表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秩序の魔王の順応性  作者: ARS
強くなるまでに
11/44

グループ分け 勇者(洸夜)視点

久々の勇者視点?

というより、洸夜の視点です。

 異世界に来てから約一週間の時が過ぎようとしていた。

 俺、近衛コノエ 洸夜コウヤは訓練所で素振りをしていた。


「まだ、魔力がよく掴めないな…。」


 一度、素振りをやめて魔力操作の確認をする。

 素振りの際に剣に魔力を込めて強化の練習をしていた。

 俺はまだレベルが低いから効率良く魔力の使用をしないとすぐに魔力が枯れてしまう。


「洸夜、そろそろ実践に行く時間だから準備しなさい。」


 入口のあたりから香恋カレンが俺を呼び出す。

 今日は初の実践と同時に初の殺しを体験する日である。

 俺は練習用の剣をしまうと自分の部屋に戻りオーダーメイドで支給された二本の剣を肩と腰から下げる。

 肩から下げる剣は腰に下げる仕様になっておらず、鎖で縛っている。

 鞘がなく鍔も無い剣で何か物々しいオーラを放っている。

 腰から下げた剣は肩から下げたものに比べると細く綺麗な鞘に収まっている。

 鍔は綺麗な装飾が施されている。

 二つの剣は真逆の印象を受ける剣となっている。

 最低限のプレート、腕当て、膝当てと付けていき最後に入念にチャックをする。

 俺は再び訓練所に戻り二本の剣を構える。

 そして、振るう。

 僅か一秒のうちに5回の斬撃を繰り出し再び鞘にしまう。

 肩から下げている方は鎖があり、それを自分に取り付けることにより固定する。

 この鎖は剣を出す度に外れるようになっているので毎度毎度取り付けるのが大変だ。

 いつも通りの調子を確認したところで俺は集合場所である城門前に出ていた。

 もうすでに何人も来ていて俺を見た瞬間にいろんな反応があった。

 好奇の目が大半だか、何人かは嫌悪や嫉妬といったどす黒い感情を向けて来ている。

 他にも好奇の目に見えて嫌悪しているなど沢山ある。

 その逆で無関心もあったりもするが…。

 もともと、学校一の人気はあったらしいが、本音をうっかり言ってしまったらこんなものだ。

 今となっては嫌悪などの目が増える一方である。

 しかし、変わらないものもある。

 香恋とエイナ、イリアの人気は不変のものだった。

 嫉妬の大半は俺がいつも三人と一緒にいる点だろう。

 そして、今は一つの集団として纏まっている訳では無い。

 小規模ならよく教室で見るグループ、中規模は委員会や部活。

 そして、大規模は今現在男子で一番の人気になり始めた黒谷クロヤ 藍蔵エイゾウである。

 最近、香恋達三人が誘われたらしいがキッパリ断ったそうだ。

 そのせいもあって奴からは目の敵にされている。

 あいつは一見優男だが少し人を物としてみている節があるのが低評価だと三人が言っていた。

 そして、もう一つ、生徒会長 早乙女サオトメ 久遠クオン率いる生徒会のグループである。

 そして、たった四人しかいないのに大規模グループ認定されている俺達のグループである。

 おっと、件の黒谷が来た。

 腰に刀とよく似た武器であるサーベルを下げている。

 彼は俺をみた途端キッと睨んで通り過ぎる。

 その後に久遠生徒会長が歩いてくる。

 相変わらず、何を考えているか分からない人だ。

 彼は黒谷とは違い武器があるのか分からない。

 何故なら、どこにも武器らしい武器が無いのだ。

 ただ、これだけは言える。

 この人は普通じゃ無い。

 おそらく、人なら確実に一度は殺したことあると言っても信用できてしまうくらいに…。

 雰囲気だけで見たならとても緩そうに見えるが、油断してはダメだと本能に訴えかけられているから、そう思うだけの思い過ごしだと思いたいが…。

 俺は再び次は誰が来るか見ていた。

 そして、そこには見知った三人が小走りにこちらに向かって来る。


「ごめんなさい。

 少し遅れたわ。」


 香恋が溜息を吐きながら謝罪を述べる。

 そこでエイナがばつが悪そうに苦笑いを浮かべながら話し出す。


「ごめん、ちょっとこれをつけるのに手間取っちゃって…。」


「すいません。

 エイナだけの所為では無く私がもう少し早く気付いていれば…。」


「いや、お姉ちゃんの所為じゃないよ。」


 イリアが申し訳なさそうに頭を下げるがエイナがそれを止める。


「いや、大丈夫だろ。

 まだ、始まった訳じゃないしな。」


 まだ、決まりの時間の鐘がなっていないので実際には遅れていない。

 それだが、三人は少し遅れたと思っているらしい。


「それならいいのだけれど…。」


 香恋が安心したようにつぶやく。

 そして、数分が経ち鐘が鳴る時間となる。


 ゴーン、ゴーン、ゴーン


 という音が辺りに響く。


「はい!

