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椎香ちゃんへ、中等部へ入学しました

春になり、桜の季節がやってきました。

どうも、知能派イケメン担当の真白です。


とうとう入学の時期がやってきたんだけど、四聖獣中等部の寮へ来たら重大な事実を知ってしまった!

それは…、何とテレビがない!!

パソコンがない!!

漫画もない!!


「どうしよう…、今年からキュルプリが見れないよお母様~!」


「し、失念していたわ…!!今すぐにテレビの手配を!」


だけど、寮の管理人さんは首を横に振る。


「校則で禁止されております」


深夜アニメも見れないの!?


エロゲもないのにどうやってヌくの!?オカズは!?


二次元の女の人じゃ勃たないから!椎香ちゃん以外!


いや、待って!そもそも男子校だから男しか居なかった!


「お母様、オカズがありません!!」


僕が顔を蒼くして訴えればお母様は顔を覆ってさめざめと泣いてしまった…。


「可哀想な真白ちゃん、せめて高菜の漬物を送るから…。白ご飯だけで食べちゃ駄目よ?」


「お母様、この寮は白ご飯だけなんですか?」


「貴方は減らないわ、私が守るもの…」


「僕に食べる資格なんてないよ…」


お母様の手を取って見つめ合う。

天然なお母様だけど、こうしたアニメのやり取りが出来るのは生前も現在もお母様だけ!


「寮食は普通にでますから!!そして城虎坊ちゃまは話題を選んで!!」


するとお母様は首を傾げてしまう。


「ご飯の心配が何故駄目なの?」


「ほら、ややこしくなったでしょう!?」


寮の管理人さんは頭を抱えてしまった。


こういう所がお母様のいい所なんだけどなぁ。

可愛いよね、天然って!


「全くわかりませんって顔は止めてもらえません!?」


「あ、はい…」


「とりあえず、規則として寮への送り迎えだけで入学式への参加も禁止されておりますので奥様はお帰り下さい」


「えぇ、今夜は暇だからもうちょっとだけいいじゃない?」


そういえばチェックしてるアニメはないんだっけ?


「お母様、積みゲーを消化しなくていいんですか?」


「あらやだ、帰らなくっちゃ」


思いだしたお母様は慌てて手を振って帰りの支度を始める。


「真白ちゃーん、明日は暇だからお泊りに来るから~」


「はー「来るな、校則を守れ!!」」


親が泊まっちゃいけないなんて、寮生活って窮屈なんだなぁ。


「城虎家は親子離れが必要なようです…」


「えぇ、なんで?」


小さくなるお母様に手を振り続けていると、一緒に手を振っていた寮の管理人さんがしかめっ面をしていた。


顔に小じわが出来るぞ~って男の人だから別にいいか。


「暇だから泊まりに来るご家庭なんて貴方の家くらいですよ。遊ぶ感覚で誘いません」


僕は思わず瞬きをしてしまった。


「…はぁ。他のご家庭と違ってお坊ちゃまらしくはございませんが気を使わなくていいから楽です」


「人との会話って気を使うものなの?」


きょとん、としてしまう。

気を使うのって会社くらいだよね。

学校でも必要だっけ?


「学校だろうが社会だろうが空気を読めない人間は外されます」


そう言った寮の管理人さんの顔には何処か影があった。


「理解してくれる人が居たらそれでいいじゃん」


「それだけじゃ社会は回らないんですよ。大人になればわかります」


生前の僕は三十路を超えたアラサー男子。


だけど、考えて話したことなんてなかった。


いつでも周りの皆は仲良くしてくれたし。


確かに僕を嫌ってる人は居たけど、全員に好かれるって無理でしょ。


「嫌われるのってそんなに怖い?」


首を傾げて聞けば、管理人さんは自傷気味に笑う。


「僕は貴方ほど強くないんですよ」


その笑顔を見て、椎香ちゃんを思い出した。


そして管理人さんは…


「不思議ですね、貴方って人は。簡単に人の懐に入れるから羨ましいです」


そう言って寂しそうに遠くを見た。


初めて椎香ちゃんと出会った時、同じ台詞を言ってた。


そういえば、あの時僕は何て返したんだっけ?


「管理人さんもすぐに僕と仲良くなれたじゃん!そんなに変わらないよ!」


そうだ、確かこれだ!!


思い出して笑いながら見上げる。


そうすると、管理人さんは屈託なさそうな笑顔で笑った。


「そうですかねぇ…?」


「うん、そうだって!」


「そういえば、自分の名前をまだ言ってなかったですね。自分は暁月と言います」


「これから三年間お世話になります、暁月さん!」


「はい、こちらこそよろしくお願いします!」


こうして、僕は入学する前の入寮日の友達が出来た。


大人で爽やかな好青年だ。


そういえば、何か忘れているような…?


「あー!!!」


思い出して大きな声を出すと、暁月さんが慌てて立ち上がる。


「ど、どうしました?何か忘れ物でも?」


「知的派設定を忘れてたー!!」


その後、暁月さんの反応は酷く冷たかったのを覚えている。

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