初の実践
「どうやら、続いているようだな。
予想はしていたが…でもまさかあれじゃないよな?
予兆は無かった」
この通路に入ってからアナードの独り言が増えていた。
しかし、俺達は気にせずについていく。
そして、数分が経った頃だろう…。
俺達は初の魔物に出くわした。
形は不定形で大きさとしてはサッカーボールより少し大きい位だろう。
そして、一番の特徴は半透明の体である。
待てよ、こんな生物いたっけ?
俺は最近教わった知識を総動員させる。
そして、引っかかったものは一つだった。
「スライム…?」
「洸夜、よくわかったな。
大抵の奴はまず認識できずにやられるんだが、お前はその心配はなさそうだな。」
アナードは称賛してくるが、俺は少し驚いていた。
圧倒的にがいますと言わんばかりのオーラと気配に気づかない人がいることに驚いてしっまた。
「スライムは少し厄介な魔物だからまずは見本として俺が倒そう。」
そう言ってアナードは前に出る。
それと同時にロロアードも前に出る。
「解説などをさせていただきますので団長、少し手加減してください!」
「善処しよう…
」
「本当にしてくださいよ。」
二人はそんなやり取りをしながらお互いに相手を見る。
アナードはスライムをロロアードは俺達を…。
「では、まずはスライムの特徴の復習をしてみましょう。
皆さん、スライムの特徴をあげていってください。」
「核がありそこを破壊すれば一撃で倒せる。」
ロロアードの質問に俺がまず答える。
それを見て香恋は口を開く。
「確か、体を魔力で補っている分、魔力の絶対量が多く極端に魔法に対しての耐性が高い。
さらに核が本体である以上いくら核以外の部分を攻撃してもダメージが入らない。
他にも色にもそれぞれの特徴があり、今回は白だから…、ものによっては粘着の性質や硬化、物理緩和が確認されていて非常に厄介かつ危険な魔物として扱われています。
後は…」
「もういいよ。
基本情報はこのくらいですね。
なのに召喚者は何故か舐めてかかって痛い目見る人が多いと聞きますので、聞いたのですが心配なさそうなので安心しました。」
俺は少し苦笑いをしてしまう。
この世界に来てから調べていたから知っていたが、もしも知らなかったら舐めてかかっていたと思う。
「にしても、香恋さんは詳しいですね。
私もかなり調べたはずでしたがそこまでは…」
茅芽さんは自信を無くしたようにつぶやいた。
「それで、茅芽さんは他にもありますか?」
ロロアードはそれを聞いたからか、茅芽さんに話を振る。
「えっ。
ええと、他には時折魔法が使える個体がいて、その個体は基本スッペクも高くなります。
それと、特有の個体に限らずスライムは擬態能力が高く雑食なので発見や被害把握が非常に困難な魔物というくらいしかありません。」
茅芽さんは戸惑いながら答えていく。
「それでも十分な情報です。
私たちでもある程度近づかないと気づけません。
洸夜君の索敵又は看破の能力が非常に高いことがわかります。」
何故か俺が褒められる流れになっている…何故だろう?
普通に分かるのに…。
ふと、最近のことを思い出す。
エイナとイリアのステータスの隠蔽について気にならないのか?と香恋に聞いた時にそんなものなっかたと言われた。
少し違うが状況的に似ていた。
そんなことを考えているうちに戦闘が始まるようでロロアードに見るように促される。
アナードは近くの石を拾い上げ投げる。
そして、スライムと当たると同時に石が消滅する。
いや、正確には溶かされたが正しいだろう。
「触れた物を溶かすタイプですか。
また、厄介なのがきましたね。」
しかし、ロロアードが心配する様子はない。
ブンッ、という音が聞こえた。
どうやら、剣を振ったようだが三メートルも離れた場所だ当たるはずがない。
そう思った矢先にそれが起きる。
核ごと真っ二つに分かれる。
俺は思った。
そういえば、ここは異世界だ。
今までの常識位捻じ曲げること訳ないよな…。
「終わったぞ、それで解説はできたのか?」
「団長、よく考えたら団長のレベルの解説は早かったです。」
ロロアードはどこか諦めた表情をしていた。
「なんだか分からないがすまない。」
「いいんです。
団長の性格を把握しきれなっかた私が悪かったのですよ…」
何故かロロアードがネガティブになるがアナードは諦め俺たちに行くぞと言って再び探索を始める。
そして、二度目の魔物の遭遇をする。
見た目は人型で犬の様な特徴の魔物の群れが現れる。
数は目算で30位、上位種だと思われるのが3体。
「珍しいな、三階位型のコボルトの群れだ。」
三階位は確か、その群れの強さの幅を表していて今回のは通常のコボルトその上位種とさらに上位のコボルトがいることを示している。
「あれならいけるだろう。
作戦を相談して立てて戦って見ろ。
危なくなったら助けに入るから安心しろ。」
アナードはそういうと後ろに下がり腰を下ろす。
「それでどうするんだ?
