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秩序の魔王の順応性  作者: ARS
強くなるまでに
9/44

全てを…

 ドオッ!


 嵐にも似たものが起きる。

 魔力の弾丸と魔力のプラズマがぶつかりクレーターにも似た窪みが出来る。

 そして、一匹また一匹と斬って相殺して斬って相殺してを繰り返し続ける。

 そうした、攻防を繰り広げているのは、一人の少年、斎藤 優希と無数の狼達である。


「下位は終了。」


 そう言って、最後の下位の狼を斬る。

 そして、彼は走り出し無数に放たれる魔力の弾丸を避けながら進む。

 好機と捉えた中位の狼が飛びかかってくるが俺は冷静に魔力の弾丸に当たるようにいなして屠る。

 それを見て、上位の狼達はダメだと理解して魔力を自らの強化につぎ込む。

 少し前の優希だったら、魔力の流れを一切見ることも感じることもできなかった。

 直後、優希の目には大量の予測線が映る。

 優希は立ち止まり魔力の放出を止める。

 そして、狼達が飛びかかってくる瞬間に魔力を爆発させる。


「中位はこれで終わり、上位がくる。」


 そう呟き、優希は一歩踏み出す。

 直後、その場所に大量の上位の狼達が飛びかかってきた。

 しかし、狼達は獲物がいないことに一瞬戸惑い隙を見せる。

 その隙を待ってましたと言わんばかりに優希は剣を振るう。

 飛びかかってきたのは三体、そのうち二体は始末できたがもう一体は浅い傷が付いただけで距離を取られた。

 あと、残り上位が三体、リーダー一体である。


 ************


 やっと、ここまできた。

 最初は勝てないと思っていたが、走馬灯らしきもののあたりから力が湧いてくるな。

 ここまできたら、勝たなくちゃいけない!

 また、再び楽しい日常を送るためにも…。

 更に俺の中から力が湧いてくる。

 一匹が飛びかかってくる。

 しかし、今の俺には無謀もいいところ無謀だ。

 それは先程、傷付けた狼であり少し動きが鈍っていた。

 それに、もう二匹と比べたら圧倒的に弱い!

 一瞬で切り裂く。

 残って狼達は警戒を緩めない。

 たった一匹を除いては…。

 リーダーの個体はただ、ゆっくりとただずんでいるだけだった。

 まるで、俺なんか眼中にないと表現するかのように…。

 確かに最初は畏怖を抱いていたが冷静になって思ったのだろう。


『こいつは自分を狩ることができる相手では無い』


 と…。

 今はリーダーについては放っておこう。

 しかし、残った『相手(上位二体の個体)』は強いな…。


 ーーーーーーーーーー

 名前

 種族:魔狼LV98258

 レベル:168432

 HP:1859367/1859367

 MP:842578/842578

 筋力:1998752

 防:1743790

 速:?

 体力:2648398

 魔力:478263

 魔法防:368578

 体技:1876556

 器用さ:983519

 運:100


 スキル

 鑑定LV9

 魔力操作LV34

 魔力波LV28

 強化魔法LV19

 限界突破LV4


 称号

 天災の左腕

 ーーーーーーーーーー

 ーーーーーーーーーー

 名前

 種族:魔狼LV97319

 レベル:179357

 HP:1867342/1867342

 MP:764325/764325

 筋力:2000000

 防:1743790

 速:?

