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殿下の教育係  作者: 戦乃作為
第2章 【学園生活と日常】
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第94話 『悲劇』

「ふぅ……もうクタクタだ」

「あれだけ踊ればそうなりましょう」


教育係と踊り終えたあと。

銀髪メイドや妃候補達と踊った。

彼女達にもドレスを贈っていた。

教育係とメイドばかり贔屓は良くない。


三つ編み眼鏡には橙色のドレス。

露出は控えめだが、色気が凄かった。

気をつけていても彼女の爆乳が暴れる。

何度か接触して、ドギマギしていると。

三つ編み眼鏡は赤い顔で囁いた。


『たまには……アピールしたくって』


オレっ娘には若草色のドレス。

大胆に手足が露出して健康的。

引き締まった彼女の肢体が眩しい。

ぐいぐい身を寄せてきて微乳が接触。

オレっ娘は怪しく八重歯を光らせ嘯く。


『最近成長してっから乞うご期待だぜ』


黒髪ロングには藍色のドレス。

柔らかな生地でゆったりしている。

その下でぽよぽよと形を変える美乳。

最高に丁度いい彼女の胸に違和感が。

黒髪ロングは頬を上気させて告白した。


『殿下はノーブラがお好きですよね?』


妃候補と踊った後、姫君に捕まった。

彼女にはドレスを贈っていない。

自前の胸の大きく開いた桃色のドレス。

恐らく、召使いの好みだろう。エロい。

強引にダンスを強要され、挑発された。


『結婚したら特別に挟んであげるわ』


それを受けて召使いに視線を向けると。


『俺はいつも挟んで貰ってるからよ』


とのこと。随分大人な関係の模様。

無論、何を挟むのかはさっぱりだ。

けど、腕とか挟んだら気持ち良さそう。

どこに?なんて、無粋な事はよそう。


彼女らとのダンスを思い出して、溜息。

ちらりと傍の教育係に視線を向ける。

奴の胸は断崖絶壁。板と呼ぶべきか。


あっ。感づかれた。胸を隠してる。


いやいや、隠す必要なんてないよね?