 遅れた者はいないな?

 これより実践訓練を行う。

 まず、最初に注意して欲しいことがある。

 これは訓練だが今までやってきた実践形式とは違い命のやり取りだということだ。

 決して、そこを履き違えぬよう心掛けて欲しい。

 油断も決してするなよ。

 確かにステータス上では君達が勝っていても、足下をすくわれるぞ!」


 確かに俺達は決定的に経験が無い。

 そんな状態で戦っても死ぬ可能性が高い。

 周りには真面目に聞いている人達は殆どいなく、半数以上がめんどくさそうに聞いていた。

 香恋も気が付いたようで溜息を吐く。

 エイナとイリアに至ってはそれを言う必要がない程、覚悟が決まっているようだ。

 二人はここに来る段階にはもう既にわかっていたようだがな。

 時折、この二人が本当に同じ時代に生きていたのか凄く不思議に思う。

 一度、優希に相談した時は「悪意そのものは一切無いけど、あの二人いずれ人を殺しそうな程暗い感情が奥底にあるな」と言っていた。

 憎悪などの類に近いとも言っていた。

 俺には分からないが二人はここに召喚されてから少し食い違う。

 表面上はいつもの二人だが、何か別の印象も受けている。

 何処か殺気を隠して何かを必死に我慢している感じだ。

 それは誰に対して向いているのかは俺には分からない。

 優希だったら分かるかもしれないが、こういうことは多分一切教えてくれないと思う。

 とりあえず、一旦答えの見つかりそうに無い思考は止めよう。


「…洸夜、聞いてる?」


 直後、突如声が聞こえて俺は少しビビる。


「洸夜…ひょっとしてぼーっとしてた?」


 香恋からジト目が送られ俺は目をそらす。


「いや、すまねぇ。

 ちょっと考え事を…。」


「ふーん、それでパーティーリーダーはあなたでいい?」


「なにそれ?」


 俺が首を傾げると香恋は本日何度目か分からない溜息を吐く。


「全く、やっぱり聞いていなかったのね。

 今から四から六人のグループを作ってパーティーを組めと言われたの。

 その中でパーティーリーダーを決めておけと言われたから、あなたでいいよねという話。」


「別に構わないが二人は…」


 俺が二人に意見を聞こうと思った瞬間、黒谷がこちらに来る。


「エイナさん、イリアさん、香恋さんそんなとこより、よかったらうちのパーティーに入らないかい?」


 黒谷はなにを思ったのかそんなことを言い出したのである。

 黒谷さん、それはある意味禁句ですよ。

 一瞬、とんでもない殺気が三人から出ていた。

 少しだけ、黒谷が怯えた表情になったとき本当に少しだけ(実際少しじゃ無いが…)ザマァと思ったのはご愛嬌ということで…。


「ごめんなさい。

 前にも言ったけど私自身あなたのグループにもパーティーにも入る気は無いわ。」


「悪いけど、他を当たってくれない?

 私は正直こっちの方がいいから。」


「すいません。

 私としてはあなたは信頼をしきれないので…。」


 三人共やんわりという仮面を被せきれていない、ど直球の否定の言葉を放つ。


「そうなんだ。

 機会があったらまた誘うね。」


 黒谷は小さく舌打ちをして大人しく引き下がる。

 それにしても、また性懲りも無く誘う気なのか…。

 馬鹿なのかな?


