過去?
よく思うんですけど1話に何文字ぐらいなもんなんでしょうか。だいたい2700字とかになるんだけど私的には2000字くらいにしたいんですけどね〜。
「まぁりんごが消えても……さ。そりゃりんごが大大大好きマンにしてみればなくなったのってすごい不幸な話だけど……私達も好きだけどまぁ普通に好きってレベルじゃん?なくても生きていけるじゃん?」
「うん、有難いこと(?)にりんごのこと覚えてるのって僕たち6人だけだもんねぇ。」
「本来、りんご大大大好きマンさんも今じゃその記憶がないんだから苦しむこともないはずだから……ね。さくらちゃん元気出して!」
チヒロとモカが口々に慰めてくれる。慰められるとまた目頭が熱くなって来た。
「あ~~~。モカ~さくらまた余計に泣き出しちゃったじゃねーかよぉ」
「だってぇ~この話はさくらちゃんのせいって訳じゃないしぃ。どうしようもなかったことだもん~。」
「ごめんね~~~~~ありがとう皆~~ぐじゅじゅじゅ」
あ~~ぁ鼻水で顔がぐしゃぐしゃ。涙を拭いてくれてたマサキの服の袖、鼻水まみれになってる。申し訳ない。
そんな汚れのことなんかまったく気にしてないような感じでマサキが話をまとめ始める。
「多分あのりんごを俺たちが食べてなくても、さくらが夢の中から持ってきた時点てこの世界から消えたってことになるよな?」
「そうなるわね。さくらの話を聞く限りじゃぁ、さくらの夢の世界って過去だと思わない?」
「うん、俺もそう思う。現世のパラレルワールドかなとも思ったんだけどそれにしたらその世界を構成してる物が過去のものと同じすぎるよな。テレビとかバスとかスマホもあったらしいし。」
「逆に目新しいものは何もなかったぽいしね?」
「まぁさくらにしたら全部初めましてだったろうけど」
「それはそうよね」
「それに過去だと思う方が辻褄が合う。過去から持ってきたりんご。そのりんご一つがなくなったことによって、本来あるべきものとのバランスが崩れたとかじゃないかな。」
「バランスか……もしかしてもしかすると、あのりんごって誰かが食べてその後本来なら食べた人か畑に植える。その木が大きくなって将来沢山の実をつけて。それをまた誰かが植えてとかって運命を辿るべきだったのかもしれないわけね。」
「俺の考え的にはね。分かんないけど、今現在りんごがなくなってるってそういうことかなぁと思う。」
「あとは単純に持ってきちゃったら全部この世界から消えちゃうっていう決まりなのかも。」
「それもあり得る。考えたくない可能性だけど。そうだったとしたらこの世界が理性のある何者かによって支配されていることになるじゃん。」
「過去と現在、夢までも支配するなんて私達には太刀打ちできないわ」
「そういうこと。ここは単にさくらの夢がなぜが過去に繋がるって思いたい。たまたま持ってきたりんごが自然の成り行きで絶滅したって思いたい。」
マサキとモカの会話。もうお気づきかと思うけど冷静に真剣な話をする時は大体この2人の会話には誰も入っていかない。チヒロとモカも天才的な先祖の遺伝子を持つんだけど、人間という生き物は基本的に後天的に性質が決まるものなのだ。モカは心理学こそエキスパートであるけどそれ以外のことはサッパリ。宇宙船の中で美意識というものに目覚めてからは楽天的で可愛いもの綺麗なもののことで頭がいっぱい。方やチヒロ。言わずもがな。興味があることは食べ物くらい。あっでも、多分チヒロの親はチヒロを作る時(言葉悪いけど卵子と精子から作る試験管ベイビーである以上こうしか呼べないらしい)肉体面に特化した遺伝子ばっかりを選んだのだろう。だからこんなに筋肉隆々なんだろうね。