白けた視線を送ると頬をつねられた。

教育係は拗ねた口調でボクを詰る。


「殿下はそんなに胸がお好きですか?」

「嫌いと言えば嘘になるな。ただ……」

「ただ?」

「胸の大小に関わらず、お前が好きだ」

「もぅ……褒められた気がしませんよ」


そんな他愛のない会話を交わすボクら。

会場を見渡すとだいぶ和んでいる様子。

無礼講ということで、酔っ払いも多い。


父上と将軍が大宴会を始めて。

議長が傍で苦笑。彼も顔が赤い。

妃候補達もそれぞれ楽しそうだ。


去年は騒ぎになった黒髪ロングも。

今年はボクと踊った為に大丈夫みたい。

招待客は複雑そうな顔だが黙認してる。


当然だ。ボクが目を光らせている。

彼女を中傷することは許さない。

過去に何があろうと今は今なのだ。

黒髪ロングはボクの大切な妃候補だ。


楽しげな妃候補達を眺めていると。

目の前で子供たちがはしゃいでいた。

それを見てると、自然に言葉が出た。


「可愛い子供たちだな」

「ええ、とても可愛らしいですね」


教育係も微笑ましく眺めている。

奴も子供が好きな様子。ならば良し。

だったら、今こそ教育係を攻めよう。


「帰ったら、子供を作ろう」

「ぶっふぉっ!? 殿下、何を……?」

「子供が出来れば爵位が貰える」

「それは……」


率直にボクの考えを伝える。

それだけで奴は察したようだ。

ボクらが結婚する為に必要な手段。


それを悟った教育係がボクに尋ねる。


「そもそも、作り方を知ってますか?」

「作り方?自然に出来るものだろう?」

「そんなわけないじゃないですか」

「そうなのか?」

「ええ。ですから、いずれ教育します」


なんと。自然には出来ないらしい。

教育係は方法を知っている様子。

ボクは奴にそれを教えるように求める。


「どうやるの? どうすればいいの?」

「雑誌の袋とじに書いてありますよ」


雑誌の袋とじ。それで思い出した。

去年の誕生日に奴から貰った雑誌。

その袋とじには確かこう書いてあった。


【絶頂テク48手】と。


そこに方法が記されているらしい。

いや、そのテクニックこそが手法か。

さっそく帰ったら袋とじを開けよう。


そう決意すると、奴に釘を刺された。


「袋とじは15歳まで開けられません」

「あっ……あの、そこをなんとか……」

「ダメです。辛抱なさって下さい」


ぴしゃりと却下された。けちんぼめ。

教育係は融通が利かない。困った奴だ。

駄々をこねて雑誌を没収されたくない。

破いたらすぐバレるだろうしな。


仕方ない。15歳まではお預けだ。


諦めて、やけ食いしようと思って。

食べ物の棚まで向かうとメイドがいた。

リスみたいに頬を膨らませて幸せそう。


「メイド、食べ過ぎだぞ」

「大丈夫です! 成長期ですから!」


忠告すると胸を持ち上げる銀髪メイド。

成長中のオレっ娘より大きく。

黒髪ロングより小さかったメイドの胸。


それはいつしか、黒髪ロングクラスに。

最高に丁度いいよりも、やや大きめ。

思ったよりも大きくて嬉しくなる胸だ。


それを見て、教育係は愕然。

胸を張るメイドによろよろと近づく。

そして耳元で秘訣を尋ねた。


「どうすれば大きくなるのですか?」

「沢山食べて、沢山寝ることです!」

「うぅ……ちっとも参考になりません」


まったくだ。ボクもやるせない。

沢山食べて寝るだけなら苦労はしない。

それなら世の中は巨乳で溢れるだろう。


そんなボクらの不満を歯牙にもかけず。

メイドはデザートのケーキを頬張り。

むしゃむしゃ咀嚼しながら首を傾げる。


「殿下、あのシェフ……おかしいです」

「シェフ?」

「はい、国王陛下の傍にいる方です」


言われて国王の方を見る。

既にべろんべろんな父上。

将軍、議長と肩を組んでご機嫌な様子。


これで我が国は安泰だ、とか。

妃候補も素晴らしい淑女ばかり、とか。

すぐに世継ぎも産まれようぞ、とか。


好き勝手喚き散らしている。

まるで子供みたいに大笑いしている。

正直恥ずかしいが、素直にありがたい。

父上も嬉しいのだろう。上機嫌だ。


そんな国王の傍に立つ、2人のシェフ。

1人は背が高く、1人は背が小さい。

背の高い方が、ワインを注いでいる。


父上のグラスに、ワインが注がれた。


「何がおかしいんだ?」

「普通、シェフはワインを注ぎません」

「そうなのか?」

「はい、しかもボトルから直接なんて」


そう言えば、妙だ。ありえない。

シェフの作法はよく知らないが。

ボトルで直接注ぐことはまずない。


国王の飲み物は毒味が必要だ。

もし、万が一、毒物が入っていたら。

そこで、2人のシェフの容姿に気づく。


背の高い方はくすんだ青髪に眼鏡。

背の低い方は鮮烈な青髪の少年。

その口元には見覚えのある凶笑が。


ぞっとした。間違いない。


ボクを襲った青髪の少年だ。


眼鏡の方にも見覚えがある。

ボクを青髪に引き合わせた者だ。

彼が青髪の手先ならば、大変だ。


「父上! それを飲んでは……ッ!!」


急いで警告するももの、時既に遅く。


「ぐっ!? ぐがああああああッ!!」


ワインを口にした父上が苦しみ。

手にしたワイングラスが落下して。

大理石の床で粉々に、砕け散った。


その悲劇的な音と共に、終わる。


ボクの平和で、穏やかな、日常が。


父上がゆっくりと床に倒れ伏す。


時間は緩慢で、音が遠く聞こえる。


最初の悲鳴が上がるよりも、早く。


ボクは父上の元へと、走り出した。


「父上ぇぇええええええッ!!!!」


夢のような楽しいひと時は、終わった。


ボクはこれから残酷な現実を思い知る。

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