作戦決行
とても遅れました!
すいません。
いくら不定期とは言えでも最近どの話も更新できてませんでした。
夜が明けたときのことだった。
体全体を圧迫するような爆音が辺りに響き渡った。
それは…作戦決行の合図だった。
それとともに二人の男がそれとともに街から見た爆発の両端に走り込む。
土煙が舞う中で無数の影がうっすらと現れてくる。
オーク、オーガ、ウルフなどと言った魔物の軍勢が土煙の中から行進しながら現れた。
その数は見ただけでも多いと言える。
しかし、専門家や知識が無い人にとっては漠然と多いとしか感じないほどの量に真正面に立つ冒険者の軍勢の一部が驚き竦みあがる。
いや、数が分かったとしても同じ反応が返って来たであろう。
それだけの数の魔物が向かって来ているのだから。
そして、魔物達は俺達の確認を終えたのか先程までの規律を感じないほど滅茶苦茶に攻め込んで来た。
両端の魔物達は先ほど向かった男が片側に付き一人で押さえ込み、真ん中を見ると再び爆音が轟く。
辺りを震わせて真正面から向かって来た魔物達は死滅する。
僅かな魔物の動きに乱れがあった箇所もあったが誤差の範囲であり潰えたのは一番最小単位の分隊のリーダーくらいのようだ。
一見なんの規律も隊としての動きも見られないように見えるがそれは違った。
瞬間、右翼の魔物達の動きに僅かな緊張や乱れが生じる。
それは最小単位の分隊のリーダーから発生しているようで下っ端の足軽と言える魔物達は一瞬でも間が生まれてしまうことを免れなかった。
その隙を狙い男…いや、ライドは自慢の剣を豪快かつ大胆に振るって周りの魔物を…いや、リーチより先の相手をも衝撃で吹き飛ばす。
約100メートル…それが血に塗られた範囲だった。
しかし、その直後ライドは片手をフリーにして謝るように手を動かす。
その先には一人の少女がいた。
その少女、イカリアは少し頰を膨らませて『次やったら覚えてろ』と軽く口を動かすと軽く先程倒したであろう大きめの魔物を一瞥して去って行く。
おそらくあれは最小単位の分隊を纏めるリーダーであろう。
要するにその魔物が死んだが故に動揺が魔物達の中で大きく出たのだろう。
オーク、ゴブリン、オーガ、ウルフなどと言った集団を作る魔物だからこそある弱点とも言える。
その影響か右翼に向かっていた魔物の一部が分隊が真ん中の方に流れて同じ失敗を避けようとする。
そして、それに合わせて真ん中の方も左翼に移ろうとした時だった、一瞬の光が放たれる。
音はそれほどなくただ、その光は魔物の真ん中の軍勢に突き刺さる。
しかし、これといって大きな被害を出させることもできない光だ。
魔物の軍勢の一部が一瞬だけ乱れて左翼に移ろうとした部隊はその乱れで移り切ることができなかった。
しかし、真ん中では好機だと悟った。
そこには詠唱を終えた一人の幼い少女が立っていた。
そして、彼女が呪文名を唱えると再び爆音が轟く。
「コーネ、ナイス!
おかげで詠唱が間に合う」
幼い少女アリユリはすぐ後ろにいる女性コーネに賞賛の言葉を送るとコーネは軽く会釈をして微笑んだ。
「まぁ、お礼なら大物の居場所を教えてくれたアーグにもしなさいね」
「そだねー」
アリユリとコーネがそんな会話をしている中、アーグは身を隠しつつ敵を倒しつつ魔物の軍勢の勢力や動きなどを調べて行く。
それと同時に今回の軍勢を作り上げた親玉の調査も行っている。
しかし、目の前に一回り大きいオークがアーグに立ちふさがる。
アーグは冷静に短剣を滑らせてオークを切る。
しかし、魔物の邪魔は何度も続いてアーグは舌打ちを漏らす。
「仕方ない…クドーさん!
