プロローグ〜ちょっとした素材集め
更新がなかなかできない。
明日も更新できたらいいなぁ〜
俺は立っていた。
熱く、そして激しい火の中…。
俺の目の前には一人の女性が立っている。
その女性はどこか俺に似ている…。
身体中の至る所に傷があり、どこか痛々しい…。
その瞬間、俺は確信した…。
これは夢だと…。
そして、この人は俺が生まれてすぐに死んだと聞かされている母親だろう…。
なんで父親がいないんだろう?
俺の両親は俺が生まれるとすぐに死んでしまった。
それから俺は叔父の家で育ててもらい両親の顔を見たことなかった…。
女性の口が開き始めた。
「優希、あなたは先に行きなさい…。
大丈夫、お母さんもすぐに…。」
母さんは死ぬ気なんだとこの場面で思う…。
夢の中の俺は手を伸ばして首を振ることしかできなかった。
「ううん、大丈夫だよ。
母さんは大丈夫…。
だから、最後にこの言葉を聞いて欲しいな…。」
泣きじゃくりながら頷いた。
その姿を見て、母さんは微笑みどこか名残惜しそうな目で見る。
少しだけ涙が流れていた。
「ダメ、私はもう…。
優希…あなたは…私達の……優しい、優しい…とても優しい…たった一つの希望よ。
ごめんね…お母さんはね…お母さんは一度も…母親らしいこと…
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俺は目を覚ます。
俺から一週間の時が経つ。
「変な夢見たな…」
最近、変な夢をよく見る。
しかし、今日は感極まって変な夢だ。
俺の母親は生まれる時に死んだ筈だ。
なのに、何故夢の中の俺は大体、5、6歳前後なんだ?
ひょっとしたら、記憶喪失が関係してるのかもしれない…。
俺は5、6歳の時に記憶喪失になっている。
何が原因かはサッパリ分からなかったが、叔父は俺に先程のような家族関係を話してくれた…。
ただ、俺が記憶喪失になった理由は少しだけ未だに教えてくれなかった…。
「まぁ、いいか…。
今更考えても仕方ないし。
そろそろ改造制服作成計画を進めるか…」
俺はそう言って作業台の前の椅子に座る。
作業台の上には今まで着てきたボロボロの制服が置かれている。
因みに今きている服は自作の藁の服である。
痛いが無いよりマシ程度で着ている。
これから先を考えると糸を吐く魔物と皮がいい魔物の素材を集めねばならない。
狼などだったらよく見るが、なかなか糸を吐く魔物が見つからないのである。
「とりあえず、今日こそは…」
俺は『マッピング』で『サーチ』を掛けてみる。
やはり、効果範囲にはいないようだ。
「しゃあない、今日は遠出でもしますか。」
そう言って俺は壁に掛けておいた狼の皮で出来た鎧を着る。
熱で溶かして強引に接着しており、簡単には壊れない優れものである。
ただし、許容限界の攻撃を負えば当然の如く壊れる。
俺は剣とこの前のゴブリンリーダーの戦利品である武器をいくつかあるの『イベントリ』で仕舞って洞穴を出た。
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探し始めてから3時間の時が経過している。
今のところの成果は、ゴブリン120匹、狼98匹、巨大熊1頭である。
あとはそこら辺の木に擬態したトレントを数百体くらいかな?
トレントはいろんな場所に潜んでおり、かなり集まった。
総合量は少ないものの固まっていない分、頻度が高い。
ゴブリンなどもハグレはいるが、集団としか基本会わない為、 必然的に頻度は多くならない。
『マッピング』超便利!
