え?何年?ざんねん?むねん?またらいねん?

唐突な質問に頭が完全に停止しちゃう。

「聞こえてる?何年なわけ?」

なんとか無理やり頭を働かしてあたし答える。

「3020年です…」

「え!!えぇ!!!」

いかにもひょろひょろで今にも倒れそうな宇宙人男Bがびっくりするくらい大きな声をだして驚くからあたしビクってしてますます考えられなくなる。

「るか。うるさい」

宇宙人男Aが言う。あ、宇宙人男Bは‘るか’っていう人なんだ…

それからこう続ける。

「今は3020年で間違いない?2020+1000で3020。間違いない?それとここは地球?」

どういうことだろう。今は間違いなく3020年。あたしが生まれたのが3005年。で、あたしが15歳だから今は3020年。うん間違ってない。

「はい。間違いなく3020年の地球です…」

ここまで言うと5人みんな一斉に頭を抱えたり眉間に皺を寄せたりこめかみを抑え始める。

ただでさえ倒れそうな、るかはもう80%くらい倒れているような気がする。

なんなのこの人たち。今何年とか宇宙人に関係あることなの??

あ、そもそも何しに来たんだろ…あたし達を従えに来たのか、友好関係築きに来たのか、探索に来たのか…

こんなことを考えてたらあたしの頭だんだんハッキリしてくる。

思考が戻ってきたから次は言葉にしてみる。

「あの…宇宙人さん。何星から何しにやってきたのですか?私たちは肉は沢山付いてますけど食用では無いので美味しくないはずです…」

ここまで言うと宇宙人さん達目をぱちくり。

ぱちくり。ぱちくり。少しの沈黙のあとみんなが一斉に吹き出した。宇宙人女Aなんてうっすら涙まで浮かべてる。なんなの?

十分すぎるくらい笑われたんだもん。あたしだんだんムッとしてくる。あたしの顔の変化に気付いた宇宙人男Aが咳払いひとつして顔を引きしめ…あたしの質問に答える。

「俺達も人間。だからもちろん人間を食べるなんて事はまちがってもしないから安心しな。」

あ…人間。でもUFOから来たから宇宙人なはずで…そっか宇宙人も人だもんね。人間っていう表記は間違いじゃないのね。

「宇宙人でもない。人間。にーんげん。火星でも木星でもなく地球出身の人間。ただ…」

ここで宇宙人男A一息呼吸をおいて

「ただ2020年に地球を旅立った人間の子孫」

は?あたしの頭また停止。1000年前の人間の子孫?

つまり。つまりあたし達の先祖の子孫?んーとえーっと

タイムスリップ?ってやつ?大昔ってそんなことできるの?

「タイムスリップじゃないよ〜もしタイムスリップなら俺達は2020年に地球を度だった人間。だろ?子孫だって。」

分からない。分からないけど怖い人達じゃなさそうだし立って話するのもなんだからって思って咄嗟に。

「え…っと。お茶にしません?」

ってすっとんきょな回答をしたもんだから宇宙人さん・・・じゃなくて人間さん達また笑い転げてしまい…

あたしはまたムスッとしながらなんとかお家の中に人間さん達を案内した。



ふぅ。ゆず茶をひと口すすりながらあたしほっと一息つく。

家の客間にきちにちに詰め込まれた人間さん達は皆、あたしが入れたゆず茶と家の中を不思議そうに眺め続けてる。

完全に落ち着きを取り戻したあたし。こんどは質問をやめて自己紹介をしてみる。

「あたしは畑中さくらです。15歳で好きな食べ物はお米です。」

あたしの言葉に人間さん達笑いを必死で堪えてるのが伝わる。

なんなのよもうこの人達。

「おれはマサキ。18歳。好きな食べ物は省略してもらうわ。」

へぇ~人間男Aさん。マサキさんって言うんだ。はぁい了解♡やっぱかっこいい。

「僕はルカです。18歳です。」

ルカさんはもう覚えてる。人間男Bさん。改めて見るとますます細い。生きてるのが信じられないくらい細い。

「チヒロです…18歳です…」

人間男Cさん。いかにも強そうな肉体とは逆に声が恐ろしく小さい。自信のなさがもろ声に出ちゃってますーって感じの人。

「はい!私はユメです!18歳です!」

これまたハッキリと喋ってくれるのが人間女Aさん。一言で言うなら美人。真っ黒な腰まである黒髪にメリハリのある身体付き。真っ白な肌には大きな二重の瞳に真っ赤な唇。うつくしい。

「わたしはぁモカでーす。18でぇ好きな食べ物は苺だよ♡」

人間女B。ザ・女の子。ふわっとした印象を全く裏切らない喋り方。18際には見えないようなあどけなさの残る笑顔には女であるあたしもドキッとするような。

とにもかくも。無事自己紹介が終了。たった2言でも人間性って分かるものだなってあたしシミジミ思い直しちゃった。

ここでゆず茶をもうひとくち。さて本題の質問に移らせてもらおう。

この間もマサキもルカもユメもモカも当たりをこっそりキョロキョロ見回してる。チヒロだけ。チヒロだけは正座して膝の上に置いた手をジッと見つめて明らかに緊張し続けてるのがわかる。

あたしはあたしで核心の質問に少し緊張しながら…

「改めて聞きます。人間なのは分かりましたけど1000年前からどうやって来たのですか?」

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