つまり二人ともユメやマサキより基本的に賢くない。単にあの2人が頭が切れるだけかもしれなけど。あとルカ。この人は頭脳だけで言うならユメとマサキより圧倒的に何十倍も賢い。賢いなんてもんじゃないくらい賢いんだけど。それ以外の能力が壊滅的。不器用すぎるが故に上手くコミュニケーションが取れない。特に女の子を相手にしたらどう扱っていいのか分からないんだそうだ。これ、勉強ばっかりしてきた人の弊害というやつでしょうね。まぁそんなこんなで真剣な会話をする時は決まってマサキとユメの2人だけになるのだ。
「まぁさくら!」
「はいぃっ!!」
ぼーっと2人の話を聞き流してたあたし。急に髪の毛をくしゃくしゃってされながらマサキに話しかけられて素っ頓狂な声を出してしまう。
「これからはもし夢の中で違う世界に入っても何も掴んじゃダメ。」
「うん。」
「なんで消えたのかが分からないから、もし誰かの手でも掴んでしまうと起きたとき横に知らない人がいるかもしれない。」
「も、もしかするとその場合この世から人間が消えてるかもしれない……?」
「可能性はある。」
あたし想像するだけでも怖かった。考えたくなかった。
「まぁそんな恐れないで。見る分には大丈夫みたいだし。何かの影響てさくらにはESPが備わったんだと思う。見るとこは罪でもないしその能力がある人の特権だ。」
「いーえすぴー?」
「超能力ってこと」
超能力。憧れはあった。でも所詮憧れは憧れ。実際持ってるなんて言われても実感なんて全くわかなければ嬉しさもない。
「う~。分かった。もしまた夢見てもただ眺めるだけにする。どうせ足を踏み出そうとしたら夢から覚めちゃうんだもん。」
「うん。そうして。」
マサキ、ため息をつきながらあたしの髪を弄ってた指を止めてぼそっと一言。
「とはいえまぁ。消えたのがもっと大事なもんじゃなくてりんごでよかったよなぁ。」
皆その言葉に頷いたりしてたその時。ずっぅぅぅと黙ってたルカがキレた。
「なぁぁにを言ってるんですかぁぁ!!!」
そりゃ未来を変えてこの世界の一部を変化させたんだからあたしにも罪悪感とか申し訳なさもあった。でも皆に慰められて、今はもうほかのもっと重要なものをなくさなくて良かったった思っていたのだ。
「なんなんだみんなして!!! 一番大切なことを忘れているだろ!!」
「なにだよ、大事なことって」
マサキ思いっきりめんどくさそうな顔で聞く。
「りんごですよ??りんごと言えばニュートンの万有引力でしょ!!」
「……。」
「万有引力なくしてこの世のも物は語れません。その万有引力はっ!それは!りんごなくして語れないでしょう??」
「……はぁ。」
「これからぼくは!物理学について誰かと語る時真っ先にりんごの説明からしないといけないのかっ!そんなのって!そんなことって!」
ルカが一人で悶絶している。
「そんな!!アルベルト・アインシュタイン様に僕は死後どんな顔をしたらいいんだ!!」
話がどんどんあらぬ方向に向かっていく。こうなったルカをだれも止めることはできないのだ。
マサキがあしらうようにルカの熱意を跳ね返す。
「残念ながらここにはルカの好きな相対性理論とやらを語れる相手なんていないぜ?」
悲しみに打ちひしがれていたルカがピクっと動いて真顔になる。
「お言葉だけどマサキ。一般、もしくは特殊、相対性理論って呼んでくれないとちょっと…」
「………………。」
本日2回目になるんだけど。あれもこれも全部勉強ばっかりしすぎた弊害、ってやつなんだろうね。
皆この日のルカには触れる気にならなかった。
ルカはルカで1人畑にあたし達が食べたりんごの種を植えて熱心にお祈りをしてたのは言うまでもない。