 体力:274983

 魔力:463192

 魔法防:356897

 体技:1953218

 器用さ:876382

 運:0


 スキル

 以心伝心LV15

 縮地LV26

 身体能力強化LV46

 魔力操作LV18

 魔力波LV14

 強化魔法LV19

 限界突破LV5


 称号

 天災の右腕

 ーーーーーーーーーー


 普通の戦っていたら勝てない。

 今までの上位とは格が少し違う。

「けど、負ける気なんてさらさら無い!」

 俺は踏み込み、『相手』に斬りつける。

『相手』わざわざギリギリのタイミングで避けカウンターを仕掛けてくる。

 俺は一歩後ろに下がり魔力を放出する。

 カウンターを狙った『相手(二匹)』はすぐに退く。

 おそらく、今までの戦いの中で仲間が殺られた攻撃はあまり当たりたく無いのだろう。

 なら、届かせるまでだ。

 俺は思いっきり剣を振るい、衝撃波を起こす。

 勿論、それも易々と避けられる。

 分かっている。

 しかし、罠を仕掛ける余裕なんて俺には無い。

 けど、攻撃ならできる。

『相手』の着地直後に地面が崩れる。

 そう、俺が狙っていたのはこれである。

 俺が行った行動は簡単だ。

 足で大地を踏みしめ衝撃波を起こし地面を崩したのである。

 俺は『相手』を全力で斬りにかかる。

 斬る直前に魔力波を『相手』は起こす。

 ゼロ距離波により大量の傷ができる。

 さすがは上位個体最強と言った方がいいだろう。

 斬ることに成功したが、いかんせん与えたダメージが小さすぎる。

 しかし、深追いはこれ以上できない。

 なぜなら、崩れた足元の中で『相手(もう一体)』が迫ってきていた。

 直後、予測線が無数に引かれる。

 終わる。

 そう思うと同時に俺を中心に強烈な爆発が起きる。

 確かに先程の攻撃であわよくばと思っていたが、むしろ本命はこちらだ。

 自分自身も『相手』ほどでは無いにしろ無事じゃすまないが、確実に仕留めるための一撃。

 相手がチャンスだと思い一番不用意に近づいたこの時に俺は数発の魔力爆発を起こしたにしか過ぎない。


「あとは、お前だけだ…。」


 狼のリーダー、否、天災狼ディザスターウルフに向かって俺は呟く。

 そして、俺は知る。

 天災の名を持つ意味を…。

 たった一歩だ。

 それだけで俺は恐怖した。

 まるで先程までいた暖かくて居心地のいい場所から極寒の地にいきなり立たされたかのように。

 俺の体は防衛本能なのか後退しようとする。

 しかし、俺の理性がそれを許さない。

 相手は圧倒的にまでの格上。

 天と地の差。

 それから逃げられる、なんてことはありえない。

 俺はゆっくりと相手を見据える。

 鑑定はしてみたが通じなかった。

 情報のじの字すら引き出せない。

 せいぜい、種族くらいのものだ。

 俺は本能的に踏み出す!

 ズダンッ!

 同時に大きな衝撃波が発生する。

 それは俺の周りの木が全て薙ぎ倒されたことを意味する。

 しかし、衝撃波は一度に止まらない。

 牙と爪そして尾による、多彩な攻撃と俺の剣がぶつかり合う。

 とにかく速い。

 そして、重い…。

 気を抜いたら一瞬で命を刈り取られる。

 いくつもの衝撃波を作りながら攻防、否、防衛戦を続ける。

 それは一箇所で止まらず、移動しながらありとあらゆる場所で衝撃波を撒き散らす。

『相手』の方が圧倒的に強い。

 多分、一手間違えばもうやり直せないレベルにまで…。

 なら、ミスらなければいい。

 俺はひたすら『相手』の攻撃を受け止める。

 …

 …

 …………。

 まただ…。

 何度も俺は意識が飛びそうになる。

 あと、あと少しなんだ。

 あとちょっとで追いつける。

 先程までの戦いで俺は血を大量に失っていた。

 要するに出血多量により、俺は意識が何度も飛びそうになっていると思う。

 しかし、それは決定的なものとなる。

 その隙を『相手』が見逃す訳がなかったのだ。

 瞬間、俺は血を吐いた。

 それは内臓器官の損傷を意味する。

 俺の意識は遠い。

 そして、牙が俺の首元に…。

 死んだ。
























 まだだ…。

 終わらせない。

 せめて、一矢報いなければ…。

 俺は立ち上がる。

 それを見た『相手』は一歩退いた。

 それは何故なのか俺には分からない。

 そう、俺は知らない。

 今、『相手』は本能的な恐怖で動いていることに。

 逃がさない。

 せめて、一撃を俺は…。

 体が軽い。

 力が湧く。

 痛みが引いていく。

 痛みで感覚が麻痺をすると聞くがこのことだったのかと思う程体が動く。


「俺は…」


 直後、『相手』は逃走をしようとする。


「俺は…全てを…。」


 視界が真っ白に染まる。

 俺は更に体が軽くなる。

 そして、力が溢れる。


「全てを…」


 直後、俺は走り出す。

『相手』は今頃全力で走ろうとしていた。

 せめてものの一太刀…。


「俺は…全てを!」


 全てがスローモーションに見える。

 俺は剣を振るう…。

 痛み、恐怖、格差、理不尽、飢餓、脆弱さの全てをそしてこれからの未来全てを…。


「超越する‼︎」


 その一振りは今までとは比べものにならない程の衝撃波を起こし全てを破壊する。

 そして、剣は砕け散る。


「クソッタレ、最後の最後で届かないとか無いよな…」


 俺は倒れる。

 悔しさだけをその胸に秘めて…。

 そして、真っ二つに斬られた天災狼ディザスターウルフを残して…。

遅れて申し訳ありません。

新作の件があっても今回は遅れました。

もし、読んでいただき面白いと思って頂けたなら幸いです。

ここまで読んで頂きありがとうございました。


2017.10.27 修正

少し、改行などを加えました。

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