「ちょい、洸夜君だっけ?」


 横から声がかけられ振り向くとそこには久遠生徒会長が手招きしていた。


「久遠先輩、何のようですか?」


 俺は久遠生徒会長に近づく。


「いや、久遠もしくは会長でいいよ。

 それで質問なんだけど、そっち空きある?」


「空きって、パーティーですか?」


「そそ、それそれ」


 笑顔で対応する久遠だが、この人の笑顔が崩れるところが想像出来ない。


「二人程空きがあります。」


「ならよかった。

 ちょいと、うちの方から二人程預かってもらえるかな?」


「何でですか?」


「二人程、パーティーに入らなくてね。

 全部六人ずつという風にやってるから空きのあるパーティーが無くてね。

 少しでも生存率上げるにはそっちも六人にしておいた方がいいでしょ?

 どうせ、僕達みんな他の騎士の足手纏いなのだから。

 人数少なくするよりグループを少なくして一個隊に担当してくれる騎士が増えるかもしれないし…。」


 確かに一理あるな、うちの学校は確か40人クラスが八クラスの三学年だから960人になる。

 4人だと240グループ、6人だと160グループとなる。

 そして、訓練に参加してくれる騎士は400人だ。

 この計算なら6人グループだと一個隊に二人以上の騎士が付いてくれることになる。

 それは騎士の負担という意味でも楽になる。

 因みに先生は一クラス二人(副担も入れて)の他科目で大体六人(曖昧)、最後に校長など考えると…分からない。

 興味が無かったから計算も適当になっているな。

 けど、そんなに数がいないからいいとするか…。


「しかし、そんなに上手くいきますかね?」


「それなら大丈夫、ギリギリこの二人が君のところに入るか余ってるところに入れば計算上、三人のところが10グループできるはずだから。」


「もしかして、全グループ把握しているとかじゃないよな?」


「人数だけならね。」


 久遠はそう言った。

 要するにそれぞれのグループの人数や人数割なを把握しているというのだ。

 並大抵の計算じゃそんなこと出来ない。


「それで、二人程預かってもらえるかね?」


「わかった。

 大丈夫ですよ。

 それで、お前等もそれでいいよな?」


 俺は後ろで聞き耳を立てていた三人に問いかけると三人共ゆっくり頷く。


「ありがとう、助かるよ。

 二人共おいで。」


 久遠が呼びかけると男子一名女子一名が歩いて来る。


「何ですか会長?」


「お呼びですか?久遠さん。」


 会長と呼んだ方が女子で確か書記の人だったような…。

 さん付けしていた男子の方は確か格闘家一家の次期当主候補だったはずだ。


「君たちには洸夜君のパーティーに入ってもらおうと思う。

 洸夜君、この子は生徒会書記の市川イチカワ 茅芽カヤメで、こいつは渋川シブカワ シュンだ。」


「よろしくお願いします。

 近衛 洸夜さんでしたよね?

 洸夜とお呼びしても。」


「別に構いませんよ。

 こちらも茅芽さんと呼んでもいいですか?」


「もちろん構いません。

 それと出来れば敬語はやめてください。」


「はい、善処します。」


 茅芽さんと話すが少し固い感じの人だということがわかる。


「それで、えっと淳と呼んでも…」


「おう、別に構わん。

 それにこちらとしても勝手に洸夜と呼ぶ予定だったからな。」


「そ、そうか?

 なら、こっちも構わず呼ばせていただく。

 とりあえず、よろしくな茅芽、淳。」


「よろしくお願いします。」


「こちらこそ宜しく頼む。」


 茅芽さんは頭を下げて淳は笑いながら挨拶をしてくる。


「んじゃ、僕は先に行ってるよ。

 丁度、騎士達がグループごとに集まるように指示を出し始めたし。」


 俺達は久遠さんに礼をして見送る。

 そして、少しした後こちらの方に二人程騎士が来た。


「宜しく頼む。

 私は騎士団長を務めるアナード・グヴィナだ。」


「私は三番部隊副隊長を務めるロロアード・クライアフトであります。」


 騎士団長のアナードさんは静かに告げるがその後のロロアードさんが緊張しているのか先程アナードさんが作った雰囲気がぶち壊しだった。

 それはさておき、俺達はそれぞれ自己紹介をしていき実践訓練の場所まで移動することにした。

 ここから北の迷宮『オルトロスの迷宮』に…。

 名前からして嫌な予感しかしなかったのは気の所為では無いはず…。

読んで頂きありがとうございます。

面白いと思って頂けたなら幸いです。

次回の関係上2017.9.18サブタイトル変えました。

実践訓練前半→グループ分け 勇者(洸夜)視点


2017.10.27 修正

少し、改行などを加えました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