20メートル先です!」
アーグが叫ぶと左翼で最初に飛び出した男クドーが頷き、刀と呼ばれる剣を納刀する。
そして、一歩踏み込み滑らかに軌道を描いて抜刀する。
それの一閃は思わず見惚れるほどに綺麗で凶悪なものであり、約20メートル先まで一歩で踏み込んでクドーはあたりの敵を斬り終えていた。
辺りの魔物は一閃の軌道のとおりに両断されており、辺りに鮮血が舞う。
その瞬間、アーグの前にいたオーク達が一瞬動きを止める。
アーグはその瞬間を見計らい隙間を縫って歩く。
その際にオークの急所を的確に刺して仕留めて行く。
こうして、魔物の第一陣はほぼ壊滅状態に陥ったのだった。
そして、俺こと斉藤 優希はその状況を後ろで見ながらアーグの報告を待っていた。
「ここからは第二陣で敵も強くなるのか…」
俺は状況を見て思案する。
今のレベルの敵に対してはかなり楽に壊滅状態に持ち込めた。
しかし、ここからはライド達だけでは倒し切るのは難しいだろう。
特に数としても範囲としても小さいが右翼と左翼にそれぞれ一人ずつしか戦う人間がいないのも問題だ。
随時イカリアが強敵を倒して敵を崩すとは言えでも魔物の自己判断能力が優れているものも決して少なくも無い筈だ。
「君は戦わないのか?
ライド君達が秘密兵器と言っていたが何もしないのか?」
俺と同じように後ろで控えているギルドマスターはただ見ているだけの俺を見て投げかけて来た。
「まぁ、たしかに何もしないかと言われたら耳が痛い話だが、逆に聞くが消耗した状態でこんな大きな群れ…いや軍隊を作り出すようなボスを簡単に討伐なんてできるのか?」
「なるほど、貴様はただの襲撃では無いと予想しているのか」
「まぁ、そういうことだな。
ただ、人為的なのでは無いのか疑っている」
「なに?」
俺の言葉に対して明らかに疑わしげな目を向けてくるギルドマスターに対して俺は軽くため息をつく。
「悪いがどういうことだか説明をもらえないか?
私はこう見えてもというか見たまんま戦闘以外からっきしでな」
「わかったよ」
俺はそういうことかと思いながら返事をすると説明を始める。
まず、俺が疑問に思ったのは魔物が来る方向だった。
それは俺が入った門のあたり…要するに海側だった。
そこでの疑問はなぜこんなにも魔物がいるのか?
そして、交易都市を名乗るとは言えでも大陸の殆どを占めているのなら港町になぜしなかったかだ。
その疑問についてここ数日で解決した。
まず、少し離れたところに大きな森があるのだ。
勿論、そこは海側には無いのだが海側にも森があるのだ。
その森と大きな森は一応だが繋がっておりその森の一部として海側の森は扱われている。
まぁ、そこまではいいとしよう。
一番の問題はここからだった。
大きな森は魔境と呼ばれておりとんでもない化け物ばかりが住み着いていると言われている。
そこで繋がるのがその森と繋がっているという海側の森である。
要するに弱い魔物がその森に逃げてきたのだ。
なら、強い魔物はこちらに来ないのか?と言われると違うと答える。
しかし、基本的に強い魔物は群れることも無ければ寧ろ蹂躙は始めるだろう。
そこで疑問に残るのは今回の魔物の襲撃だ。
とんでもない群れの数が連携を取って攻めて来る。
明らかに強い魔物から逃げてでは無い。
ならば、答えは俺の中では二つに絞れる。
人為的か?特別な魔物か?
