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秩序の魔王の順応性  作者: ARS
冒険者
30/45

冒険者達の防衛会議

「ここに集まったのは45人か…街の冒険者の数が78だから意外と集まってるな…」


偉そうな人がそう言うと俺たちの前に出てきた。

にしても、あんな小さな声を拾うとは耳が良いかも考えものかもな…。


「今回、君達に集まってもらったのは知っての通り、この街に魔物の群れが向かってきている!」


前に出たに人が話すと同時に周りが静かになる。

よっぽど凄い人なのだろうか?


「そういえば、旦那は元々この街にいた訳でも高ランク冒険者でもないから知りませんでしたね」


ライドが俺の様子に気がつくところ軽く耳打ちをしてくる。

話によるとあれはギルドマスターだそうだ。


「今回の相手はかなりキツイと思われる。

情報によれば魔物が来るのは明日の早朝からとなるそうだ。

しかし、厄介なことに魔物の先頭に立つ群れは最低でもCランクレベルの魔物である。

その先頭の魔物で目算で12万近く…どこに潜んでいたのかそのレベルの魔物がこちらに向かってきているのだ」


その瞬間、誰もが動揺した。

その時、俺は首を傾げた。

Cランクがどのレベルか分からないと言うのが大きかった。

それと数を言われても多いとしか思えず、何の問題があるか分からなかった。


「あ〜、旦那少しだけいいですかい?

簡単にまとめて説明するんでしっかりと聞いてください」


「あ、ああ」


俺はライドの説明に耳を傾けた。


まずランクの違いとその強さについて教えてもらった。


俺が少し前までいたFランクは14歳くらいなら誰でも勝てるレベルの魔物と強さを表す。


Eランクはレベル15くらいの人が3人以上のパーティーで勝てるレベル。

冒険者だとレベル30くらいの強さが必要らしい。


Dランクからはレベル30くらいの冒険者30人で倒せるレベル。

準災害指定、冒険者レベルとしては50くらいとされている。


Cランクからは最低レベル80はないと特殊なスキルとかがない限り死ぬ…おまけに80でも弱ければ100人でなんとか手を出せるレベル…Cランクに上がれる奴でも全体の十分の一にも満たないらしい。

余談らしいが騎士は最低でもこのレベルにまで強くさせられるらしい。


Bランクはレベル200あればなれる。

そこからは単一戦力としてどれだけか見られるのでレベルは最早対象に入らず、単一でのCランクやBランクの魔物を狩れることが前提条件となっていた。

魔物に関しても最早、領域が違うと言われている。


Aランクは一騎当千並みの戦力を有するとされている。

最低レベル500を持つ者が大半であり、軽く天災レベルだそうだ。


それ以降は雲の上だそうだ。


「となると、何でお前達はあそこのゴブリンごときに手古摺ったんだ?」


「いや、レベルが1000以降はたった1の違いでもかなりの違いを誇っているんだぞ?

それにあそこの魔物はレベルよりも技量と知能が有りえないほど高い…勝つには最低でもS5くらいの実力が必要だと思うのだが…」


ライドの苦い顔にそれほどまでか俺は驚く。

実際、あそこで住んでいた俺にとっては異常だということは他所の世界から来た俺でも分かるほど危険だとは思った…それでも、召喚された俺ほどでは無いにしろ、そこそこ腕の立つ冒険者とかなら生きていけると思っていたのだが、どうやら俺はかなりあそこを過小評価していたようだ。