俺自身は近接格闘だからそこらへん考慮してくれていたらいいのだが。」
淳は自分の意見を言う。
それに関しては考慮しなくてはならないので先に言ってくれてありがたい。
「それで、茅芽さんはどうなのかな?」
「私は弓と魔法の中衛でサポート重視です。」
「となると、俺と淳が前衛に出てイリアと茅芽さんが中衛、香恋は後衛でエイナが遊撃といったところかな。
香恋、強力な魔法の使用の際はまずは注意勧告をしてくれ。
エイナも同じだぞ。
中衛の二人は大きい攻撃ではなく小回りの効いて連射性と精密性の高い魔法を選んでくれ。」
俺はとりあえず連携がうまく取れないことはわかっているが最低限の連携は取ろうと思っている。
その結果出来た作戦を俺達は基盤としてコボルトの群れに挑むことにした。
まず最初に俺と淳がコボルトの群れに突っ込む。
これだと袋叩きにされるだけだ。
ここで連射性の効いた中衛の攻撃が役に立つ。
俺達前衛に対して回り込んでくる敵を倒す、もしくは足止めする。
「洸夜!
少し大きいの使うから一回注意して!」
イリアが大きな声でそう言う。
俺達二人は少しコボルトから離れる。
その直後俺達の前に火柱、否火の壁が形成される。
それは木の枝ように複雑に分かれてその枝の先っぽから爆発する。
これで3分の2くらいは潰せたかな?
もともと、後衛の香恋が強力な魔法を使う際にする勧告なのだが香恋の能力の性質上必要無かった。
「『悪源魔法』初手。
【スロウ】」
直後、周りの敵が一気に遅くなる。
香恋の魔法の効果だ。
このように敵を指定する魔法が多く必要ないのだ。
「今だ!
エイナはコボルトリーダーを仕留めろ!
中衛と後衛は殲滅に入れ!」
俺と淳は目配せをして走り出す。
俺が右のハイコボルト。
淳が左のハイコボルト。
「『フレイムヒット』」
淳はハイコボルトを蹴りつける。
そして、すぐにバックステップをする。
そして、構えを解いて直立になる。
ドォン。
その瞬間、ハイコボルトが爆発する。
そして、残ったのは焦げたハイコボルトだった。
「やるな、よし俺も!」
俺は二本の剣を抜き詠唱を始める。
「『ヘルゴースト』」
そう言葉を発するとともに剣を振るう。
すると、二本の剣から黒いモヤが現れる。
「行け」
それがキーとなりモヤはハイコボルトに飛んでいく。
そして、ハイコボルトに当たると同時に消える。
霧散したのではない。
消えたのだ。
「【ライトブリザード】【ダークファイヤ】」
そ言葉と同時にハイコボルトは白色の氷の中に閉じ込められる。
そして、ハイコボルトの中から黒色の炎が噴出される。
「バースト」
そして、黒と白で色塗られた爆発が起きる。
この技は天光魔法と獄闇魔法の複合技で直接的魔力の接続がある魔法のゴーストを作り出す。
そのゴーストは獄闇の降霊と天光の聖霊召喚の応用で擬似霊の作成を行ったのだ。
その霊を魔物の中に送り魔力の接続部を利用して魔物の体内で魔法の使用をする。
そして、最後に起こしたのは相反する魔力がぶつかり起こる爆発である。
確かこの世界では【ゼロ】と呼ばれる技術で自爆によく使われるらしい。
さてと、他の奴らはどうしてるかな?