俺はここまで話をすると息を吐いて戦況を見る。
今のところはまだ控えの冒険者達の出番はなさそうである。
「たしかにそれしか考えられないな。
しかし、最初の森のくだりはいらなく無いか?」
「いや、それが重要なキーなんだ」
俺がそう言うとギルドマスターは疑問符を浮かべるように首をかしげる。
「なら聞くがあの海側の浅い森のどこにあんな量の魔物がいた?
流石にあの量はいなかっただろう?」
そう、今回の規模は森の大きさと比べて大きすぎるのだ。
大きい森から出て来るならまだしもこんな浅い森でこんな規模の襲撃なんてできるわけがないのだ。
たとえ大きい森から逃げた結果でも、それならば大きい森の方角から攻めて来る方が自然だ。
「要するにあの方角からは絶対にこの量の魔物を集めることができないんだよ。
それこそ意図的に集めたりしない限りな」
前兆に関しては普段の森を俺は知らないから分からないがこの調子だと殆ど無かったと言ってもいいだろう。
まぁ、それを言わなくてもギルドマスターとしては納得がいったようなので俺は状況把握を続けた。
「だが、一体どこの誰がそんなことを…」
どうやら、ギルドマスターとしては疑問が増えたようで頭を抱え出す。
まぁ、そこからは情勢などをあまり知らない俺としては何も言えないし、何もこんな世界だ。
一国なんてデカイものだけがそれを行えるなんて都合のいい話ではないだろう。
例えばちょっとした組織や一個人でもできる可能性があると俺は想定している。
故に俺からは何も言えないし想像もつかない。
「とにかく、人為的にしろ特殊な魔物にしろ俺としては何も言えないからな」
「分かっている。
君の物知らずな点はライドから聞いている。
しかし、信じてはいなかったがよく見たら分かるものだな」
改めて俺をしっかりと見たのかギルドマスターは顔を引きつらせている。
まぁ、仕方ないことだろう。
普段はオーバー過ぎて使っていないスキルをフル活用しているのだから。
現在、無数に近い魔法の保持状態にはしているがあくまでこれは正面突破ようである。
他は自身の強化系スキルもかなり使用しているのでそこらへんのAランク集団くらいなら悠々と倒せてしまうくらいの力はあるだろう。
まぁ、なによりも意外なのはスキルとしての実力も強者から見たら分かるものなんだと言うことだ。
となると直感的に実力がわかる人はステータスを直接的に分かるのではなく総合的な強さが分かるものなのか…。
そう考えると冒険者ギルドでステータスの数値だけを見るのは少し変だと思うがよく良く考えてみるとそこまでスキルを強くする人間は少ないのかと思うと自然と納得がいった。
「ん?これは…」
俺は状況把握をしているとかになる気配が一瞬通った気がして辺りを見回す。
しかし、周りには誰もいなく気のせいかと…思う訳もなく周りをありとあらゆる手段を用いて探った。
そして、探った結果…いたのだ。
いたのだが、どうすることもできないと俺は溜息をつく。
俺は内心まじかよと苦笑いするが仕方ないと割り切る。
まぁ、レイスという幽霊系魔物もいるにはいるが…完全な幽霊となると攻撃手段などが無いのでどうすることもできなかったのだ。
「…それにしても何故この瞬間なのか?」
今回の事態に対して無関係とは思えなかった。
しかし、その問題も後回しとする報告がアーグから来る。
「ユウキさん、見つけました!
最後尾にこの軍勢のボスだと思われるドラゴンがいました!」
俺はそれを聞いてやっとかと思い立ち上がる。
「さて、始めるか」
俺はそう言うと最終確認を行う。
そして、久しぶりの?全力を出す感覚を掴む。
そして、俺の体からは『精神燃焼』の光が辺りに立ち込めた。
やばい、剣での戦いを書くことができるかな?
最近、シューティングゲーム(一応FPS)をやってたせいで感覚が…。
今更優希の武器を銃に…怒られるわな。
安心してくださいちゃんと書きます。
これはただの茶番ですね。
次回はやっとまとも?な戦闘があります。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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