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殿下の教育係  作者: 戦乃作為
第2章 【学園生活と日常】
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第69話 『三つ編み眼鏡のお部屋』

「次はどなたのお部屋に行きますか?」

「三つ編み眼鏡の部屋に行ってみよう」


黒髪ロングの部屋を訪問後。

次の訪問先を決めて寮内を歩く。

すぐに三つ編み眼鏡の部屋に着いた。


コンコンと、2回ノック。

はーいと返事が返ってきて、扉が開く。


「殿下っ!? どうしたのですか!?」


部屋から出て来た三つ編み眼鏡。

ボクの姿を見て目を見開いている。

そんな彼女の装いはエプロン姿。

クマさんのステッチが可愛らしい。

履いてるスリッパもクマさんだ。

両手にもクマの手を象ったミトンが。

どうやら料理中だった様子。


「突然訪ねてすまないな」

「い、いえいえ! 何かご用ですか?」

「ああ、ちょっと部屋を見せてくれ」


突然の来訪に詫びをいれる。

そして、用件を伝えた。

すると再び目を丸くする三つ編み眼鏡。

よほど、ボクの来訪が意外だった様子。


ポカンと口を開けている三つ編み眼鏡。

しばらくして、我に返ったらしい。

慌てて、ボクらを招き入れてくれた。


「そ、そういうことでしたら、どうぞ」

「ありがとう。では、邪魔するぞ」


許可を得て、部屋に上がる。

クマさんのスリッパをボクらも履く。

パタパタと室内を歩いてキョロキョロ。

クマさんグッズが沢山置いてある。

どうやら彼女はクマが好きなようだ。


部屋の中には甘い香りが漂っていた。

三つ編み眼鏡らしい、お菓子の香り。

匂いの元は何かと、視線を巡らすボク。


すると、三つ編みが説明をした。


「実はクッキーを焼いていたのです」

「クッキー?」

「はい、殿下にお届けしようと思って」


そう言って、頬を染める三つ編み眼鏡。

どうやら照れている様子。実に可愛い。

ボクの為にクッキーを焼いていたとは。


それだけで、来た甲斐があった。


「それは是非とも食べたいな」

「今焼き上がりますのでお待ち下さい」


ゴクリとよだれを飲み込むボク。

彼女はパタパタとキッチンへ向かう。

両手にトレイを持って戻ってくる。

焼きたてのクッキーを、持ってきた。


香ばしい、甘い香り。

良い色に焼けている。

見た目だけで、美味しそうだ。


「とても美味そうだな」

「お、お口に合えば良いのですが……」


おずおずと皿にクッキーを並べる。

みんな、クマさんの形をしていた。

手を翳して火傷しないか確認する。

うん。大丈夫そうだ。では頂こう。


その前に。


「三つ編み眼鏡」

「はい、なんですか?」

「これには酒は入ってないだろうな?」


一応、聞いておく。

ウィスキーボンボン事件が蘇る。

あの時は大変な目に遭った。


三つ編みは首を傾げて返答する。


「お酒は入っていませんよ?」

「そうか」

「ラムレーズンでも入れましょうか?」

「いや、大丈夫だ」


どうやら酒は入ってないらしい。

ほっと安堵して手を伸ばす。

その時、教育係が突然、怒鳴った。


「誰の胸がラムレーズンですかっ!」


はあ?

何を言ってるんだ、こいつは。

怪訝な視線を向けると奴が吼えた。


「私の胸はピンク色ですからっ!」


いや、あの、どうでもいいからね?