「【アースウェーブ】」
ちょうど、茅芽さんが魔法の発動をしたらしい。
地面が唸りだしコボルト達はバランスを崩す。
魔法名からして大地の波と言ったとこか。
しかし、魔力が少し足りない。
どうやら上手く操れないらしい。
「【アースウェーブ】」
それに気づいたのか隣でイリアが魔力を倍込めて放つ。
それは少しずつ唸りだし始める。
それは次第に大きくなっていく。
「飲み込め」
そう言った直後、波の唸ねりがなくなり一つの大地の波が出来コボルト達を飲み込む。
これで二人の方は終わりだろう。
あとはエイナの方だな。
俺はエイナの方を見ると。
そこには細かい傷がいくつも刻まれたコボルトリーダーがいた。
「やっぱり、なかなか刃が通らないね。
けど、これで終わりだよ。
【ゼロストーム】」
直後、コボルトリーダーの周りに火、水、風、氷、大地、雷の柱ができる。
それはコボルトリーダーの周りを回っていきそれが起きる。
先程俺が起こした現象【ゼロ】が…。
大きな爆発の渦として起きる。
あれに巻き込まれたらひとたまりもないだろう。
「初の戦闘ご苦労、なかなかいい連携だったぞ。」
アナードがねぎらいの言葉をかけてくる。
「「「「「「ありがとうございます」」」」」」
自然と俺達は同時に言葉を発する。
「まぁ、まだ探索は続けるのだがな」
「わかりまし…」
俺はふと先ほどエイナが【ゼロ】を起こした場所を見る。
直後、俺は不思議な感覚に襲われる。
確かに砂煙は舞っているはずなのにはっきりと見えたのだ。
コボルトリーダーが立ち上がる瞬間を…。
「ツッ!!」
「あの、洸夜君どうしたのですか?」
茅芽が声をかけてくれたことによって俺は冷静になる。
「みんなっ…!」
そして、俺が注意を促そうとした瞬間にコボルトリーダーは動きだした。
注意を促す暇もない。
なんとかしなきゃいけない。
動けるのは俺だけ…。
脅威の刃は茅芽さんに向かう。
俺は踏み出す。
ー間に合え!【封質の鎖・正常作動】-
俺は言葉より数段速い思考に詠唱を行わせる。
直後、俺は先程まであった肩から下げている剣の重りから解放される。
俺は全力で走り茅芽さんの前までたどり着く。
そして、腰に下げていた剣を抜きガードする。
カンッ!!
という音が響く。
「洸夜…くん?」
茅芽さんはいきなりのことで驚いている。
「早く離れて!!
そこにいると解除ができない。」
「は、はい!」
茅芽さんはそそくさとその場を離れる。
封質の鎖はその名の示す通り巻きつけた物の質量をゼロにする。
しかし、それにもデメリットがある。
まず最初に通常状態、要するに普段俺が使っている状態である。
その状態は確かに質量をゼロにするが、その分の質量が鎖に行くのだ。
要するに剣そのものの質量は無くなるが合計質量の変動はしない。
そして今の状態がこの鎖本来の使い方で巻きついた物の質量を奪うのではなく、完全に無くした状態である。
しかし、この状態は結構MPを食うのであまり使いたくない。
理由は勿論それだけではないが…。
「解除」
瞬間、コボルトリーダーの動きが止まる。
やがて、剣が重いのか落としてしまう。
これは鎖の副作用で解除するといろんな物に質量をまき散らすのだ。
それだけだと自分が優位に立てるように聞こえるが勿論そんな訳がない。
俺にもその質量がくる。
めちゃくちゃ重い。
後々、国の錬金術師にでも改良してもらうか。
とりあえず、今のうちに大技で仕留める。
「解放!」
俺は今持っている剣を落として肩から剣を抜く。
鎖は巻き付いたままで両手で持ち俺はゆっくり振りかぶる。
この鎖の最後の効果。
大量の魔力を使う代わりに質量を倍加する。
この剣の重さは150キロそして、鎖の効果を入れることにより300キロとなる。
勿論、普通はそんなもの持てない。
しかし、ステータスがものを言う世界だ。
そして、召喚されたものの補正で両手でギリギリ振るえる。
いや、正確には振られるだか…。
俺はそのまま振り下ろす。
ズドンッ‼︎
吹き飛ぶとかそういう次元を超えてコボルトリーダーは弾けた。
「なんとかなったな…。」
因みにこの技にはデメリットとは言えないが一つだけデメリットがある。
それは、周りの質量を一時的に少し奪うのだ。
おかげで俺の体は吹けば飛ぶほど軽くなっている。
今、この剣を離したら俺は高く舞い上がってしまう。
効果時間は確か1分くらいだった筈。
これも絶対に改良して無くしてもらうと深く決意したのだった。
魔法での殺しが多いので忌避感が湧きにくい状態です。
まだ洸夜視点は続く予定です。
読んで頂きありがとうございます。
2017.10.27 修正
少し、改行などを加えました。




