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異世界人生はハードモード! パラメータ?最弱ですが?  作者: 翼の生えてない猫
第一章 転生ものって、なんであんなに上手くいくんだろうね? 絶対嘘だよ……
4/6

『呼ばれた理由』

連日の投稿になりまする。どんどん書いていきたい(願望)


 気づけば、何も無い白い空間に居た。まだ何も描かれていないキャンバスのような、そんな白一色の空間。問題はなぜ私はここに居るのかだけど……


「やあやあ、よかった。間に合ったみたいだね」


「……誰?」


 振り向くと、長身の男が居た。何というか、残念な感じである。にじみ出るチキンハートというか、何かと付けて苦労してそうではあるが。


「よくぞ聞いてくれた。私は創造神フルーガ。キミを蘇らせた、言わばキミの親だとも。いやはや、この状況について説明ができなかったから、間に合ってよかったよ」


「創造神フルーガ……?」


 どこかで聞いたことがあるような……。

 しばし記憶の中を漁り、そして答えにたどり着く。そうだ、記憶が完全に途切れる前に、そんな名前を聞いた気がする。


「私の記憶が正しければ、適当にギフトとやらを持たせた人物がそんな名前だったわね……?」


 その言葉にビクリと反応するフルーガ。何とも分かりやすい反応である。


「な、ナンノコトダカ?」


「分かりやすいね、その反応。一体なんでこんな物を持たせたのか、説明してもらおうか」


「い、いやー……それを話すにはちょっと前置きが必要でね? 順序立てて話そうじゃないか」


 そう言って、フルーガが指を鳴らすと小さな鏡が目の前に現れる。


「まずは自らの状態の確認だ。覗いてみるといい」


 状態? と首を捻りながら鏡を覗き込む。そこに写り、私を見返してくるのは見知らぬ美少女だ。白く長い髪に、碧眼。更には中性的な顔立ちである。どこからどう見てもマンガやアニメに登場するような容姿だ。


「誰……?」


「もちろん、君自身だよ?」


 本日二度目の私の呟きに、フルーガはさも当然と言うように答える。


「は?」


「私は世界を管轄する創造神。キミは私が創った体に移り変わったのさ。世界を救うために、ね」


 混乱する私をよそに、フルーガは尚も続ける。


「あの世界ではね、人類はかつて繁栄を極め、栄華を誇っていたのさ。……奴らが現れるまではね」


 私の前にあった鏡がくるくると回転しながら遠ざかり、今度は風景を映し出した。


「ある日、とある湖が一夜にして突然黒く染まった。異変に気づいた人々はその原因を探ろうとしたけれど……」


 鏡の中の風景。黒く染まった湖から、何かが這い出てくるのが見える。それは巨大な牙をもち、四足歩行する怪物だった。


「この通り、怪物が現れた。人々はこれを打ち倒したものの、出現はこれだけじゃなかったのさ。増え続ける怪物に、人々は防衛ラインをしくが、これも数日後には退げざるを得なかった

。そしてある日、」


 今度は黒い湖から何かが浮き出て来ている。地面を割り、尚も出現するそれは巨大な建物のようだ。けれど、その形状はまるで……


「そう、まさしく城だとも。絵に描いたかのような、禍々しい魔王の城さ」


「魔王?」


「そうさ。キミたちを転生させた理由はアレが原因でね。でも、ご覧。まだこのお話は終わってない」


 鏡の中では魔王の城が宙に浮いていて、さながらラ○ュタのようだ。

 しかし、驚くべきはそのあとだ。魔王の城が出現した時に割れた地面、そこから水が噴き出し始めたのだ。


「水……? 水脈でも割ったの?」


「いいや、違う。あれは世界に元々あった水ではなく、あの魔城があった異世界のものだ。本来ならばあるはずもない水が噴き出し、世界はたちまち水没した。もっとも、魔王が起こした地殻変動によって世界の地形は崩壊、新たな大陸が形成されたのだけれどね」


 が、私の思考はそれどころではなかった。鏡に写された光景を食い入るように見つめる。

 飲まれていくビルや、家。それは見たことがある景色で。


「……まって、この世界はまさか……?」


 私のその疑問にフルーガは首肯した。


「そう、キミがいた世界だ。正しく言えば、キミが居た世界のはるか未来かな」


「──っ!?」


 驚愕、そんな言葉では生ぬるい衝撃が頭を殴りつける。


「けれど期待しない方がいい。あの世界はもはや異世界だ。魔王のいた世界からやってきた人々、崩壊した世界をなんとか生き延びた人々が手を取り合い、今魔王の軍勢と戦っているのさ」


