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未来からの罠

2017年5月18日11:30


会社の定例会議を飛行機の中のノートパソコンで簡単に済ました。


いろいろ契約を詰めなければならないが、今はそれどころではない。

ヘッドハンティングした元製薬会社の役員、田所さんに

期待しているから今回は君に任すと丸投げし、

慎也を殺害した犯人捜しを続けた。


三年前に起こったある事件で貸しがあった公安の知り合いに

ニューオーリンズ行きの乗客リストを

今日から順次送ってほしいと頼んだ。


10時間以上あるフライトの中で徐々に

慎也が関わった事業の内容が届けられてきた。

大まかには前回経験した一年間と過去に戻ってからの新しい一年間はそこまで違うものではなかった。主要な事業はほぼいっしょだった。

前回と全く違うのは、慎也が買収した三つの会社だ。

お菓子の地方企業・富山製菓、高山警備、マルトグループ。


マルトスーパーは全国チェーンの結構な大手、何か大きなことを計画してたのかも知れないな。地方製菓は全国販売を視野に入れてのことだろう。この高山警備というのが何だろう。

個人的な警備を強化したかったのか、それとも警察とのコネ作りのためなのか。

目的はわからない。だが、この会社にはセキュリティー専門家や金庫専門の職業が存在している。つまり、金庫を開ける技術を持った人間がいるということだ。


買収後に150名ほどリストラされている。

逆恨み的な犯行の可能性もあるか。。。

実際は倒産しかけていたから、むしろ他のたくさんの人を救ったわけなんだが。


リストラされた者の詳細を頼むとしばらくして送られてきた。

リストの中には、金庫担当が2名、セキュリティ専門家は3名。

この中の3名は他の警備会社にもう就職しており、

犯行の時間も働いていたということだった。

金庫専門とセキュリティー専門が1名ずつ。


この金庫担当、結構怪しい。。。

名前は加島修(25歳)

会社の評価によると、腕は良かったが、勤務態度が悪く社内の評価が低かったせいで

今回のリストラの対象になったという。


まず、この男の写真や現在居所などを調べるように津田に頼み、

三年前のある事件で知り合いになったエルマというハッカーに後に送る番号の

携帯の傍受や位置特定などを依頼した。

彼女のハッキング技術なら犯人にばれることはないからだ。

こういう決断一つ一つが俺の命を奪う可能性があるというのを

常に忘れないよう意識した。


そして、ある闇の仲介屋に連絡し里中組とコンタクトを取ってある人物の誘拐の依頼をしてほしいと頼んだ。急な仕事で危険だが断れない金額で折らせた。

中里組に依頼する時は必ず、依頼人であるセス・アダムスの名刺を渡すように言った。


津田には、すぐに1億の現金とセス・アダムスの名刺を指定のコインロッカーに預けるよう言った。


加島修という男の住所や電話番号と言った個人情報が手に入った。

仲介屋の男に加島の情報を送った。

そして、エルマに彼の番号を送って現在地を特定させようとしたが、

加島の携帯からの電波はないというものだった。


彼が犯人である可能性が高くなった。

警戒していてもう逃亡しているかも知れないが、

他にもう一つ可能性がある。

俺が加島の捕獲に失敗し、過去に戻ってきたということが考えられる。

加島が携帯を持っていた時の中里組の襲撃が失敗しているということだ。

だが、この可能性の方が俺が望むものなのだ。


時計を取り戻すために俺が用意した計画は、

加島の携帯のGPSで居場所を監視し、

彼のアパートまたは滞在先など、一定の間加島が一人になり、かつ待ち伏せし易い所で加島を捕獲するというものだった。

だが、彼が時計を所持していた場合、そう簡単にはいかない。

むしろ、その襲撃を餌に確実に犯人を捕まえられる状況に誘導する方がいい。


中里組の連中がしくじった場合は、

加島は雇われた中里組の連中から依頼者の情報を引き出すだろう。

そして、そのあと何回か試せば携帯電話で居場所を特定されていたことにも気づくはず。

他人の携帯から位置情報を簡単に手に入れられる人物が狙ってきているということから、

加島は焦って早急に手を打ってくるだろう。


夕方頃、公安の友人から乗客リストが届いた。

すると中に加島修の名前があった。

なんと加島はこの飛行機に乗っているというものだった。


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