秩序の災厄
少し早いですがなんとか書き上げました。
あれから一体どれだけの日が経ったのだろうか。
俺こと斉藤 優希は現在…黒真龍、グライズと殺し合いを行なっていた。
グライズは俺の全てを上回り…そして、圧倒しようと攻撃してくる。
しかし、そんな中でも俺自身はギリギリの抵抗を示し、僅かな勝機を見出そうと拳を振るう。
剣はとっくに折れており、素手で戦うしか他なかった。
封印により、魔力なども少なく『魔力具現』は使えない。
かと言って素手で勝てるかと言われたら否と答える。
勝てるわけがない。
例え、封印を解いたとしても勝てない。
俺の中であの一手が思い浮かぶがすぐに否定する。
その一手はとてもじゃないが使えない。
今の俺じゃ一瞬で汚染されて終わるだけだ。
勝てない…でも、終わるわけにはいかない。
魔力はそろそろ底が尽き、対抗手段が消える。
「なら、これで終わりにする!」
その瞬間、即時展開される無数の魔法がグライズ…いや、『相手』に向かう。
『相手』はそれらを避けて俺に向かってくる。
立ち向かうように俺は拳を握りしめる。
そして、拳が『相手』の鱗に突き刺さる。
砕ける。
骨が砕ける。
『相手』の鱗を砕けはしたが自分の拳の骨も砕けていた。
しかし、そんなことを考えている余裕はない。
『相手』から飛んでくるブレスを俺は避けて距離を詰めようと動くが、『相手』は逆に距離を取ってくる。
残った魔力を使って何とか離れないようにするが、簡単な魔法じゃ、『相手』を止めることもできない。
『どうした?先程までの勢いがないぞ』
やはり気づかれていた。
『相手』俺の魔力がつき始めてるのに気づいている。
ならば…。
氷と炎が舞う。
それは空気をも凍てつかせ、溶かす。
『それも見飽きたわ!』
暴風が起きる。
俺はその瞬間を狙い『相手』の後ろへと間合いを詰める。
しかし、それも分かっていたかのようにブレスが飛んでくる。
僅かながら擦りながらも俺はブレスをギリギリで避けるが次の瞬間には『相手』の尾が俺の目に映る。
『傲慢』『怠惰』
一瞬だけ距離を無くす。
それによって安全圏に一瞬で動く。
それでも、『相手』の方が何倍も強い。
「早く…」
僅かだ。
ほんの少しだけ体が動かなかった。
俺はこれを知っている。
故に俺は動かない部位を思いっきり殴った。
血が俺の顔に張り付く。
そんなものを気にしてる暇はない。
しかし、そんなことをしている間に『相手』は次の攻撃を始めていた。
体をうねらせ、体当たりをしてくる。
すぐには反応できずに俺は真正面から受けることしかできなかった。
骨が折れたような音が聞こえる。
それでも『相手』の体当たりは止まらない。
再生速度が遅くなってきている。
最後には抑えきれずに俺は吹き飛ぶ。
「はぁはぁ…くそっ!」
呟くようにして俺は悪態を吐く。
どうすればいいのかわからない。
封印を解いてもおそらく…いや、この封印については考えるな。
必要なことだ。
この状態でこいつに勝てないようでは目的なんて果たせる訳がない。
『まだ戦意を失わぬか!面白いぞ!』
『精神燃焼』10,000%
壊れるような昂りが俺の身を包む。
これで勝つ!
再び俺たちはぶつかり合う。
時には炎と氷が舞…暴風が吹き荒れ…ブレスが飛んでくる。
そんな中で常に舞っていたものは血だった。
何もかも投げ出すかのようにその昂りに任せて俺は戦う。
その先に何があるかわからない。
何も無いのかもしれない。
負ける可能性しかない。
もう、この段階で勝てない。
しかし、もう止まらない。
ここで…今できる全てを賭ける!
その時だった。
一瞬…ほんの一瞬だけ違和感を感じる。
しかし、それは一瞬のこと、全てが止まって見える。
まるで…自分の生きる時間が変わったように錯覚する。
されど一瞬、しかし、それが自分の命を救う。
『相手』が膨大なエネルギーを爆発させる。
その爆発の直撃は免れるがダメージは大きく…奈落の底へと…
『相手』の咆哮…それが最後の聞こえた音だった。
**
暗い…
真っ暗な世界
何もないように感じる。
光が小さく…消えていく。
手を伸ばす、飛ぼうとする。
もう、力などない。
真っ暗な奈落は底が見えず…落ちていく。
もう、力は湧かない。
昂りもない。
「俺は…ここで死ぬのか?」
後悔など、とうの昔に無い。
今の俺が出せる全力を出した…それでも勝てなかった…それだけで満足だ。
絶望が…どうした?
