アゴニストとアンタゴニスト
突然の専門用語に直面したとき一般人が取る行動は2つある
1つは「知ったか」あえて知っていることを装うことで自らの自尊心を守る
2つ目は「質問」なにそれー?である。無知の知を鑑みれば妥当な行動だ
そして……俺が取った行動は……
「じゃあアンタゴニストもいるってーのか?」
1.5つ目であった
「驚いたわね、アゴニストとアンタゴニストを知ってるの?」
「一応知識としては知ってるんだがあってるかどうか……」
「そうね一応伝えておかないといけないわね。あなたたちは異世界人なんだから」
………………
彼女の言葉が俺の心に深く響いた……やはり………ここは異世界なのだろうか……異世界人……
だとしたら様々な疑問が浮かび上がってくる。
なぜ彼女たちと意思の疎通が出来るのかとかなぜ俺はこの世界にトラックと共に来たのかとかだ
いろいろ考えはあるけれどどれも説得力のあるものはない
うーん
………………
「………と…………っと………ちょっと!あんたなにぼーっとしてるのよ⁉︎」
どうやら考え事に集中し過ぎて彼女を放ったらかしにしていたようだ
「ああごめん、考え事をしていたんだ………それから俺の名前はあんたじゃなくてマコトだよ。」
「あらそう…じゃああたしも改めて自己紹介をするわけ……アルトリアよ。
アルトリアはそう言いフンッと胸を張った
………なかなかだな…………
「私はリリーだよマコト。」
色々小さいリリーが付け足した
「そうそうそれでアゴニストとアンタゴニストの 説明よね。まぁ簡単に説明するとすごい能力を持った人間のことよ。
どう?分かったかしら?」
「あのーーアルトリアさん、すごくざっくりし過ぎてよく分からなかったですね。」
「もうアルトリア……そんな説明じゃ分かるものも分からないよ……いい加減直してよ。」
「うぐっ……」
どうやらアルトリアはかなり単細胞らしい
「じゃあ私が説明するよ……
この2つの言葉は異世界から聖遺物と共に現れその身に特殊な能力を宿した者のことを指すんだ。
彼らの持つ聖遺物の形は様々だがどれも所有者にふさわしい力を持っている。
アゴニストとアンタゴニストの違いはただ一つ、帝国に所属しているかどうかだよ。
元々はアゴニストだけで彼らはあまりにも強力な力を持つから何処かの国が囲い込まないよう世界の国々で協定を結んだんだ。
でも帝国がここ数年でそれを破りアゴニストを囲い始め帝国に所属するアゴニストをアンタゴニストと称し始めたんだ。
帝国はその軍事力で周囲の国々に侵攻を開始した。
つまり今では帝国に所属していないアゴニストと所属するアンタゴニストがいるわけ。」
長い説明を終えてリリーはふぅーと息を吐いていた。
帝国という新しい言葉が出て来たことで若干きな臭くなって来たがこの二つの言葉は覚えておいた方がいいだろう。