そこに、違う色の点が現れた。
それは俺が探し続けた糸、もしくは糸を吐く魔物に付けた色である。
ちなみに、『サーチ』の精度は熟練度100以降百パーセントを維持している。
信頼度100とはこのことだろう。
俺は他の魔物などを気にせず全速力で走り出す。
俺がたどり着いた場所には巨大な蜘蛛がいた。
胴が俺より少しデカく、かなりの大きさだ。
「あの蜘蛛の巣は確保きておきたいな…。」
俺は呑気にそんなことを考えていた。
そう、そこには一つの巣だけではなく、計70にも及ぶ蜘蛛がいたのだ。
「蜘蛛の性質上はあまり団体行動しないイメージがあるのだが…。」
呑気に軽口を言いながら1匹1匹鑑定する。
強さでいうなら狼の中位くらいだろう。
全部倒せるなと思いつつ、鑑定を続ける。
そして、最後の1匹を鑑定した瞬間に俺は笑みをこぼす。
「なるほど、だからこんなに蜘蛛がいるわけだ。」
その鑑定結果は…
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名前
種族:死を呼ぶ蜘蛛LV17456852
レベル:18546952
HP:325489348/325489348
MP:168543256/168543256
筋力:測定不能
防:測定不能
速:48956589
体力:264593254
魔力:測定不能
魔法防:測定不能
体技:測定不能
器用:測定不能
運:98
スキル
『糸生成LV75』
『硬化LV68』
『魔眼LV34』
『雷電LV89』
『統率LV63』
ユニークスキル
『傀儡LV36』
称号
『死を好む者』
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厄介だな。
殺しても殺さなくても相手の戦力はほとんど変わらない。
いや、周りの被害を減らさなくてならない。
もしも、近くにいたトレントを殺してしまったら簡単に戦力の増強になる。
「なら、一つしかないよな…。」
俺は笑う。
相手の強さは未知数であり、天災狼と比べたら個体の強さは恐らく弱いと思う。
しかし、あの時と同じくらいの覚悟が必要だ。
俺は剣を抜く。
「さぁ、始めよう…」
ズドンッと音が森に鳴り響く。
それは俺が踏み込んだ音である。
「まずは三匹…」
俺が通り過ぎた所から四肢がバラバラになった蜘蛛の死体が出来上がる。
どうやら、今ので『相手』も気が付いたようだ。
俺の敵は一つ、邪魔するのはただの障害でしか無い。
一瞬のうちに30匹の蜘蛛に囲まれる。
正直気持ち悪い。
「いいぜ、かかって来いよ。
俺は逃げも隠れもしないぞ。」
俺は挑発気味にそう言って、構えを取る。
襲いかかってきたのはほぼ同時だった、しかし、連携は蜘蛛の単独行動が多いせいか全く取れていない。
全ての蜘蛛をバラバラ死体は不可能だが、これくらいならいつでもいける。
『危険感知』や『予知眼』などの連携により敵の攻撃の予測線が引かれる。
それに沿って避けては斬りを繰り返して行う。
そして、半分は斬った時…。
「ッッ‼︎」
身体が動かない!
これは…?
そんなことを思考しているうちに敵が飛び込んでくる。
「何が起きたか分からないが、『高速思考』『鑑定』」
世界が緩やかになる。
『高速思考』の熟練度500の際に追加された能力、知覚速度倍加である。
俺は全力で鑑定出来るだけする。
どうやら、俺は麻痺しているらしい。
しかし、蜘蛛のスキルには状態異常系は無い。
俺は『相手』を視る。
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魔眼LV34
見つめた相手を任意で麻痺にさせることが出来る。
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「なるほどね。」
それは普通の相手なら簡単に倒せただろう。
しかし、俺の『順応』がそれを許さない。
もう既に俺は麻痺耐性のスキルを入手している。
少しだけ動けるがまだ完全とは言い難い。
でも、十分だ。
もう全力でいこうとも考える。
再び剣を振るう。
一匹一匹と斬る。
時折相手から糸が飛んできたりするが邪魔でしか無い。
弾きながら歩きだす。
蜘蛛の生き残りや、骸が飛びかかってくる。
瞬間、蜘蛛達は粉々に砕ける。
「相変わらず便利だな…魔力って奴は…」
そう、背中に魔力の爆発を起こして消失させた。
ただそれだけの話である。
硬化された糸も飛んでくるが障害にもならない。
いいや、障害だな。
いくつもの気配がした。
大量のトレントやゴブリンの傀儡がそこにはいた。
恐らく、俺にけしかけた蜘蛛以外の蜘蛛が殺したのだろう。
他にも、あの糸による攻撃により死んだ奴も少なからずはいると思う。
「何というか…スゲェな。」
決して強さに対して称した言葉では無い。
ただの皮肉である。
飛びかかってくる敵はどれも簡単に潰せる。
魔力爆発も先程のような制御が出来るようになっているため、蜘蛛の巣を壊してしまうこともない。
俺は無視して、『相手』の方に向かう。
そして、飛びかかったものは例外なく消失した。
どうせなら、属性魔法を使ってみたいが使い方が一向に分からなく諦めた。
ゆっくり、俺は『相手』の所まで歩いていく。
『相手』は自分の近くにいた傀儡を率いて飛びかかってくる。
俺はそれと同時に剣を振るう。
カキンッ、という音が辺りに響き渡る。