 殴りつけられたような衝撃で脳が揺れ、フルーガの言うことが理解できない。脳が理解を拒んでいる。言葉が出ない。


「銃などの利器は、あまりに多い魔王の軍勢相手には無力。異世界から持ち込まれた魔法が取って代わって、主戦力となった。幸いにして、魔法の源である魔力を人々は豊富に持っていた。使い方さえ分かれば、魔王の軍勢と拮抗するのは容易かった」


 そこでフルーガは一拍おいてから、続ける。


「そして、戦線が張られてからはや二百年。戦線は再び魔王軍に傾きつつある。が、それはよくない。私は人々に負けて欲しくないからね」


 異世界のものにこの星をくれてやるのは御免だ、とフルーガは付け加えた。


「創造神として、この星を魔王の手に渡してなるものか。そのために、キミたちを呼んだのさ」


「私、たちを……?」


「ああ、持てる力を使ってキミたちに新たな器を創り上げ、力を持たせて勇者としたのさ」


 脳がやっと情報を処理し始めた。何とか状況を理解して、ため息をついた。


「新たな器、勇者、ね……パラメータとかは強く設定されてるの?」


「もちろんだとも! キミたちには活躍してもらわなければならない。よって、創ったのはイケメンや美少女さ! パラメータも元から滅茶苦茶強くなってるとも。創った器に魂を入れるために、わざわざそのためだけの液体も創ったのだからね!」


 そうか、あの時溺れた風に感じたのは、それが原因だったのか。いや、それは今はいい。それよりも、問題は……


「その滅茶苦茶なパラメータでも、使いこなせない剣ってなに……」


 遠心力とか使ってかろうじて持ち上げられたけど、ほとんど扱えなかったぞ、あの剣。

 その言葉に再びビクリと反応するフルーガ。何か、隠しているようだ。今の言葉に反応したとなると、剣のこと? いや、それ以前に私のパラメータがどうなってるか知りたい。


「ねぇ、私のパラメータってどうなってるの?」


「き、きき、キミのパラメータ? そ、それはだね……そのー……」


「まさか、弱いなんて言わないよね?」


「…………」


 目をそらして、汗をダラダラと流すフルーガ。ちょっとまて。


「い、いやー……あはははは……顔というか容姿にこだわりすぎて、パラメータまでいじる余裕がなくって……」


「はぁっ!?」


 驚愕の事実。


「そ、その代わり容姿は完璧な美少女だから! うん、完全に僕の趣味に合った顔と身体だとも! それにあの剣は他の勇者たちに与えたギフトの中でも最強だしね!」


「そう言う問題じゃないよねぇ!? 絶対使いこなせないじゃん!! って言うかそれ聞いて、私もう一回死んだ気がする! 大したパラメータもいのに、崖から落っこちたよ!?」


 そしてお前の趣味はどうでもいい!


「ああ、それなら心配には及ばない。だって生きてるからね」


 そう言って、フルーガが指をさすと鏡の景色が変わって崖から落ちる私の姿が映し出された。

 右手の剣から真っ逆さまに落ちている。そして、右手の剣が地面に突き刺さり……その瞬間に剣が光の粒子となって消えた。

 するとどうなるか。遠心力も加わっていたために、外側に慣性が働いていた。つまり、今度は横方向の力が強くなり、勢いよく吹っ飛んでいく。気を失っているのためか、ぐったりとしている私の体。そしてそのまま、海へダイブした。派手な水柱が上がる。

 …………なるほど。


「いや、溺死しちゃいますけど!?」


「大丈夫さ、すぐに通りかかった船に救助されたからね。ああ、その剣だけど、キミのもう一つのギフトの影響で質量も大きさも無視してしまうことができるよ。無論、他の所持物とかもね……っと」


 そう言ったフルーガの体が薄くなっている。え、何? 霊体化?


「そろそろ、時間のようだね。キミの健闘を祈るよ。ああ、そうそう。一応、文明の一端は残っているから、魔王を倒せば、元通りとはいかなくても復興は可能だと思うよ」


「え、ちょっ!? よっわい私に健闘ってどうしろと!? って言うか、倒すとか簡単に言いやがりますねぇ!?」


「大丈夫、何とかなるさ!」


 大変イイエガオである。実にムカつく、憎たらしいイイエガオだった。

 

「ふざけるなぁぁぁぁぁぁ!!」


 消えていくフルーガに向かって放った怒号は、虚しく響き渡るだけだった。


 ……。

 …………。

 ………………えっ、本気?


ブクマや評価してもらえると、とーってもありがたいのです!

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