「それと、最低でも12万のCランクということは最低でも三ランク上のSは一体とAとBが合わせて6万はいると考えておいてくれ」


なるほど、数の計算だとそうなるのか…。

どういう風に勢力の計算をしてるのかとは思うが恐らく経験則が多いだろう。


周りの平均レベルはライド達を除けば45くらいである。

正直、今の話を聞いた後では勝てるか怪しい。


「そこでライド君達にお願いがある。

君たちだけでも今回の群れはどれだけ減らせる?」


そして、矛先はライド達に向かった。

数少ないAランク冒険者であるライドに今回の矛先が向くのは当然のことと言える。


「正直言います。

上手く立ち回ればCランクの全滅は可能だが…しかし、Bランクの方は半数…いや、それ以下までしか減らせない」


「そうか…」


「ていうより、ユージスがいるんじゃなかったのか?」


「実は一週間程前に彼はこの街を出ていてな、今のところ冒険者の中の最高位は君達なんだよ…。

しかし、こうなると…どれだけ時間を稼げるかだな…。

この街にいる騎士は二千…援軍が到着するのは最低でも二週間…それまでの間に持たせられるかが問題だな…」


ギルドマスターの言葉に周りの人間は顔を青くした。

それほど衝撃的だったのだろう。

事実、今の戦力から見ると二週間持たせるのは無理と言えるだろう。


更に、魔物の統率の取れ具合が気になる。

場合によっては戦略を練って来る可能性があるし、むしろ何も無しで突撃してきて徹夜まで戦うなんてこともあり得るだろう。


「あの、街を捨てることは出来ないんですか?」


人混みの中の冒険者の一人がそう呟く。


「君はここに来たばかりか…。

この街はこの国の貿易の主要都市なのだ。

大陸の立地の関係もあり、この国には別大陸からの特産物が入りやすい…。

それもあり、この国はかなりの財政などが集まりやすい。

しかしな、最近勇者の召喚により多大な金額を消費してしまった。

今、この都市を失ってはこの国は滅ぶなんてこともあり得る」


なるほど、要するにこの街があるからこの国は勇者の召喚なんていう無茶ができたのか。

一番の儲けが出るこの都市を無くしては今の国の維持は難しいほどにこの国はこの街に依存しているのか…。


周りの冒険者はより顔が暗くなっていた。


「まずいな…このままでは犠牲が嫌で逃げる奴が出るな…」


ライドはこの状況を見て冷や汗を流した。


「うーん、旦那…」


そして、俺を真っ直ぐ見つめて来た。

男に見られても嬉しくないのだが、今はそんなふざけてる場合でもない。


「はぁ、好きにしてくれ…場合によっては山籠りでもするからよ」


「すいません」


「別に謝ることでもないさ。

俺も友人が財政難で野晒しに晒される可能性を無くしておきたいからな」


「勇者ならそんなことないでしょう?」


「それもそうだな…、なら、こうしよう。

世話になった人が死ぬようなことはあって欲しくないってな…思った以上に臭いセリフだな、これ」


俺はニヤリと言うとライドも少し笑う。

そして、ライドは前に出る。


「ギルドマスター、この戦いで時間を稼げる方法がある」


ライドの言葉に誰もが動揺する。

しかし、その中でもギルドマスターが一番困惑していた。


「ほ、本当なのか?」


「はい、それは…」


****************


「…やった!全力でやるね!」


アリユリはライドの合流して作戦を聞いたところで喜んでいた。


「ふう、旦那…すいません。

旦那が一番の負担になるような作戦を…」


「大丈夫だ、それ以外に方法は無い。

とりあえず、作戦の概要について知りたい。

分かり易く噛み砕いて説明してくれ。

正直、ギルドでの説明されてもサッパリだった」


俺達は城壁の周りに現在テントを張って明日に備えて作戦会議をしていた。


「は、はい。

まず、俺とクドーで70メートル範囲の敵を一人で担当してなぎ倒します。

まぁ、これは作戦実行される場所が横幅が広いので、言ってしまえば一箇所に敵が集中してもらえるような間引きなので端の方で俺達は暴れます」


「一箇所に集める…要するにそこを狙ってアリユリの魔法で一網打尽ということか?」


「はい、そしてCランクならアリユリの魔法で一発…Bランクなら三発と言ったところですかねぇ?

そして、Aランクでも威力を溜める時間さえあれば五発で倒せます」


たしかにその作戦は単純で穴だらけだがライド達の実力から見てできる。


「でも、それじゃあ…」


「撃ち漏らしが出るだろう?

これに関してはコーネに他の冒険者と騎士についてもらって補助魔法をかけて袋叩きにしてもらいます。

そして、アーグが敵戦力の偵察、イカリアが強い魔物の間引き…そして、旦那が正面切って群れのボスを潰してください」


「なるほど、単純だけどそれぞれの得意分野が活かせてるのはいいが…BやAランクの魔物に補助魔法をかけたとはいえでも騎士や冒険者が勝てるのか?」


「ユウキさん、私を舐めすぎですよ。

補助系統でAランクになったということは私の援助を受けるとランクを一つ上げるのと同義ななんですよ。

たしかにAランクの魔物は難しいでしょうが時間稼ぎくらいなら出来るようになってもらいます」


コーネの言葉に俺は納得した。

でも、そうなるとこのパーティーはS1くらいの実力があるということでは…。


「まぁ、俺達レベルになるとワンランクも上がるとは言えないがな」


だからAランクパーティーでしかないのか…。


「となると、俺が今回の主要戦力となるな…」


「そうなりますね…まぁ、旦那は明日一日中戦ってもらう…いや、旦那が相手によっては数日間戦うと思いますから休んでくれ…。

どうせ、旦那は封印状態で戦うんだろ?」


「まぁ…悪いとは思うがこの枷が無いと目的を成すのが難しくなるからな」


「いえ、こちらこそ旦那に無茶言いました」


ライドが頭を下げてきて困ってしまうが俺も頭を下げることにした。

その時、ふとあることを思い出した。


「なら、もし俺の剣が折れた時、俺はあれを使おう。

確実に仕留めてやるよ」


「あ、あれですかい?

いや、それを使うほどの敵が…」


「分からない…でも、いざと言う時の切り札を考えておくべきだ。

特に今回のは不確定要素が多すぎる。

お前たちの話から考えるとそんなに高ランクの敵なんて現れたら困るからな」


おそらく、今までかなりの高ランクとわかる化け物を優先的に戦ってきたらからだろうか?

ライド達はまさに今気が付いたかのように目を見開く。

いや、実際に今気が付いたのだろう。

国家まるごと滅ぼせるような化け物がそんじょそこらにうようよしているはずがないと…。


「てことは…今回のは自然発生とは違うということですかい…」


他の奴らもライドの言葉と同じ結論に至ったのか全員が考えるそぶり見せていた。


「いや、そうとも決まったわけではない。

何かの予兆の可能性だってあるんだ。

まぁ、それも考慮して動くに越したことは無いがな。

あまり気負うなよ…明日に支障が出たら困る。

どうせ、今は結論が出ないんだ。

考えるだけ無駄だ」


俺はそう言って軽くなれる場所で横になった。

しばらくして整理がついたのか他の奴らも自分のテントに戻って行った。


一人になった俺は天井を見つめてふと思う。


(サムニウム…まだなのか…)


今は返事がなく妙に寂しくなるが俺はゆっくりと眠りに落ちていった。

いや〜やっと更新できました。

まだまだ、謎が多い?いや、増えてますね。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

これからも読んでいただけると幸いです!

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