『相手』の足と俺の剣が交差する。
何度も何度も飛んでくる『相手』の攻撃。
俺の方がステータス上はどころか、スキルで強化した恩恵を使っても低い。
しかし、この打ち合いを可能としているのは一重の努力であろう。
打ち合いによる衝撃により、『相手』の傀儡が散っていく。
文字通りに粉々に…。
ゴブリンとは違う方で強い。
『相手』は搦め手が得意で時折行う糸や魔眼などが非常に強力である。
『雷電』を使われた時は感電死するところだった。
そんな中で俺と『相手』戦いは激化する。
そろそろ、剣一本じゃ捌けなくなってきたなぁ。
と思い俺は一度下がる。
しかし、それを逃がすほど『相手』は甘くない。
「『精神燃焼200%『魔力具現』」
200%は強力であり、全ステータスを3倍にしてくれる。
その代わり、それだけの昂りが必要となる。
今のように任意で使えるがその代わり2日程『精神燃焼』の恩恵を受けなくなる。
そして、『魔力具現』は『魔力操作』の熟練度300で解放された能力で、『魔力操作』と武器系統のスキルの合計熟練度が1000以上の時にのみ発動できる。
俺の場合は剣しか具現できないのだが…。
魔力の剣を取り出した俺は二刀流用に構える。
俺自身、ある程度は使えるようにしているが、やはり二刀流は難しく、簡単にはスキル習得まではいかない。
要するにぶっつけ本番である。
直後、『相手』の攻撃が飛んでくる。
先程より速く動ける分、敵の攻撃を全て弾く。
しかし、何処かぎこちなく隙が多くなってしまう。
先程より高い身体能力などで何とかなっているが、このままじゃ俺が死ぬ。
しかし、これ以上いい方法が思い浮かばなく、緩着状態に陥る。
それは相手も同じ様で苛立ちすら見せている。
「チッ‼︎」
打ち合いが始まりかなりの時間が経っている。
お互いに決めるために上下左右に縦横無尽に戦い始めていた。
俺は仕留めるために斬りつけるが簡単に避けられていた。
今の舌打ちはそれに対するものでは無かった。
二刀流そのものが慣れないが故のものだった。
つい今しがたも、自分の腕を切り飛ばしそうになった所だ。
その度に決め手が失敗する。
出来そうで出来ないこのやり切れない感覚がある。
更にはこの緩着状態がやり切れなさを増幅させていた。
お互いに決め手に欠けており『相手』は遠距離から仕留めようとするが俺は接近して戦う。
それが焦りを生み出している。
『相手』も時折カウンターを見舞わせようとするがギリギリで弾けている。
そろそろ、『精神燃焼』が切れる頃合いだ。
しかし、それは『相手』も同じ様で相手に関しては無尽蔵にあったMPが切れようとしていた。
お互いに次に仕掛けたら終わりだ。
そう悟り、最初のように打ち合いになる。
俺は先に仕掛けねば負ける。
『相手』は溜めなくては負ける。
その差が勝敗を分ける。
俺は下がり、一撃に掛かるために溜める。
『相手』は待ってましたと言わんばかりに攻撃を仕掛ける。
「終わりだ‼︎」
二本の剣を振るう。
『相手』の足と剣がぶつかり合う。
それはお互いの全力…。
お互いに相殺されたのかと思われた。
しかし、それは違った。
『相手』の足が砕け散る。
ただただひたすらに全力を注ぎ込んできた一撃はあの日、天災狼を倒した一撃より遥かに凌駕している。
更にそこに魔力爆発も使い、全てを灰燼と化す。
ズドンッ‼︎
大きな砂埃が舞う。
そこには何もなく、ただひたすらに抉れた地面が残っている。
倒したと思った。
けど、まだ甘い。
「なるほど、だから傀儡か…。」
そこには自分を傀儡と化して動く『相手』がいた。
半身が無くなっており、血がドバドバと出ている。
そいつは這って俺の所まで来る。
全力の一撃を放った俺には暫く動く力が無い。
俺は死をを悟り眼を瞑る。
最後に映った光景は砕けていない足を振り上げる姿だった。
…
……
………
いつまで経っても痛みが来ない。
俺は眼を開けると足は目の前にあった。
そして、『相手』は俺の目の前で崩れ落ちて、今度こそ死んだ。
「はぁ、はぁはぁ、勝った…のか?」
ふと思う疑問がここで湧いた。
目の前にある死体は自分の勝ちを示している。
しかし、何処か実感の湧かないものだった。
恐らく数瞬前まで死んだと思ったからだろう。
俺は身体を落ち着けてから大量の死体と蜘蛛の巣を回収をする。
「とりあえず、もう帰るか…。」
俺はマッピングで安全なルートを確認しながら洞穴へと帰って行った。
************
「出来た‼︎」
あれから数日が経ち、俺は改造制服を完成させていた。
俺はその制服を着て色々な確認をする。
ボタンは取り外して紐で結ぶ感じに変えている。
肩当てや胸当て、膝当て、膝当て、腕当て、脛当て、首当てなどを皮や骨格で作られており、そっとやちょっとじゃ傷つかない。
ブレザーは少しコートみたいになっているので制服と呼べるか甚だ疑問は尽きないが…。
他にも、色々とあるがワイシャツの上に黒いコートを着たイメージで見る人が見ればコスプレ感は否めない。
「まぁ、おかしなところは無いし完成かな?」
機会があればこれから先も改造していこう。
そう思い俺は今日も狩に出る。
召喚されてから一月と約二週間です。
今回の話は装備の充実編ですね。
主人公の能力が充実し始めている件。
ステータスを書くのがめんどくさいけどしっかりと書いていきます(断言)。
読んで頂きありがとうございます。
面白いと思って頂けたなら幸いです。