恐怖が…どうした?
夢が…どうした?
後悔も…どうした?
ない…訳ないじゃないか。
悔しい…辛い…何も俺は出来ていない。
これで終わりは嫌だ。
俺は光に手を伸ばす。
そこには何も掴めない手がある。
たった一度でいい…何も残せないままで終われない。
俺の心がどうなってもいい。
「応えろよぉ!!!」
光は見えなくなる。
それでも俺は諦めない。
その瞬間、俺の手に握ってるものがあった。
透き通った綺麗な結晶…いや、クリスタルがそこに…。
その先なんて知ったことではない。
なんて言葉は言えない。
これを使えば…おそらく再び戦うことはできる。
しかし、今の自分を失うことになる。
その時…俺は一体何を思うのだろう。
俺はそれが怖い。
でも…やるしかない…やるしか………無いんだ。
『災厄結晶』
ポツリと呟いたその名に呼応するかのように結晶が光りだす。
俺の頭は少しずつ真っ白になっていく。
ー壊せ!崩せ!滅しろ!世界を壊せ!ー
何かが聞こえる。
何かの恨みが俺の中に入ってくる。
それに俺は汚染されるかのように心の底まで響く。
そうか…だからか…だから…秩序の魔王はいつだって世界の敵になってしまうのか…。
納得してしまった。
それでも、本質が本能が訴えかけてくる。
俺のやりたいことは違うと…しかし、心は侵食されていく。
「あぁ!ああぁぁぁ!がぁっ!」
頭が割れるように痛い。
自分の正気が保てている今が不思議なくらいだ。
本当の理不尽とは何か?
それは自分なのか?
世界なのか?
本当の悪とはなんなのか?
それは本当に自分の思う悪なのか?
それとも…
ありとあらゆる疑問により、自分の思考が懐疑的になってくる。
しかし…
「あぁ、…そうだ…な…そんな…のわかる…わけ…ないだろ」
そうだ、わかる方が問題だ。
自分の答えが怖い。
自分の行動が正しいのかわからない。
そんなの当然な事だ。
それが分かれば人なんてやっていない。
「…だから‼︎…俺は…理不尽になってやるよ…じゃな…きゃ…魔王なんてなれねぇんだよ!」
理不尽とは何か?
悪とは何か?
何かを壊すのは何か?
くだらない。
そんな答えなんて一つでいいじゃ無いか!
傍若無人…優柔不断…厚顔無恥…我儘で自分勝手
ダメな塊でしか無い…ダメな塊であろうとする…俺だけで充分なんだよ!
「そんな、くだらない疑問で俺が揺らいでたまるかよ!」
俺は結晶の力を抑え込む。
しかし、その程度じゃ結晶を使うことはできない。
それをやるには最後に…
その瞬間、一瞬の間ができる。
そして、俺はすぐに笑う。
「お帰り…」
そう呟いていた。
その言葉の返答は…
『ただいま戻りました…帰って早々に働きましょう』
サムニウムという存在の挨拶だった。
その瞬間、共鳴が始まる。
俺の魔力
サムニウムの保有する魔力
炎と氷のイレギュラー
そして、災厄の魔力
五つの魔力が共鳴して、巨大な力を生み出す。
そして、それは爆発する。
その瞬間、俺の目に映ったのはイカリアを喰らおうとする『相手』の姿だった。
「テメェ、まだ終わってねぇぞ!」
その瞬間、俺は結晶でできた剣を振るい『相手』を切る。
そして、俺は剣を『相手』に向ける。
「さぁ、再開だ」
その言葉に笑い声がこだます。
『相手』は心底笑っていた。
『いいだろう…これが最後だ』
そして、俺は再び『相手』と戦う。
優希の復活とともに更に激化する対決。
そこで出した優希の最後の切り札とは?
次回『秩序の災厄 決着』
次回予告(適当)やりました!
こんな感じで次回は話が進む…のかな?
多分決着は着かない気がする。




