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閉路  作者: 一稀美
18/31

同じ

全くもう詰みまくっててお久しぶりの投稿になりました。思いついてるけど言葉を繋ぐのが難しいですねぇ。

R-1。ツボ浅いからがずっと笑ってます。芸人さんは凄いですね。

「はい、これ。この前の試験の結果。」

ルカがあたしに紙を手渡してくる。最近のあたし。生まれて初めて試験というものを体験したのである。

元来の試験というものがどういうものか分からないけど、あたしはこの返却される瞬間のドキドキ具合が大好き。なんか長年育ててきたときの果物が甘いかどうか確認するとき、緊張しながら噛むあの瞬間のドキドキ感と同じもの。なぁんて、モカに真剣に伝えてみたけど……どんな顔されたかは分かるよね。(どんな感じだったか作者目線で書かせてもらうと、都会の人が田舎者を必要以上にいじる。そんな感じ。そして作者自身も恐ろしいほどのドドド田舎に住んでるからさくらの気持ちは痛いほどわかる。)

「ん~大体70点くらいに収まってきてるな」

「ふふんっ!! (どやぁ!!)」

「……褒めてません。難易度もそんなに上げてないから。」

ちぇ。ルカはなかなか褒めてくれないから嫌いだぁ!

「まぁまぁこのポジティブな所がさくらの良いどころだぜ?それにルカが高スペックすぎるだけでこの問題は十分難易度高いから。」

マサキがすかさずフォロー。うへぇうへへマサキ優しいから好きぃ!

「さくら顔気持ち悪い。」

マサキがあたしを気持ち悪いって。気持ち悪いって……そんな……


まぁこのくだり何時ものことなんで。相変わらずショックを受けてるさくらは置いておくことにしましょう……


5人がこの地に降りたって3ヶ月くらい。この頃になるとみんなが律儀に教えてくれたお陰であたしの知識もなかなかの深さになってきていた。といってもきっと昔で言う一般的なレベルなんだと思うけど。

とりあえず今のあたしのレベルを紹介するね。まず学力面では高校2年生くらいらしい。2ヶ月でここまで成長したってことはあたしってもしかして天才??って気がしてるんだけど。そんなことはない。これ以上伸びる見込みは全くない。らしい。丁度膝の軟骨をみたらもう身長が伸びないって分かるのと同じで私の知識のキャパシティはこれにて限界だってルカがため息混じりに言ってきた。次に生活する上で学ぶことで言えば、まだまだ永遠と覚えていけそうな予感がする。つまり機械の名前とか使い方とかって言うのば飽きることなくずっと学べるの。

まぁこんな感じで至って平和で楽しい毎日をあたし達は送っていた。


今日もいつもと変わらない日だった。昨日と同じくらいの気温で同じように晴れ。チヒロが片手でクルミを割ってて家事を手伝ってくれているところまで同じ。でもあたしのテンションだけはいやに高かった。だって! この日をあたしはずっとずっと心待ちにしてたんだから! 今日は。この清々しい今日は。あたしの16歳の誕生日なのだ。

「ねぇぇ~!今日は何の日でしょうかぁ?♡♡」

「なにモカみたいな喋り方すんのよ。」

ユメの肩にまとわりつきながらあたしニタニタ笑いが止まらない。

「何の日? てかこの世界にも祝日ってあるのかしら。」

「たしかに気になるけど、まぁないきがする。学校もないからあっても意味ないじゃん。」

「よね。あ、でもお正月とかならありそう。それくらいはあってほしい」

「俺はやっぱバレンタインに憧れるなぁ~」

「チョコレート食べたいだけじゃない。残念ながらここカカオないね。ふふ」

はぁぁまた2人で脱線しちゃってるぅ~。もう~~。あたし自然とほっぺた膨れちゃう。大体今日は何の日でしょうかっていうのはお誕生日おめでとうのフリじゃん普通!!!


「さくら。誕生日おめでとう……だよね?」

「え??」

「あれ。ごめん! 違うかったかな!」

チヒロが身体明らかに顔を赤らめながら身体をもじもじさせ始める。ちょっと唐突に正解を思はぬ人に言ってもらえてあたしの思考回路も停止しちゃう。

「え……と。うんあたし今日16歳の誕生日なんだよね……あは」

あはは。言ったら言ったですごく恥ずかしくなってくる。

「やっぱり??そうだよね! 他の人はそんなことないのにさくらはここ最近カレンダーばっかみて二ヤけてたからそうなのかなって思ったんだよね。」

「わぁぁチヒロそんなことまで見ててくれたんだ~。感激~!へへへ!」

「そっかそっか~さくらおめでとう! てかさぁ誕生日ってそんな嬉しいもんなの?」

マサキが頭を掻きながらあたしに尋ねる。この言葉に同感って素振りで何人かが頷いたような気がした。

「そりゃそうだよ!! 特別な日だよ! 生んでくれてありがとう。生まれてくれてありがとうって感謝する日だもん!」

ここまで言ってあたし少し後悔した。マサキたちは計画的にできた子だから皆同じ誕生日になる訳。とりわけ誕生日が特別なものじゃなかったのかもしれないし、それに親に感謝する日なんて言ってもその親はもう此処にいないわけなんだし、やっぱり少し無神経な発言だったかな。

「んじゃぁさぁ、さくらと一緒に今日俺たちの誕生日も祝ってよ?」

「?? ちなみにマサキ達はいつだったの?」

「今日。」

「あ、もしかしていつか分からないから今日にするってこと?」

マサキが喉の奥をクックッて鳴らしながら笑う。モカがあたしを見ながら満面の笑みでハッキリという。

「ううん。私たちの誕生日も今日なんだよぉ!」

えーーそんなことってあるんだぁ!!!すごいすごいすごい!!

「ほんと!?すごいそれって! 運命みたい!」

運命みたいって感激したのがツボったらしく皆腹を抱えて笑い始める。

「もう~~笑わないで! 本当にすごいことなんだから~!」

あたしまでなんだか気恥ずかしくなってきちゃう。気を取り直したようにユメがコホンって一つ咳をして皆に指示を始める。

「じゃぁ今日は誕生日会をしましょう。私ケーキを焼くわ!モカはハーブティー作ってくれる?ルカはクラッカー作ってほしい。マサキとチヒロは部屋を片付けたりしてて。さくらちゃんはその辺でくつろいでて。あ、皆いつもより綺麗めの服に着替えてね!」

あたしと男性陣は急な展開にぽかんとするしかなかった。


お誕生日ってとっても大切な日だと思うけどこんな仰々しいものかしら?あたしの知ってる誕生日ってママが特別にいつもよりたくさんご飯をよそってくれるとかそんなくらいの日なんだけどなぁ。誕生日は特別だって断言しすぎたかしら?えっと綺麗めの服かぁ何着ようかなぁ。


呑気に浮かれてた。ここにいる誰もが。誕生日ということで浮かれていたのだ。

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