『ユメオチじゃなかったよ……』
エタってましたが、これからぼちぼち投稿します。
リアルの事情もあるので投稿は遅れるでしょうけど、それでもよければ読んでって下さいな
「……」
目が覚める。目覚めた直後なのに意識がはっきりとしている。フルーガとの会話の記憶が鮮明に残っているし、夢ではないのだろう。夢オチも期待できない……。
身体を起こして、周囲を確認する。そこは片付けられた部屋だった。窓から光が差し込んでいる。棚や箪笥のような収納も見受けられて、寝かされていたベッドからは、知らない誰かの匂いがする。
ひとまず、ベッドから降りてみた。うん、多少の倦怠感はあるけど、問題なく動かせる。痛みもないし、大きなケガはしてないみたい。ちょうど鏡があったので姿を映してみる。姿もフルーガに見せられた通りだ。着ている服はパジャマになっているけれど。
うーん、部屋を勝手に探るのは無遠慮だし、窓から外を見てみようかな。
「ここは……」
日の光に目を細めつつ外の様子を見た。目に飛び込んできたのは、広い市街地だった。少し遠くに大きなドーム状の建物があって、それを中心に市街地が広がっている。建物は私の時代の建物とは別物に見える。何というか、数世代退化したというか、中世の建物染みていると言うか。ただ、所々知ってるような形状の建物も見えた。
「そっか……本当に未来の世界なんだ……」
どうやら、フルーガの言っていたことは本当らしい。ここは、はるか未来の世界。異界と化した私たちの世界だ。
なら、私は本当に魔王を打倒する勇者なのだろう。うん、死ねと? こちとら一般人なんだぞ?
「はぁ……」
ガチャ。
そんなこと考えてたら気分が重くなってきて、ため息をつくと同時。背後で音がした。反射的に振り向く。そこには……
「あ、気が付いたんだね。よかった……」
赤い髪の女性がほっとした表情で立っていた。
* * * * * * * * * * * *
「じゃあ、自己紹介するね。私はニア、ニア•フレアよ」
場所は変わってリビング。ご飯をご馳走になって、今は机を挟んで向かい合っている。ニア、それが彼女の名前らしい。どことなく大人っぽい雰囲気で、私よりも少し年上のような気がする。胸も大きいし。
「えっと……私は白雲海七。歳は15。助けてくれてどうもありがとう御座います」
「シラクモ•ミナ、ね。歳も離れてないから、敬語はなしでいいよ」
そう言ってニアが笑う。なにか名前の部分に違和感がある気がするけどそこは気にしないことにした。年が離れてないって言うのに少し驚いたけど、それより、それでその胸って大分凄いよ……。ちなみに、この身体、胸の大きさは元の私と変わらない。つまるところ、少し膨らみがあるぐらいのいわるゆちっぱいである。これがフルーガの趣味か……。
「それより、どうしてあんな所にいたの? 海に浮いてるとか、中々珍しいよ?」
「あー……えっとね……」
さて、ここで問題発生。果たして話を信じて貰えるのか。遠い過去から来ましたー、なんて信じて貰える気がしない。だって、私がそんなこと言われたら信じないからね! いや、どんな与太話だよって。
「あ、言いにくいことなら言わなくてもいいよ? 無理に聞く気はないし」
「あ、いや、話す。話すよ」
ちょっと無用心すぎないだろうか。フルーガの話では今は魔王と戦っている状況なのだろうに、敵のスパイとか考えないのかな。まあ、溺れてるスパイとか間抜けすぎるけども。
「私は───」
そうして、私は今までの経緯をニアに話した。私が元々遠い過去にいた事、死んでしまって転生させられた事。そう言ったことを話した。ものの数分で私の身の上話は終わった。……あれ? 私話すこと少なくない? 死んだことを別段悲しいとも悔しいとも思ってないからかな。
「大体こんな感じかな。信じて貰えるかは、わからないけど……」
「ううん、信じるよ。ついにこの街にも神の使徒が来たってことだしね」
「……?」
「さ、そうとわかればギルドに向かいましょう!」
なにか変な言葉を聞いた気がするけど、それを聞くより先にニアが立ち上がる。
「ギルド?」
「そ、ギルド。そこに行けば確証も得られるし、街の皆にも歓迎されると思うよ」
うーん、なんだかよくわからないけど今はニアの言うことに従うのが一番だよね。
「わかった。でもその前に私の服ってあるかな? これ、ニアのだろうしさすがにパジャマで外をうろつくわけにもいかないから」
「あ、ちょっと待ってて。もうそろそろ乾いてると思うから」
どうやら洗濯もしてくれたらしく、洗剤の香りがするそれに袖を通して街に出たのだった。
駄作ですが、よければ評価やブクマお待ちしてます