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閉路  作者: 一稀美
13/31

りんご

「えーっと……お騒がせしましたぁ。ごめんなさい。」

あたしお昼寝から冷めると同時に取り乱して泣いちゃって挙句の果てにはマサキの胸の中で泣き疲れて寝てしまうっていう失態をおかしてしまったのね。お恥ずかしい限り……。

とりあえず心配をかけてしまったマサキとルカに謝ってっと。こんなことをした以上説明をしなくちゃいけないから残りの3人も居間に呼ぶ。

お料理中だったユメはちょっと嫌そうに入ってきたけどあたし達の真剣な表情をみてスっと真面目な顔になる。

「どうかしたの?」

モカが心配そうに聞く。ちょっとねって感じでマサキが片眉を下げてからあたしの肩を叩く。

「どう?話せそう?」

「うん。あのね、大したことじゃないんだけど、いや凄いことなのかも知れないけど。あたし夢を見たの。」

「夢?怖い夢でも見た?」

ユメがママみたいに優しくでもジッとあたしを見つめながら言う。

「怖い夢……なのかもしれない。その夢にはビルとかスマホとかバスとかが出てきて。ここまでは単に過去の地球の夢を見たってことで終わらせれるんだけど。あのね、足を擦りむいてるの。」

あたしあぐらかいてた足をスっと前に出す。そこそこ派手に擦りむいた傷口は少しの血を固まらせながら出来たばかりの瘡蓋に変わっていた。

「夢でこけた。その時にできた傷が起きたら全く同じ場所に同じようにできてたの。もしかしたらたまたまかもしれないけどなんかそういう風には思えなくて……夢もあまりに鮮明に思い出したもんだからあたし怖くて。」

語尾がまた震え出すのを我慢して大きく息を吸い込む。皆が信じられないような表情を浮かべる。

「というかとは。さくらは過去か何かに行っちゃったってこと?」

一番最初に口を開いたのはチヒロだった。普段は気の弱そうに喋るけど今日はなんだか力強かった。

「うーん、わかんないけど単に夢を見ただけじゃなくて夢を体験した?って感じ」

うぇーーん、言葉にしにくい。

「さくらちゃんごめん……あたしが催眠術かけたりしたから」

「え、いや、モカのせいじゃないよ!あたしも同意したんだし!」

「そうそうモカだけの責任じゃない。けどさくらにこんなことが起きたのは俺たち5人の責任だ。」

まさきのセリフに5人全員が頷く。怖い気持ちもあるけど仲間がいて皆あたしの味方っていうのがなんだか嬉しかった。


「まぁという訳でだ」

6人皆がそれぞれ友情ごっこに参加してくれてあたしの精神もすっかり落ち着いた頃、マサキが話を締め始める。

「こんなことがまた起きないとも限らない。今はさくら一人で居間で寝てるけどちょっとそれは危険な気がする。誰かがそばにいないと悪夢から起きれないかもしれないから、さくらはこれから2人部屋に移動。異議なし?」

あたし、その他4人頷く。マサキも1回頷いて

「じゃぁどうしようか。俺が一人部屋だから〜俺の部屋来るか?」

ちょっと茶化した顔。明らかに冗談って顔に女性陣クスクス笑ってたその時。

ドンッ!!!!!

いきなりルカが机を叩いて声を張り上げる。

「それは無いだろ!!!男女だぞ!!!冗談じゃない!」

ルカったら何をそんなに本気に………しかもマサキのこと睨みつけちゃって。

「いや……冗談なんだけどさ。ごめん。ちょっと空気和ませたくて」

ルカちょっとムッとした顔をしながら軽くそっぽを向く。あたし達はチラチラ目配せをしながら話を再開させる。

「どうしようか女性陣。誰が居間で寝てくれる?」

「えっと私が居間で寝ようかな……ちょっと怖いけど」

「いいよ私が居間に行くよ。居心地悪いけど」

2人とも若干不満を漏らしてるからあたしなんだかお邪魔しにくい。とりあえず苦肉の策を出してみた。

「じゃぁすっごく狭くなるけど3人で一部屋使わない?川の字になって寝ることになるけど、もし良ければ……」

「そうしよ!!!」「そうしましょう!!!」

2人が同時に返事をしたからあたし達3人1室で寝ることになった。この後初めて分かったんだけどモカは寝相が悪い。めちゃくちゃに悪い。あたし悪夢に悩む前にまずモカの寝相の悪さに悩むことになるってことはこの時はまだ知らない。


その日の晩も次の日も悪夢は見なかった。もしかしたら本当に単なる夢だったのかなって思ってたその日。日にちにしてみれば3日ぶりにあたしは悪夢を見た。


目を開けると建物の中だった。前回と同様また立っていた。怖くて足がすくんでしまう!!!なんてことは起こらなかったけどあたしはやっぱり動けなかった。自分の目を疑ったから。どこを見渡しても食べ物!食べ物!食べ物!煌びやかで眩しい店内に袋詰めされた野菜、果物!その棚が永遠と続いてる!なにこれすごい!!!

『♪やさいやさいやさい〜やさいをたべ〜ると』

店内はガチャガチャうるさい音楽が流れているし!食べたことある野菜。無い野菜。見たことも無い野菜。うわぁぁすごい感動しちゃう〜〜! 目を輝かせながら1つずつ陳列されてる野菜達を眺めてると。

コロコロコロコロコロ

「あっリンゴだ。」

あたしの元にリンゴが転がってくる。だれも気づいてないのか拾おうとしない。もう少しであたしの足元。しゃがみこんでリンゴを掴んだその瞬間世界が崩れた。


パチリ。目を開ける。うっすら汗ばんでる。

あ。悪夢。

今回は全部覚えてる。少し緊張しながら固く握った手に目をやる。

あたしの両手はひとつの赤々としたリンゴを握りしめていた。

13話目です。んー難しいお話を作るのって〜〜〜!テレパスを使いたかったんだけどテレパスって感情を読む人みたいな感じなんですねぇ過去を見れるのもテレパスだと思ってたら違うくて焦りました。そういう人はなんて呼ぶんでしょうか。

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