第7話 『銀髪メイドの下着』 その2
「ど、どうかなさいましたか?」
「気にするな、朝食を貰おう」
ボクらの視線を受け、侍女が後ずさる。
そんな彼女に手招きをして呼ぶ。
教育係が単刀直入に問いかける。
「白と黒、どちらがお好きですか?」
「と、突然なんですか?」
「いいから答えるんだ」
「ええと……白、です」
ボクと教育係の詰問に彼女は白状した。
答えは、白。やはり白だった。
ボクの勝ちだ。完全勝利だ。
「ですが、貴女は黒も好きでしょう?」
「は、はあ……嫌いではありませんが」
どっちなんだ!
教育係に問いただされて、曖昧な返答を口にするメイドに腹が立つ。
いや、落ち着け。冷静になれ。
勝負がふりだしに戻っただけだ。
冷静に、状況を見定めるんだ。
「ボクはお前には白が似合うと思うぞ」
「へっ?あっ……も、勿体なきお言葉」
好感触。これは勝機ありと見た。
しかし、どうやって確認する?
ボクの懸念を見透かした教育係が動く。
「失礼。靴紐が解けていますよ」
「あ、ほんとだ。すみません」
「今結び直して差し上げます」
さりげなく、靴紐を結ぶ教育係。
もちろん指摘する際にこいつが彼女の靴紐を解いたのだ。早業だった。
しばらくして、靴紐を結び終える。
「ありがとうございます」
「いえいえ。お気になさらずに」
紳士的な教育係に頬を染めるメイド。
なんだかイライラするが気にしない。
そして次の瞬間、事件が起こった。
「ふあっ!?」
メイドが転けた。盛大に。
教育係が両足の靴紐を結んでいたのだ。
なんて卑劣な奴。しかし、でかした。
即座にメイドの背後に回る。
メイドのスカートが捲れ上がっている。
白か、黒か。
勝敗は如何に。
「私の、勝ちです」
「ば、馬鹿なっ!!黒のスケスケ……しかもガーターベルト付き、だと……?」
ボクはこの日。
人は見かけに寄らないものだと知った。
そして、教育係にパジャマを奪われた。