どうやらレーズンに反応したらしい。

別に誰もお前の胸の話はしてないのに。


呆れていると、今度は三つ編み眼鏡が。


「わ、私のお胸もピンク色ですっ!!」


顔を真っ赤にして、そんなことを叫ぶ。

教育係と睨み合う2人。張り合ってる。

完全に意味不明だ。誰か助けてくれ。

遺憾の意を表明したい。けど、しかし。


ここは、一応ボクも、叫んでおこう。


「ボクの胸もピンク色だっ!!!!」

「えっ?」

「はい?」


すると、2人がキョトンとした。

何言ってんのこの人、みたいな。

不思議な物を見るかのような表情。

なんだよ、その反応は。


せっかく乗ってあげたのに、酷い。

羞恥心で顔が真っ赤になるボク。

どうしてボクだけ、こんな目に。


すると、三つ編み眼鏡が手を打った。

場を取りなすように、口を開く。


「そうだっ! 紅茶を淹れますねっ!」

「ああ……頼む」


優しい三つ編み眼鏡。

けれど、その優しさが、キツい。

涙ぐむボクに、紅茶を淹れてくれた。


それを飲んで、ひと息つく。

過ぎたことを悔やんでも仕方ない。

気を取り直して、クッキーを食べよう。


「では、頂こう」

「は、はいっ。 どうぞ……」


焼きたてクッキーをぱくり。

サクサクの食感が心地良い。

まだあったかくて香りが際立つ。

バターの香りと、口に広がる甘み。


素晴らしく、美味しいクッキーだった。


「うん。とっても美味しい」

「よ、良かったですぅ……」


感想を述べるとほっとした様子。

嬉しそうに微笑む三つ編み眼鏡。

そんな彼女にボクは贈り物を渡す。


「礼と言ってはなんだが……」

「なんですか?」

「これを履いてみてくれないか?」


贈り物はもちろんニーソ。

厳選したそれは、編み編みニーソ。

というか、編みタイツであった。


「こ、これを履けば良いのですか?」

「気に入らないか?」

「め、滅相もありませんっ!」


まじまじと編みタイツを見つめる彼女。

気に入らないわけではないらしい。

どうやら照れているようだ。


ここは背中を押してやろうではないか。


「きっと似合うと思うぞ」

「そ、そうですか……?」

「ああ、お前には編みタイツが似合う」


すると、三つ編み眼鏡は覚悟を決めた。

真剣な表情で編みタイツを胸に抱く。


「わかりました。履いてみますねっ!」

「ああ、楽しみにしてるぞ」


別室に向かう三つ編み眼鏡。

随分と気合いが入っている。

ボクらはクッキーを食べながら待つ。


すぐに三つ編み眼鏡は戻ってきた。


「ど、どうですか……?」


編み編みニーソを履いた三つ編み眼鏡。

部屋着用の、短かめのショートパンツ。

その下から覗く、編み編みの足。

肉付きの良い、ぷにぷにした、彼女の足。

それが絶妙に、編みタイツとマッチ。

やはり、ボクの目利きに間違いはない。

三つ編み眼鏡は編みタイツが、似合う。


しかし。


その足に、ふと、違和感を覚える。

あれれー? なんだか、変だぞ?

首を傾げていると、教育係が指摘した。


「貴女、ちょっと太りましたか?」

「な、な、なにを仰りますかぁっ!?」


歯に衣着せぬ教育係。

三つ編み眼鏡が取り乱している。

どうやら、図星だった模様。

ちょっとだけボリュームが増していた。


項垂れた彼女は、指摘を受け入れた。


「うぅ……実は最近色々きつくて……」


そう言って、ある部分を気にする彼女。

それは、三つ編み眼鏡の最大の特徴。

大きな胸を、煩わしそうに持ち上げた。

その圧倒的質量に、湧き上がる劣等感。


その瞬間。

教育係の方からブチッ!と。

何かがキレる音がした。


「まだ成長してるのですかこの胸は!」

「わああっ!?ご、ごめんなさいっ!」

「こんな物!こんな物があるからっ!」

「うひぃいいいいいいいいっ!?!!」


ぐわしっ!と胸を掴み、揉みしだく。

奴の手のひらで変幻自在に形を変える。

うわ。すご。なんだそれは。羨ましい。

なんだかご利益がありそうなお胸だ。


ボ、ボクもあやかりたいっ!!


そう思って、手を伸ばす。

けれど、やはりと言うべきか。

教育係に、邪魔された。


「殿下は私の二の腕でも触って下さい」

「に、二の腕……?」

「はい、私の胸と同じ柔らかさですよ」


訳のわからないことをほざく教育係。

二の腕と胸の柔らかさが同じだって?

胡乱な視線を送るが、奴は何処吹く風。

上着を脱いで、腕を捲る教育係。

奴の白い二の腕が露わとなった。

確かに魅力的だ。噛みつきたくなる程。


けれど、ボクは、騙されない。


「それは嘘だな」

「は?」

「お前に胸などないではないか」

「あ?」


ひえっ。こわすぎ。

とにかく話題を変えよう。そうしよう。

そう思って、三つ編み眼鏡に告げる。


「三つ編み眼鏡」

「は、はいっ、なんですか?」

「ちょっと太ったくらいが、可愛いぞ」

「で、殿下ぁ!……う、嬉しいですぅ」


ちょっと太ったくらいが、可愛い。

それはお世辞でもなんでもない。

三つ編み眼鏡はそのくらいが丁度良い。

そんな正直なボクの感想。


しかし、教育係はまたもや、キレた。


「また殿下を誑かして、この胸めっ!」

「ご、ごめんなぁーいっ!?」

「私に半分寄越しなさいっ!!」


無茶なことを要求する教育係。

より一層揉みしだく奴。ボクは傍観者。

仕方なく、奴の二の腕で摘む。

すると、存外柔らかい。これはいい。

胸はないけど、二の腕は大したものだ。


あ、また怖い顔された。

びくついていると、異変が。

三つ編み眼鏡が泡を吹いて気絶してる。


「おいっ!その辺にしといてやれっ!」

「おっと。私としたことが、つい」


教育係が三つ編み眼鏡を解放。

その場に倒れ伏す彼女。

目を回しながら、寝言を言っている。


「えへへ……殿下が、可愛いって……」


何やら幸せな夢を見ている様子。

大丈夫そうなので、そっとしておこう。

教育係と一緒に、ベッドまで運ぶ。


真上から三つ編み眼鏡を俯瞰する。

うむ。やっぱりとっても似合ってる。

編み編みニーソは彼女に相応しい。

教育係もこれには文句を言えない様子。


さて、次の妃候補のところへ向かおう。


「最後はいよいよオレっ娘の部屋だな」

「あんな小娘、恐るるに足りません」


ボクの教育係は最後の敵に立ち向かう。

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